会場風景
総合司会:吉川秀司氏
(大阪医科大学附属病院)
当番世話人・代表世話人:平野雄士氏
(小樽掖済会病院)
教育講演(司会):小倉敏裕氏
(群馬県立県民健康科学大学)
教育講演:富松英人氏
(岐阜大学)
一般演題(座長):原田耕平氏
(札幌医科大学付属病院)
ランチョンセミナー(司会):
山本修司氏 (国立がん研究センター)
当番施設におけるCT Colonography:
田仲健朗氏(小樽掖済会病院)
一般演題(座長):渡辺直輝氏
(小樽協会病院)
講演1(司会):鈴木雅裕氏
(国立がん研究センター中央病院)
講演1:坂本 崇氏
(済生会熊本病院)
講演2(司会):山崎通尋氏
(山下病院)
講演2:飯沼 元氏
(国立がん研究センター中央病院)
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2012年7月7日(土),「第5回消化管CT技術研究会」(代表世話人:平野雄士氏・小樽掖済会病院)が北海道札幌市の北海道大学学術交流会館にて開催された。当番世話人は平野雄士氏,総合司会は吉川秀司氏(大阪医科大学附属病院)が務めた。今回は,2012年4月1日に大腸CT撮影加算が新設されてから初めての研究会となる。この度の診療報酬収載の影響は大きく,CT Colonography(CTC)への注目度は高まる一方である。本研究会は,CT Colonographyを中心とした消化管検査に携わる診療放射線技師の意見交換とレベルアップを目的とする研究会として発足し,年2回のペースで開催されて今回が5回目となるが,参加者は過去最多の207名にのぼった。会場の参加者に挙手によるアンケートを行ったところ,「これからCT Colonography(CTC)を実施したいと考えている」施設が最も多かったことからも,CTCが本格的な普及段階に入ったことがうかがえる。本研究会の果たす役割もますます重要になると思われる。
冒頭,当番世話人の平野雄士氏の挨拶に続いて,小倉敏裕氏(群馬県立県民健康科学大学)の司会で,富松英人氏(岐阜大学)による教育講演(共催:味の素製薬(株))「CT colonographyで診る大腸癌〜術前症例から〜」が行われた。富松氏は豊富な症例を供覧。今後,CT colonographyの重要性が増し,早期浸潤がんを検出可能になれば早期治療に貢献できるが,穿孔などのリスク管理も必要になってくると述べた。
一般演題は,原田耕平氏(札幌医科大学付属病院)を座長に,「大腸3D-CT診断における読影者間の相違に関する検討」(藤原氏・亀田メディカルセンター幕張),「逐次近似法を応用したCTCの被ばく低減に向けた基礎的検討」(箱石氏・JA北海道厚生連札幌厚生病院),「小腸3DCTにおける炭酸ガス自動注入器の使用経験」(後藤氏・北海道消化器科病院)の3題の発表が行われた。
続いて,ランチョンセミナー「CTCに最も重要なツールとは?」が,山本修司氏(国立がん研究センター)の司会によりビデオ発表された。参加企業は,次のとおり。コドニックス・リミテッド(Virtur),伏見製薬(FG-one★),エーディア/エーザイ(プロトCO2L),根本杏林堂(CO2 Insufflator:薬事申請中),インフィニットテクノロジー(Xelis Colon),AZE(VirtualPlace 新・大腸解析ソフトウェア),ザイオソフト(ziostation2),フィリップスエレクトロニクスジャパン(CT&各種アプリ),GEヘルスケア・ジャパン(高齢化社会への対応のイメージビデオ),東芝メディカルシステムズ(CT Aquilionシリーズ),(発表順)。
午後は,当番施設におけるCT Colonography(田仲健朗氏・小樽掖済会病院)の報告を挟んで,一般演題2題が渡辺直輝氏(小樽協会病院)を座長に発表された。演題は,「CTCにおけるバリウムと等張液を用いた前処置法の考案」(設楽氏・国立がん研究センター東病院),「CTCにおける前処置法別tagging効果および受容性の検討」(川上氏・済生会熊本病院予防医療センター)である。
