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第3回 Hi Advanced MR セミナー
腹部領域におけるMRI診断の臨床的有用性を講演
2016-9-26
会場の様子
日立製作所は2016年5月28日(土),ベルサール飯田橋駅前(東京都千代田区)にて「第3回Hi Advanced MRセミナー」を開催した。高磁場MRIをテーマとした本セミナーでは,日立社製超電導MRIの技術やアプリケーションに関する最新情報の提供と臨床講演を通じて,医師や診療放射線技師との情報共有の促進をめざしている。
開会挨拶に立った日立製作所ヘルスケアビジネスユニットCMO兼営業統括本部長の小原順二氏は,2016年4月の日立メディコと日立アロカメディカルの統合について報告した上で,「一人ひとりに質の高い医療を実現するため,お客様との協創により,新たなヘルスケアの価値に挑戦していきたい」と述べ,MRIのハイエンド装置も含め,より進化した製品を提供していくとの意気込みを語った。
セミナーの進行は,土橋俊男氏(日本医科大学付属病院放射線科技師長)が務めた。最新情報提供では,最初にMR先端アプリシステム本部の原田邦明氏が「Hitachi Advanced Imaging〜Headコイル32含む〜」と題し,ITEM2016で発表された頭部用32ch高感度受信コイルを中心に紹介した。新しい32chコイルは,形状をヒトの頭部形状に合わせることで中心部(脳幹)の感度が向上しており,15chコイルと比較し,SNRが脳幹部で約1.3倍,脳表部で約2.5倍を実現。反対に,口腔付近などの感度を下げることで,アーチファクトの低減を図った。また,頭尾方向にも広い範囲で感度が高まり,頸動脈分岐部までヘッドコイルで撮像可能となっている。コイルのデザインは,目や鼻の部分が空いたゴーグル型とすることで閉塞感を軽減し,被検者の受容性を高めている。新画像再構成エンジン“REALISE”との併用により,高空間分解能と高速撮像のルーチン化を可能にする。
続いて,MR先端アプリシステム本部の尾藤良孝氏が「Hitachi Advanced Technology〜QSM含む〜」と題して,MRIの技術開発の方向性について述べた。尾藤氏は,日立は「可用性の向上」と「生体情報量の増加」の2つの方向性で技術開発を進めていると述べ,可用性の向上として撮像を高速化する“IR-RAPID”と金属アーチファクトを低減する“Metal Artifact Reduction”(共にW.I.P.)を紹介。このうちIR-RAPIDは,従来よりも少ないk空間データから繰り返し再構成を行うことで,従来の約半分の時間で同等の画像取得を可能にする。生体情報量の増加としては,微細構造や機能の評価に応用が期待できるDKI(拡散尖度画像)とQSM(定量的磁化率マッピング)を取り上げ,基礎から開発経緯,臨床応用まで,画像を供覧しながら解説した。
臨床講演は,腹部領域におけるMRI診断の臨床的有用性をテーマに2題の講演が行われ,北詰良雄氏(東京医科歯科大学医学部附属病院放射線診断科講師) と竹原康雄氏(浜松医科大学医学部附属病院 病院教授・放射線部副部長) が登壇した。
最後に日立製作所ヘルスケアビジネスユニットCOOの山本章雄氏が閉会挨拶に立ち,「高齢化が急速に進む社会環境のなか,個々の装置の機能を上げていくだけではなく,IoTやビッグデータ,AIなどの革新的な技術を取り込んだソリューションとして開発を進め,提供していくことが使命である」と述べ,引き続きの協力・支援を呼びかけた。
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