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取材報告

2011
第3回消化管CT技術研究会 開催

会場風景
会場風景

総合司会:吉川秀司氏 (一般演題(術前)司会) (大阪医科大学附属病院)
総合司会:吉川秀司氏
(一般演題(術前)司会)
(大阪医科大学附属病院)

開会挨拶:鈴木雅裕氏 (国立がん研究センター中央病院)
開会挨拶:鈴木雅裕氏
(国立がん研究センター中央病院)

教育講演(司会):小倉敏裕氏 (群馬県立県民健康科学大学)
教育講演(司会):小倉敏裕氏
(群馬県立県民健康科学大学)

教育講演:歌野健一氏 (自治医科大学附属病院)
教育講演:歌野健一氏
(自治医科大学附属病院)

一般演題:田仲健朗氏 (小樽掖済会病院)
一般演題:田仲健朗氏
(小樽掖済会病院)

一般演題:坪井秀明氏 (松戸市立病院)
一般演題:坪井秀明氏
(松戸市立病院)

当番施設におけるCTC:長島千恵子氏 (国立がん研究センター中央病院)
当番施設におけるCTC:長島千恵子氏
(国立がん研究センター中央病院)

一般演題(検診)座長:山葡ハ尋氏 (エーザイセッション 講演2) (医療法人山下病院)
一般演題(検診)座長:山葡ハ尋氏
(エーザイセッション 講演2)
(医療法人山下病院)

一般演題:藤原正則氏 (亀田メディカルセンター幕張)
一般演題:藤原正則氏
(亀田メディカルセンター幕張)

一般演題:松本徹也氏 (大腸肛門病センター高野病院)
一般演題:松本徹也氏
(大腸肛門病センター高野病院)

関連メーカー講演 「ワークステーション実力検定テスト」
関連メーカー講演
「ワークステーション実力検定テスト」

解説:三宅基隆氏 (国立がん研究センター中央病院)
解説:三宅基隆氏
(国立がん研究センター中央病院)

エーザイセッション 講演1(司会):山本修司氏 (国立がん研究センター)
エーザイセッション
講演1(司会):山本修司氏
(国立がん研究センター)

エーザイセッション 講演1:平野雄士氏 (小樽掖済会病院)
エーザイセッション
講演1:平野雄士氏
(小樽掖済会病院)

エーザイセッション 講演2(司会):坂本 崇氏 (済生会熊本病院)
エーザイセッション
講演2(司会):坂本 崇氏
(済生会熊本病院)

  「第3回消化管CT技術研究会」(代表世話人:平野雄士氏・小樽掖済会病院)が6月18日(土)の午後,東京・築地の国立がん研究センター国際研究交流会館で開催された。当番世話人は鈴木雅裕氏(国立がん研究センター中央病院),総合司会は吉川秀司氏(大阪医科大学附属病院)が務めた。本研究会は2010年6月,CT Colonographyを中心とした消化管検査に携わる診療放射線技師の意見交換とレベルアップを目的とする研究会として発足し,年2回のペースで開催されている。今回の参加者は161名にのぼり,CTCへの関心の高まりが感じられた。

  当番世話人の鈴木雅裕氏による開催の挨拶の後,小倉敏裕氏(群馬県立県民健康科学大学)の司会により,歌野健一氏(自治医科大学附属病院)の教育講演「大腸術前診断におけるCTCの有用性」が行われた。大腸がん手術では病期診断(TNM分類)と局在診断が必須である。同院では大腸がん手術のほぼ全例に対し術前CTCを施行しており,年間約300件にのぼるという。従来は内視鏡検査や造影CT,注腸造影検査を3日間かけて行っていたが,現在では,内視鏡検査とCTCを同日に施行することで,1日のみに短縮することが可能になった。歌野氏は同院におけるCTCについて,撮影方法や診断能などを具体的に解説した。同院のCTCは,40または64列MDCTで腹臥位30 mAs,背臥位200 mAsの低線量で撮影し,再構成間隔1mmで画像処理を行い,仮想内視鏡(VE)像,仮想注腸(air enema)像,MPR画像を作成する。CTCの局在診断能は95%を超えると報告されているが,平坦病変の描出能はまだ明らかではない。壁深達度診断では,注腸造影検査における側面変形分類とCT air enema像の比較,内視鏡診断とVE像の比較,環周率と深達度の関係(環周率>50ではss以深が多い)を重視している。さらに,2D画像で腫瘍直下に毛羽立ちを認める場合はss以深が示唆されるなど,CTCによる壁深達度診断の正診率は高い。また,CTCの有害事象はほぼ0に近く,安全な検査と言える。最後に医療費用について,注腸造影検査が実施されないことで約2万円の医療費の削減(患者負担の減少)となるため,術前CTCが普及することが考えられるが,医療施設にとっては収入の減少という側面もあり,CTCの保険収載が今後の課題であるとした。