次に,関連メーカーセッション「技師による一次チェックの実践─ワークステーションを使いこなす!─」がアミン,GEヘルスケア・ジャパン,AZEの共催で実施された。3社のWSで,別々の症例の元画像の画像処理・表示を実際に行い,一次チェックを実施していく。平野雄士氏と鈴木雅裕氏(国立がん研究センター中央病院)が司会を務め,AZEは長崎県上五島病院の安田貴明技師,GEはメーカーから山口理絵氏,アミン/ザイオソフトは済生会熊本病院の松田勝彦技師が挑戦した。症例は,山下病院の山崎通尋氏と鈴木雅裕氏が2例ずつ提供。まず,3社別々の症例を実施した後,最後の1例は同時に画像処理と1次チェックを行った。アドバイザーの飯沼元氏(国立がん研究センター中央病院)は,各社工夫があってそれぞれ特徴があるが,臨床例をどのように見るかを考え,かつポリープや小さい病変などの対象病変を理解した上で,診断する立場にたってイメージングを開発してもらいたいとコメントした。
続いて,最後のエーザイ/エーディアセッション(共催:エーザイ/エーディア)では,最初に共催社を代表してエーザイ・ジャパンの村上聡氏が挨拶に立ち,2011年8月のプロトCO2L承認までの経緯を説明。大腸CT撮影加算の適用には, 他の検査で大腸悪性腫瘍が疑われる患者に対して,64列以上のマルチスライス型,16列以上,64列未満のマルチスライス型として届出を行っている機器でCT撮影を行った場合で,直腸用チューブを用いて二酸化炭素を注入し,下部消化管を撮影して三次元画像処理を行うものに算定されるという条件があることに注意を促した。また,エーザイ/エーディアはCTCの情報を提供する専門サイト「大腸CT.com」(http://大腸CT.com)を今年8月に開設予定であり,登録受付中ということを明らかにした。
続く講演1は,鈴木雅裕氏の司会により,坂本崇氏(済生会熊本病院)が「CTCの技術を考える」を発表。豊富な臨床経験をもとに,前処置,腸管拡張,撮影,画像処理の4つのジャンルに分けて,技術を詳細に解説した。将来展望として,スクリーニングCTCにはCTCバリウムを用いて受容性を高めること,炭酸ガスで安定した腸管拡張,CADも利用して解析の時間短縮と精度向上,逐次近似再構成法で被ばく低減,術前CTCでは壁進達度診断が可能に,などを挙げた。
最後の講演2は,飯沼元氏が,「CTコロノグラフィ─保険適応と今後の大腸画像診断の展開」と題して講演した。司会は,山崎通尋氏。わが国におけるCTC研究の第一人者である飯沼氏は,現在までの前処置法,腸管拡張法,撮影法,画像処理法など多岐にわたる各社との共同研究の内容や成果を報告し,保険収載を機に,さらなる受容性の高い前処置法,被ばく低減,検査時間の短縮,CADによる診断精度の向上などに取り組む必要性を述べた。また,がん研究センターを中心にしたマルチセンタースタディを実施し,2014年診療報酬改定に向けて,特殊撮影としての保険点数獲得を目指したいと述べた。CTCは,注腸造影検査や内視鏡検査で培われた日本の優れた消化管診断のスキルを生かすことができ,世界をリードする分野になりうると,決意と展望を語った。
次回,第6回消化管CT技術研究会は,2013年6月または7月に開催される見込みである(当番世話人は山崎通尋氏)。なお,それに先駆けて今年の12月22日には,消化管CT研究会と消化管CT技術研究会が合同で,「CT Colonographyシンポジウム2012」を開催する予定である。
■関連メーカーセッション
司会:平野雄士氏(小樽掖済会病院),鈴木雅裕氏(国立がん研究センター中央病院)
AZE:長崎県上五島病院・
安田貴明技師 |
GEヘルスケア・ジャパン:
山口理絵氏 |
アミン/ザイオソフト:
済生会熊本病院・
松田勝彦技師 |
■機器展示会場
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