東芝メディカルシステムズが「Global Standard CT Symposium 2013」を開催
2013-8-13
大勢の参加があった会場
東芝メディカルシステムズ(株)は2013年8月10日(土),ANAインターコンチネンタルホテル東京(東京都港区)において,「Global Standard CT Symposium 2013」を開催した。このシンポジウムは,同社が世界に誇る320列Area Detector CT「Aquilion ONE/ViSION Edition」の最新技術の有用性を,現場のユーザーが報告するというもの。昨年から開催され,今回が2回目となる。プログラムは,同社のCT技術について取り上げた「Technology of Area Detector CT」とAquilion ONE/ViSION Editionの臨床応用をテーマにした「Clinical of Aquilion ONE/ViSION Edition」の2部構成で組まれた。
開会にあたって挨拶した同社代表取締役社長の綱川 智氏は,前回のシンポジウムにおいて,「低線量撮影技術を開発しすべてのCTに標準搭載すること」と「Aquilion ONEを次世代CTのスタンダードとしてより多くの施設に導入していただけるようにしていくこと」の2つをコミットメントしたことに触れ,低線量撮影技術であるAIDR 3Dをすべての販売装置に標準搭載したことを取り上げたほか,Aquilion ONEが昨年,第二世代のViSION Editionへと進化し,さらに今年,Global Standard Editionをラインナップしたと説明した。加えて綱川氏は,新しい低線量撮影技術として開発を進める“Full IR”にも言及した上で,最後に日本におけるCTの医療被ばくを一気に半減させたいという思いを参加者に伝えた。
挨拶に続き,同社CT開発部の風間正博氏が「Aquilion ONE/ViSION Editionの開発」と題し,金属アーチファクトを軽減する“SEMAR(Single Energy Metal Artifact Reduction)”やサブトラクション技術,生データベースのdual energyについて解説。さらに,裸眼3Dディスプレイシステムによる画像観察や開発を進める逐次近似画像再構成法のFull IRを紹介した。
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この後,「Technology of Area Detector CT」が行われた。座長は徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部放射線科学分野の原田雅史氏。まず,「胸部領域におけるAIDR 3Dを用いた被ばく低減」をテーマに,神戸大学大学院医学研究科内科系講座放射線医学分野の神山久信氏が登壇した。神山氏は,AIDR 3Dの概要を説明した上で,ファントム実験と実際の臨床における視覚的評価について報告。さらに機能画像診断でのAIDR 3Dの有用性を解説した。また,次いで登壇した琉球大学医学部病態解析医科学講座放射線医学分野の山城恒雄氏は,「Aquilion ONEを用いた胸部CT共同研究:‘ACTive Study’の挑戦」をテーマに講演した。続いて3番目の講演として,広島大学大学院医歯薬保健学研究院/研究科 放射線診断学研究室の立神史稔氏が登壇。「Dual Energy技術の現状と今後の可能性」をテーマに,dual energy imagingの仕組みなどを説明した上で,画像データベース,生データベースの解析方法について解説したほか,仮想単色X線画像,物質弁別画像,電子密度画像などの症例画像を提示した。「Technology of Area Detector CT」の最後は,国立がん研究センター東病院放射線診断科の久野博文氏が,「頭頸部領域におけるサブトラクション技術の臨床応用」と題して講演した。久野氏は,サブトラクションを用いた骨浸潤評価について解説。さらに,SEMARの臨床使用経験も報告し,この技術により金属アーチファクトが改善されている画像を供覧した。
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続く,「Clinical of Aquilion ONE/ViSION Edition」では,藤田保健衛生大学医学部先端画像診断共同研究講座の片田和広氏が座長を務めた。まず,「頭部の臨床応用」をテーマに,九州大学病院放射線部の樋渡昭雄氏が講演した。樋渡氏は,頭部領域における造影CTと単純CTを基にしたvolume subtractionについて解説したほか,4D-DSAなどのアプリケーションを紹介。さらに,CTPのデータから,脳血管CTAにおいて動脈と静脈を分離する至適撮影タイミングに関しての検討結果を報告した。次いで,登壇した藤田保健衛生大学医療科学部リハビリテーション学科の稲本陽子氏は,「嚥下領域の臨床応用」と題して講演した。稲本氏は,摂食,嚥下障害の検査において,従来の造影検査,内視鏡検査では評価できなかった嚥下のメカニズムや動態の定量化が,Aquilion ONE/ViSION Editionの4D-CTで可能になるとして,その症例画像を提示した。3番目の発表では,熊本大学大学院生命科学研究部放射線医学の宇都宮大輔氏が,「循環器領域の臨床応用」について講演した。宇都宮氏は,同大学医学部附属病院における心臓CTのプロトコールや音声ROIを紹介した上で,冠動脈CTAの症例画像を提示。さらに,CTA以外の症例についても画像を供覧した。「Clinical of Aquilion ONE/ViSION Edition」の最後は,「IVR領域の臨床応用(IVR-ADCT)」をテーマに,静岡県立静岡がんセンターIVR科の新槇 剛氏が登壇。同センターが導入した世界初のIVR-ADCTについて,腹部領域での動態撮影やCTガイド下での穿刺での使用経験を報告した。
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2007年RSNAで発表されたAquilion ONEは,第二世代のAquilion ONE/ViSION Editionへと進化し,2013年7月の時点で全世界720台(うち国内230台)が稼働している。今回は,まさにその“グローバルスタンダード”の最新技術と臨床報告が紹介され,参加者にとっても有意義なシンポジウムとなった。
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