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新大阪画像の森診断クリニック 
同一機種の1.5T装置2台体制で地域の画像診断センターとして迅速かつ柔軟にMRI検査に対応(ECHELON Smart Plus)
高画質と高速化で精度の高い診断に貢献

2024-9-25


新大阪画像の森診断クリニック

新大阪画像の森診断クリニック(大阪市東淀川区)は,適切な画像検査と精度の高い診断を提供する地域の画像診断センターをめざし,2023年に開業した。MRIは富士フイルム社製の1.5T装置「ECHELON Smart Plus」を2台導入し,柔軟かつ効率的な運用で地域医療機関からの紹介検査や画像ドックのニーズに応えている。あらゆる領域の検査に活用しているECHELON Smart Plusの運用について,堀江仁志院長と診療放射線技師の和泉達也技師,森田光樹技師に取材した。

堀江仁志 院長

堀江仁志 院長

和泉達也 技師

和泉達也 技師

森田光樹 技師

森田光樹 技師

 

確かな検査と精度の高い画像診断で一人ひとりに最適な診療をめざして

新大阪画像の森診断クリニックは,JR新大阪駅から東に約2km,阪急京都線の淡路駅とJR淡路駅からほど近い好立地に建つビルの3階に2023年7月に開業した。院内は森の中をイメージした落ち着きのあるインテリアで統一され,患者がリラックスして検査を受けられるような空間づくりを大切にしている。堀江院長は,市中病院でIVRを中心に臨床に携わった後,約15年間遠隔読影に従事した。開業の理由について堀江院長は,「遠隔読影は広い範囲で医療に貢献できるやりがいがありましたが,検査からかかわることで画像検査の質を上げ,一人ひとりの患者さんをていねいに診たいという気持ちが強くなり,開業を決断しました」と話す。
同院では近隣医療機関からの紹介検査に加え,各種画像ドックを提供し,土曜および一部日曜も含めて診療している。堀江院長は,「画像検査を受けてさえいれば治療につなげられる脳動脈瘤や乳がんなどで亡くなる若い世代の方も多く見てきたことから,現役世代のヘルスケアに関与したいという思いがありました。画像診断がもっと身近になり,疾患の早期発見・早期治療につながるように画像ドックにも力を入れています」と説明する。放射線診断専門医の堀江院長と非常勤医師3名が読影を行い,見落としのない精度の高い読影とレポートの提供に努めるとともに,精査や治療が必要な場合にはスタッフが一丸となって適切な医療機関につなげるなど,患者に寄り添った診療を展開している。

2台のECHELON Smart Plusで迅速かつ柔軟に検査を提供

同院には,ECHELON Smart Plusが2台,64列CT装置「Supria Optica」1台が導入されている。ECHELON Smart Plusは,2023年4月に発売された最新バージョンでAIを活用して開発したノイズ除去技術「Synergy DLR」や進化した高速化技術「IP-RAPID」が搭載され,さらなる高画質化と高速化を実現した。堀江院長はMRIについて,「頭頸部MRAや整形領域など,質的診断を向上させるためにMRIは重要です。地域の画像センターとして依頼に迅速かつ柔軟に対応するために2台体制とすることを決め,発売されたばかりのECHELON Smart Plusに期待して採用しました。コイルを共有できる同一機種でそろえることは経営的メリットが大きく,専用コイルも導入することで,より高画質で診断することができます」と述べる。
MRI検査は2台で月に約400件実施しており,紹介検査と画像ドックでおよそ半々となっている。近隣の約60の医療機関から検査依頼の実績があり,整形外科を中心に内科や脳神経外科,耳鼻咽喉科などからの依頼が多い。画像ドックは,全身を対象にしたALL IN ONEドックから領域別のドックまで,ニーズに合わせて提供できるメニューを用意している。堀江院長は2台体制の効果について,「検査予約を入れやすく,次々と検査を行えることに加え,脳出血や脳梗塞の疑いですぐに検査が必要な当日紹介の検査にも柔軟に対応できています」と話す。また,装置トラブルが生じた際にはもう1台で対応できるため,リスクヘッジにもなっているという。

Synergy DLRによる高画質化と高速撮像が精度の高い診断を支える

同院では,画像の質によって患者が不利益を被ることのないように,「適切で質の高い画像検査」の実施に重点を置いている。そのためMRI検査では,Synergy DLRを活用して撮像時間を抑えつつ高画質・高分解能を重視した検査を行っている。和泉技師は,「Synergy DLRやIP-RAPIDを用いても再構成時間があまり延長せず,すぐに画像を確認できるため,追加撮像の必要性を迅速に判断できます。また,追加撮像する場合でも撮像時間を短縮できるため,検査が延びて後に影響するようなことがありません」と話す。
堀江院長は,診断においては特に拡散強調画像(DWI)が役立つとして,乳腺や骨盤,前立腺をはじめとした全身の領域,また,ALL IN ONEドックでの全身DWIに活用している。一般的に拡散強調画像は歪みの少ないアキシャルで撮像されるが,同院では女性骨盤をサジタルで撮像している。堀江院長は,「子宮頸がんはMRIではあまり見えないと言われることもありますが,ECHELON Smart Plusを用いてサジタルで拡散強調画像を撮像したところ歪みもなく,拡散制限とADC値の低下を明瞭に確認できたことから,当院ではルーチンとしています」と説明する。卵巣にも所見がありそうな場合はアキシャルの拡散強調画像も追加するなど,堀江院長と診療放射線技師がチャットツールを使ってリアルタイムにコミュニケーションを取りながら,見落としのない画像診断のために適切な検査の実施に努めている。

