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取材報告

2011
GEヘルスケア・ジャパン
東日本大震災における災害医療と地域医療再生をテーマにメディアセミナーを開催

小山耕太郎氏(岩手医科大学)
小山耕太郎氏
(岩手医科大学)

多田荘一郎氏(超音波本部本部長)
多田荘一郎氏
(超音波本部本部長)

  GEヘルスケア・ジャパンは,2011年9月5日(月)に日本記者クラブ(東京都千代田区)にてメディアセミナー「東日本大震災における災害医療と今後の地域医療再生について〜日本超音波医学会と岩手県の取り組みから〜」を開催した。
  岩手医科大学医学部小児科学講座教授/岩手医科大学附属病院循環器医療センター循環器小児科の小山耕太郎氏が講師を務め,被災地での医療の実態や,災害医療における超音波診断の果たした役割,今後の医療のあり方や課題について講演した。小山氏は,震災発生直後から被災地の岩手で「日本超音波医学会の被災地支援の窓口」および「いわて災害医療支援ネットワーク(岩手医科大学を中心に医療救護班の活動を一元的に管理)」の一員として災害医療に携わった経験を持つ。

  はじめに,小山氏は震災における日本超音波医学会の取り組みを紹介。震災後の迅速な連携により,震災一週間後にはポータブル超音波装置が被災地に届けられ,被災地に入る医療班が携帯することができたという。

  震災発生初期のDMATを中心とした第一段階を過ぎ,避難所での生活が軸となってくる第二段階に力を発揮すると考えられたポータブル超音波装置だが,医療班に同行した小山氏は,避難所では慢性疾患のコントロール不良や感染症の広がり,衛生面の悪化への対応が診療の中心であり,超音波装置を用いる機会はなかったと述べ,津波による被害が大きかった今回の震災の特徴であるとした。しかし,DMATが撤収すると使用できる医療機器もなくなることから,被災した医療機関や仮設の診療所ではポータブル超音波装置が必要であるとし,特に仮設診療所は標準電源のため据え置き型は起動困難な場合もあり,ポータブル型が必要となると述べた。また,ポータブル超音波装置を用いた,避難所におけるDVT(深部静脈血栓症)スクリーニングについて報告した。
  被害の大きかった沿岸地域は,津波による被害や通信の途絶,ガソリン不足に加えて,互いに孤立した地理的特徴と,そもそもの医療過疎が課題であったとし,被災地での医療活動を具体的に述べながら,震災直後の医療支援の困難さを説明した。そして,混乱した診療活動を統括したいわて災害医療支援ネットワークや,県内各地域の連携による医療支援体制について説明した。

  小山氏は,地域医療再生への道は,基幹拠点病院の再整備と,新生の地域社会に応じた県全体の新しい医療体制であるとし,県の復興基本計画を紹介するとともに,医療機関など公共分野で利用している情報基盤である「いわて情報ハイウェイ」のネットワーク拡張の重要性を強調した。また,経験からの学びとして,災害時の超音波検査を適切に行うためには,医療過疎地域における超音波専門医,検査士の養成やpoint of careエコー(患者の所へ超音波装置を持参しての検査)の普及など,平時から超音波検査を広めていくことが重要だと述べた。

  小山氏の講演に続き,超音波本部本部長の多田荘一郎氏が「被災地における『携帯型エコー』の活用事例と今後の可能性」と題し,被災地におけるポータブル超音波装置の有用性について述べるとともに,日本の医療環境における課題への同社の取り組みなどについて紹介した。
  同社は,ポケットサイズの超音波装置「Vscan」をはじめ,数種類のポータブル超音波装置を被災地に貸し出し,または寄贈しており,被災地における慢性期疾患高齢者のプライマリケアや妊婦検診,急性期疾患のトリアージに役立ったとの声が聞かれているという。多田氏は,少子高齢化や医師の偏在,厳しい医療財政といった日本の医療課題の解決のためには限りある医療資源の有効活用が重要であるとし,可搬型医療診断機器やクラウドを活用するなどした地域医療連携支援ネットワーク構想について紹介した。


●問い合わせ先
GEヘルスケア・ジャパン株式会社
コミュニケーション本部
TEL 0120-202-021
http://www.gehealthcare.co.jp

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