在宅でのエコーの使用が医療費削減や患者QOL向上に貢献〜GEヘルスケアが調査

2024-12-9

GEヘルスケア・ジャパン

超音波(US)


在宅医療におけるポケットエコーについて行われたトークセッション

在宅医療におけるポケットエコーについて
行われたトークセッション

GEヘルスケア・ジャパン(株)(以下GEヘルスケア)は,在宅医療におけるポケットエコーの活用実態や経済性に関する調査を行った(詳細はプレスリリース 参照)。その内容を報告するメディアセミナーを,2024年12月2日(月)に赤坂インターシティコンファレンス(東京都港区)で開催した。今回の調査は,「ポケットエコーで実現するこれからの在宅医療」をテーマとして,「在宅医がポケットエコーを利用して訪問診療または往診を行った診療件数225件」を対象に行った。調査には,医療法人社団悠翔会,医療法人鳥伝白川会ドクターゴン診療所およびドクターゴン鎌倉診療所,紀美野町立国民健康保険国吉・長谷毛原診療所,奥尻町国民健康保険病院の4施設が協力した(調査実施期間は2024年8月1日~10月31日)。GEヘルスケアは,ポケットエコーに関する調査を継続的に行っているが,今回の調査では在宅医療でエコー検査を行うことによる医療コストへの影響や患者QOLの変化などの実態を,具体的な数値として明らかにした。メディアセミナーでは,調査内容の報告に併せて全体監修を行った医療法人社団悠翔会 理事長・診療部長の佐々木 淳氏など,調査に協力した医師によるディスカションが行われた。

セミナーで調査内容の概要を説明した超音波本部Primary Care部部長の麻生 光氏は,まず,超高齢社会における医療人材の不足,社会保障費の増大というトレンドの中で,在宅医療へのシフトが求められており,在宅シフトによって入院に比べた医療コストの低減や患者QOLの向上というメリットが期待できることを紹介した。その上で,在宅患者の増加に伴うプライマリケア医の不足という課題がある中で,GEヘルスケアがいち早く上市したポケットエコーが医療の効率化や医療コスト削減,患者QOLの向上などに,どのような効果をもたらすかを調査したと述べた。
在宅でのエコー検査によって得られた結果は,「診断でき,治療できた」(44.9%),「診断でき適切な医療機関に紹介した」(5.8%),「診断はできなかったが緊急疾患を除外できた」(32.9%),「侵襲的なケアを回避できた」(12.4%)などとなった。この回答を元に,“診断でき,治療できた”ものを「在宅完結」,“診断でき適切な医療機関に紹介した”ものと,“診断はできなかったが緊急疾患を除外できた”ものを「緊急搬送回避」としてクロス集計を行った。その結果,在宅完結は80歳以上の後期高齢者が72%を占め,検査部位では心臓28%,肺29%とクリティカルな領域が多かった。麻生氏は,「高齢でかつクリティカルな疾患であってもエコーがあることで,その場で適切な判断が可能になり,患者さんのQOLの向上や医療コストの削減が可能になっている」と述べた。その上で,ポケットエコーがなく在宅完結や緊急搬送回避できなかった場合とのコストの差を試算した結果を紹介した。循環器疾患で在宅完結しなかった場合には1人当たり約140万円が,ポケットエコーがなく緊急搬送した場合には1人当たり4万6010円となり,エコー検査が医療コストの削減につながるとした。

麻生 光 氏(超音波本部Primary Care部部長)

麻生 光 氏(超音波本部Primary Care部部長)

 

在宅完結した場合のポケットエコーがなかった場合とのコスト比較の試算(循環器疾患の場合)

在宅完結した場合のポケットエコーがなかった場合とのコスト比較の試算(循環器疾患の場合)

 

緊急搬送回避した場合のポケットエコーがなかった場合とのコスト比較の試算

緊急搬送回避した場合のポケットエコーがなかった場合とのコスト比較の試算

 

トークセッションには,佐々木氏のほか,医療法人鳥伝白川会理事長でドクターゴン診療所院長の泰川恵吾氏が登壇した(泰川氏はオンライン参加)。麻生氏の進行の下,実際に在宅医療に携わる立場からエコー検査で緊急搬送回避された症例や,患者のQOL向上に役立った例,在宅完結や搬送回避による医療費削減への期待,また在宅医にポケットエコーを普及させるための方策などがディスカッションされた。緊急搬送回避の症例について,泰川氏は心不全の既往がある高齢者で喘鳴があったがエコーで心不全を否定して喘息の治療で完結したケースや,80歳代の高度認知症患者の急な発熱を超音波で膀胱炎を診断して抗菌剤投与で終了した症例などを挙げた。また,患者のQOL向上に役立った例として佐々木氏は,すい臓がんの末期で病院からは入院を勧められたが,在宅でエコーガイド下のドレナージで腹水を抜く処置をしたことで最後まで在宅で家族とともに過ごすことができたケースを紹介した。佐々木氏は,医療依存度の高い疾患でも,エコーなどの最新技術を用いることで在宅で対応できる範囲が広がっており,患者にとっても在宅が選択肢となると述べた。また,ポケットエコーを使用した場合の医療提供体制への影響については,泰川氏は迅速な診断が可能で治療や精査に最短距離でつなげられることを挙げ,佐々木氏は在宅エコーを使うことで,その場での診断や従来は病院でなければ難しかった処置が可能になり,患者が自宅で過ごせる時間が長くなることなどを挙げた。今後の課題としては,エコーを使う在宅医の数を増やすこと,ポケットエコーのさらなる普及・拡大などが挙げられ,普及のためにはまずエコーを手に持って診療に使って欲しいと述べた。

佐々木 淳 氏(医療法人社団悠翔会 理事長・診療部長)

佐々木 淳 氏
(医療法人社団悠翔会 理事長・診療部長)

 

泰川恵吾 氏(医療法人鳥伝白川会理事長)

泰川恵吾 氏(医療法人鳥伝白川会理事長)

 

GEヘルスケアのポケットエコー「Vscan Air」を展示

GEヘルスケアのポケットエコー「Vscan Air」を展示

 

●問い合わせ先
GEヘルスケア・ジャパン(株)
コーポレート コミュニケーション
TEL 0120-202-021
https://www.gehealthcare.co.jp/

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