ITEM2016 横河医療ソリューションズ ブースレポート
電子カルテとのより深い連携を可能にしたRIS,PACSの「ShadeQuest」の新機能をアピール
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2016-5-6
横河医療ソリューションズブース
横河医療ソリューションズは,「深化〜診療情報とのより深い連携をめざして」をテーマとして,白と黒のシンプルなデザインでブースを構成した。ブース片側の壁面にプロジェクタを使って,同社が掲げる4つの“シン”のキーワード(“進”,“新”,“深”,“信”)を映写して,企業としての基本姿勢をアピールした。今年は,そのキーワードの中から“深”にフォーカスしたテーマで,ユーザーとの連携,製品間の連携を深めた放射線部門のソリューションを展示した。展示では,富士通との共同開発によって,電子カルテの診療情報とのより密接な連携が可能になった,放射線部門情報システム「ShadeQuest」の最新バージョンの機能や使い勝手を中心に紹介した。また,日本の放射線治療のワークフローに対応し,きめの細かい機能の追加や安全で正確な治療を支援する治療RIS「ShadeQuest/TheraRIS」についても,最新の機能を実機で展示した。(4月15日取材)
●富士通との共同開発で電子カルテシステムとの情報連携が深化した「ShadeQuest/RIS」
横河医療ソリューションズでは,2014年5月に電子カルテシステムでトップシェアの富士通と提携し,両社の特長を生かしたシステムの共同開発を進めてきた。今回の展示では,RISを中心にPACS,レポートシステムまで全体的にバージョンアップされ,さまざまな機能が追加された新バージョンをアピールした。すべての製品で大きなポイントとなったのは「カルテ連携」の機能である。RIS,PACS,治療RISまで,これまでに比べて,より簡単かつ密接な情報連携が可能になったことを紹介した。これまで別端末が必要だったカルテの参照を,RISやレポートの画面でボタン1つで表示したり,レポート画面の中のカラムの1つとしてカルテのデータベースの情報を表示できる。これによって,参照のためのハードルを下げ,より質の高い読影業務を支援する。
画面のデザインも含めて,新バージョンで大きく変わったのが放射線業務管理システム(RIS)の「ShadeQuest/RIS」である。富士通のブースでも展示されたが,両社の共同開発によって富士通では,新しい電子カルテシステム「FUJITSU ヘルスケアソリューション HOPE LifeMark-HX」の“生体検査ライブラリ”として発売される。それに伴いShadeQuest/RISについても,画面デザインが一新され,開発のベースもWebアプリケーションに変更されている。新バージョンでは,電子カルテとの連携が深化しており,RISの受付や検査一覧画面に,電子カルテの持つ患者プロファイル情報を表示するウインドウを設けたり,外来診察情報(受付や当日の検査内容,進捗情報など)をクリップ機能で簡単に参照できる。そのほか,レポート一覧(他検査結果レポートの参照),ブラウザ(最新のカルテ記事の参照),プロファイル(最新の患者プロファイルの参照)などの機能をワンクリックで簡単に呼び出し,参照が可能となっている。これらの機能は,富士通の電子カルテ(HOPE LifeMark-HX)だけでなく,ベンダーを問わず接続して利用することができる予定だ。
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●PACSソリューションの画像ビューワ「ShadeQuest/ViewR-DG」,レポートシステム「ShadeQuest/Report」〉
横河医療ソリューションズのPACS(画像ビューワ,レポートシステム)は,必要な情報を素早く,簡単に収集できることにポイントを置いて開発されている。今回のバージョンでは,画像の読影だけでなく,読影前の準備(情報収集)から読影後のフォローアップまでの一連の流れ中で,それを実現する“所見入力の効率化”,“他検査情報の連携”,“フォロー患者情報確認”などの機能を追加したことを紹介した。所見入力の効率化では,日本乳がん検診精度管理中央機構(精中機構)が作成した診療ガイドラインに基づいたマンモテンプレートや,超音波検査についてはDICOM-SR対応テンプレートが新たに追加された。他検査情報の連携では血液検査など他の検査の情報をレポート画面内の1カラムとして表示して,診断の参考にできる。新しい電子カルテ連携によって,手術記録や病理レポートなど電子カルテの情報まで表示が可能になった。フォロー患者の診断結果の確認は,所見作成後に経過をフォローしたい患者をチェックすることで,検査結果などが出た時に通知が表示され,結果を参照することができる。これもカルテ連携によって手術や検体情報など参照できるデータが広がった。
また,画像ビューワ「ShadeQuest/ViewR-DG」でも,ワンボタンでカルテ画面を開くことができる連携機能が利用できるほか,過去画像との自動位置合わせについて,従来のDICOMタグから臓器の形状認識による方式に変更され,より正確な位置合わせが可能になった。そのほか,ビューワ上での整形の計測機能の追加,CTなどの複数枚画像のPowerPoint出力機能,同一ウインドウでのMPR/MIP画像の表示などの機能強化が図られた。
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●放射線治療をサポートする治療RIS「ShadeQuest/TheraRIS」の新機能を紹介
横河医療ソリューションズでは,治療系のシステムについては,秋に行われる日本放射線腫瘍学会(JASTRO)を1つのターゲットにして開発を進めている。そのため,ITEMでは昨年のJASTROで発表したバージョンから追加された機能を中心に紹介した。1つは,画像誘導放射線治療(IGRT)の際のベッドの移動(ズレ)量について,これまで数値で表示していたがグラフ化して視覚的にわかりやすく表示する機能を追加した。また,医師の診察記事の入力インターフェイスを改良し,大きく入力しやすくした。さらに,予約について予約の専用画面ではなく,医師が通常使っている画面から予約の変更を可能にするなど,操作性の改善を図っている。このShadeQuest/TheraRISについても,カルテの情報参照など連携機能が強化されている。
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●お問い合わせ先
横河医療ソリューションズ株式会社
住所:〒167-0051 東京都杉並区荻窪4-30-16 藤澤ビルディング
TEL:03-6383-6273
URL:http://www.yokogawa.com/jp-mis/