■症例1:子宮卵巣DWI

子宮頸がんを疑う場合には,Direct Sag像で拡散強調画像を撮像している。画像歪みも少なく画質は良好である。Direct Sagで撮像することで,子宮頸部の全体像が把握しやすく,異常を見つけやすい。

子宮頸がんを疑う場合には,Direct Sag像で拡散強調画像を撮像している。画像歪みも少なく画質は良好である。Direct Sagで撮像することで,子宮頸部の全体像が把握しやすく,異常を見つけやすい。

 

■症例2:手関節

指の骨折疑いがある場合は,Dixson法による脂肪抑制を活用している。3Dで撮影することによって,高いSNR画像で分解能を調節し,骨折だけでなく靭帯損傷の有無も検出可能である。 a:2D T2WI,脂肪抑制,Sag b:3D T1WI,脂肪抑制,Sag

指の骨折疑いがある場合は,Dixson法による脂肪抑制を活用している。3Dで撮影することによって,高いSNR画像で分解能を調節し,骨折だけでなく靭帯損傷の有無も検出可能である。
a:2D T2WI,脂肪抑制,Sag
b:3D T1WI,脂肪抑制,Sag

 

■症例3:心臓(SYNAPSE VINCENT Coreによる冠動脈解析)

冠動脈撮像は矢状断で撮像することにより,大動脈弓を含め広範囲の観察が可能である。呼吸などによる胸壁の動きが強い患者でも対応できるよう,動きに強いシーケンスを作成している。矢状断で位相⽅向をH-Fにすると,呼吸による影響を最小限にすることができる。 a:3D b:ストレッチCPR

冠動脈撮像は矢状断で撮像することにより,大動脈弓を含め広範囲の観察が可能である。呼吸などによる胸壁の動きが強い患者でも対応できるよう,動きに強いシーケンスを作成している。矢状断で位相⽅向をH-Fにすると,呼吸による影響を最小限にすることができる。
a:3D b:ストレッチCPR

 

効率的な運用とSmart Theatreでストレスのない検査環境を実現

MRIは操作室を挟んだ2室に設置されており,診療放射線技師4名(非常勤含む)がローテーションで検査を担当する。MRIの運用について森田技師は,「検査は30分で3件入るように予約を調整しており,同じコイルを使う検査を同じ装置で連続して行うことで2台を効率的に運用し,患者さんを極力待たせないようにしています。また,同一機種のため,新しいスタッフが入った時には検査の難易度で装置を割り当て,比較的容易な検査を行う装置側でトレーニングするなど,スタッフ教育にも有用です」と説明する。
画像診断センターとして全身領域の検査に対応することから,どの領域においても最適な画像を提供できるよう画質改善に継続して取り組んでおり,患者の体格や心拍が画像に大きく影響する冠動脈MRIも,患者依存を抑えつつ時間が延長しないようなシーケンスを組み上げた。現在は,ほぼ撮り直しなく検査を行えており,富士フイルムの3D画像解析システム「SYNAPSE VINCENT Core」で冠動脈解析を行い,画像を提供している。
また,MRI室にはボア内映像投影と音楽で快適な検査環境を提供する「Smart Theatre」も導入している。和泉技師は有用性について,「疲労骨折や腰椎分離症など整形領域を中心に小児の検査も多く実施しています。すごく緊張して『絶対に無理』と検査を嫌がる子もいましたが,犬が好きということで犬のコンテンツを見せて映像に集中してもらうことで検査できたこともあります。緊張を和らげ,気を紛らわせる効果があると思います」と述べる。

検査精度の向上とサービスの拡充でさらなる地域貢献と発展に尽力

同院はオープンから約1年が経過し,整形領域の患者が多い受診状況を踏まえて送迎サービスを始めるなど,患者に寄り添った取り組みを拡充している。堀江院長は,「画像診断センターとして,MRIの2台体制は適切な判断だったと実感しています。画像については,満足することなくより質の高い画像を追究し続け,これからも的確な画像診断で地域に貢献していきます」と語る。
大阪はインバウンド人気も高く,外国人旅行者の画像ドックの受診も増えていることから,堀江院長は幅広い画像診断ニーズに応えられるように次なる展開を検討していると話す。2台体制による効率的な運用とECHELON Smart Plusによる質の高い画像検査が,画像診断で地域を支える同院の力となっている。

(2024年6月21日取材)

 

新大阪画像の森診断クリニック

〒533-0023
大阪府大阪市東淀川区東淡路4丁目30-2 イーズメディテラスⅡ3F
TEL 06-6990-6070
https://gazounomori.com
診療科目:放射線科

 

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