  続いて一般演題が,当番施設におけるCT Colonography(長島千恵子氏・国立がん研究センター中央病院)の発表を挟んで行われた(インナービジョン2011年1〜3月号参照)。前半は,吉川秀司氏を座長に,術前をテーマとする2演題,「腹腔鏡下大腸切除術における3D-CTA描出法の検討」(田仲健朗氏ほか・小樽掖済会病院)と「自動炭酸ガス注入法によるCT colonography」(坪井秀明氏ほか・松戸市立病院)が発表された。後半は,山葡ハ尋氏(医療法人山下病院)を座長に,検診をテーマとする2演題,「大腸がん検診におけるCTコロノグラフィーの有用性の検討」(藤原正則氏ほか・亀田メディカルセンター幕張)と「低線量CT colonographyを用いた大腸スクリーニングにおけるコンピュータ支援読影ソフトの評価」(松本徹也氏ほか・大腸肛門病センター高野病院)が発表された。

  次に,関連メーカー講演「ワークステーション実力検定テスト」がアミン,GEヘルスケア・ジャパン,AZEの共催で実施された。3社のWSが壇上に設置され,それぞれ別々の症例の元画像(2000枚)の画像処理・表示を実際に行い,診断をつけるというもの。GEヘルスケアは北福島医療センターの松井 大樹技師,アミン/ザイオソフトは済生会熊本病院の松田勝彦技師,AZEは亀田メディカルセンター幕張の藤原正則技師が操作にあたり,坂本 崇氏(済生会熊本病院)と鈴木雅裕氏が司会を務めた。3社のWSとも,パスで経路を作成してVE像でチェックし,MPRで確認するという基本的な流れは共通しているが,GEは支援読影ソフト(Colon VCAR),ザイオソフトは展開像(VGP)やVE + MPR像,AZEは2体位同時解析機能などの特徴が示された。症例を提供した進行・解説役の三宅基隆氏(国立がん研究センター中央病院)は,WSの処理速度や表示法の進歩には著しいものがあり,それぞれの特徴を最大限生かして,大腸がんの多くを占める隆起性病変をまず正確に拾い上げることが重要であるとコメントした。

  研究会の最後はエーザイセッション(共催:エーザイ株式会社)として,山本修司氏(国立がん研究センター)の司会で講演1「CTCの撮影線量」(平野雄士氏),および坂本 崇氏の司会で講演2「CTCスクリーニング技術」(山葡ハ尋氏)が行われた。講演1で平野氏は,この度の福島第一原発事故により,国民の被ばくに対する意識が非常に高くなっており,被ばく線量の比較対象として胸部X線検査(0.1〜0.3 mSv)やCT検査(7〜20 mSv)が示されることから,特にCTの被ばくが多いことが注目されているとした。講演では,CTCの被ばく,特にスクリーニング・検診における被ばくを減らすために,線量をどこまで下げられるかを追求した自作ファントムによる実験結果を示した。その結果,大腸のみの観察の場合,5〜15 mAsという超低線量化が十分可能という。また,スムージングフィルタや逐次近似再構成法を利用するような装置側の技術進歩も被ばく低減には大きく寄与する。司会の山本氏は,日本でもACRのガイドラインのような具体的な線量基準を決める必要があるのではないかと指摘した。平野氏も,技師として具体的な被ばく線量を常に把握し,患者の疑問に答える必要があるとした。CT装置の被ばく低減技術の進歩は著しいものがあるが,現場では技師の撮影技術と使命感で線量低減を図る努力をしていくと述べた。

  次回の第4回消化管CT技術研究会は11月19日(土),大阪にて開催される予定である。

機器展示会場 (GEヘルスケア・ジャパン,東芝メディカルシステムズ,日立メディコ,フィリップスエレクトロニクスジャパン,メディックサイト,アミン,エーザイ,コドニックスリミテッド,サイバネットシステム,インフィニットテクノロジー,ヱスビー食品)
機器展示会場
(GEヘルスケア・ジャパン,東芝メディカルシステムズ,日立メディコ,フィリップスエレクトロニクスジャパン,メディックサイト,アミン,エーザイ,コドニックスリミテッド,サイバネットシステム,インフィニットテクノロジー,ヱスビー食品)

大腸CT用検査食の試食会
大腸CT用検査食の試食会
国立がん研究センターがん予防・検診研究センターと共同開発した被検者の負担の少ないfecal tagging(FT)法の専用検査食「FG-one」がカレーライスや親子丼,スープなどのパッケージで発売された(総販売元:伏見製薬,販売者:ヱスビー食品)。電子レンジで温められる手軽さが特徴。今回の試食会では味も好評だった。(問い合わせ先:フリーダイヤル 0120-120-671)


●問い合わせ先
事務局:国立がん研究センターがん予防・検診研究センター内
ホームページ http://gict-tec.com


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