可搬型FPD搭載X線テレビシステム
「FLEXAVISION F3」
FLEXAVISION F3のFPDは取り外しが可能で,立位の胸部撮影にも対応できる(オプション)。
デジタル式回診用X線撮影装置
「MobileDaRt Evolution」
保育器とユニットで提案された
MobileDaRt Evolution
膝関節におけるCT,単純X線,トモシンセシスの画像の比較。トモシンセシスは金属アーチファクトがなく,明瞭に描出される。
診療所向けの電子カルテシステム「SimCLINIC T3」はデジタルX線とのパッケージも提案
電子カルテをiPadで閲覧できるシステムを展示
外科用X線テレビシステム
「OPESCOPE PLENO」
会場の様子
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(株)島津製作所は,5月27日,28日の2日間,東京支社(千代田区)において医療機器展示会「島津メディカルフェスタ2011 in 東京」を開催した。同社は「New Values for a New Tomorrow」をテーマに技術・製品開発を行っており,展示会では新製品,最新技術が紹介され,多くの見学者が訪れていた。この展示会は,東京での開催のほか,京都,福岡でも開催される。
展示会の目玉として紹介されたのが,10月発売予定の可搬型FPDを搭載したX線テレビシステム「FLEXAVISION F3」。搭載する17インチ×14インチのFPDは透視と撮影が可能なタイプで,検診や内視鏡検査などで透視撮影のニーズが多い病院や診療所において,1台で一般撮影から透視までをカバーすることができる。FPDは可搬型で,取り外してテーブルの上で撮影したり,スタンドに取り付ければ立位での胸部撮影もできるなど,自由なレイアウトで検査が可能なシステムだ。FLEXAVISION F3は,トモシンセシスやスロットラジオグラフィーなどの多彩なアプリケーションを搭載した最上位機種「Safire」シリーズに対し,ミドルクラスとしてデジタル化が進む病院や診療所への展開が期待されている。
島津製作所は,回診用X線撮影装置で大きな評価を得ているが,3月に発売したデジタル式回診用X線撮影装置「MobileDaRt Evolution」のワイヤレスFPD搭載タイプを展示した。ワイヤレスFPDの採用により,ケーブルフリーでポジショニングが可能で,撮影後にすぐに画像が確認できるなど,一層スムーズな検査が行えるようになった。特に,ICUなどでは,他の機器との干渉を気にせず使用できることや,パネル全体にカバーをかけることで血液などの付着を防ぎ,よりクリーンな環境で使用することができる。
ソフトウエア面では,新しい機能として緊急時の撮影後にRISとの紐づけが装置上で簡単にできる「緊急患者モード」を搭載。約20%の解像度向上や,被ばく線量を従来機から約1/2に低減するなど技術の向上が図られた。さらに,最大出力32kwの大出力X線による短時間撮影により,小児や救急搬送された患者など体動がある場合にもブレの少ない画像を得ることができ,撮影3秒後に本体モニタで画像確認することができる。なお,回診用X線撮影装置でワイヤレスのFPDを採用したのは国内初となる。
また,MobileDaRt Evolutionに,コンパクトFPD(有効視野23cm×28cm)を搭載した,NICUなどの周産期医療分野に向けたソリューションも紹介した。アトムメディカル(株)と連携してFPDの装てんが可能な保育器を共同開発し,保育器を開けたり動かしたりせずに,内部の環境を維持したまま新生児や超未熟児のX線撮影を可能にした。500gに満たない超未熟児への医療では,挿管やカテーテルの留置などは,非常に細かくデリケートな手技が要求されるが,従来は保育器に対応したX線撮影装置がなく経験が頼りだった。保育器に対応したFPDと撮影装置によって,低被ばくで短時間での撮影と3秒後の画像確認が可能となり,より正確で安全な処置が可能になり超未熟児医療への貢献が期待される。
デジタル化の進みつつある診療所のニーズに対応して,同社の一般撮影装置「RADspeed Pro」とFPDシステム,無床診療所向けの電子カルテシステム「SimCLINIC T3」(島津メディカルシステムズ社)を,パッケージシステムとして提案した展示も行われた。診療所でのニーズが高い一般撮影のデジタル化と,診療所向けにカルテ,レセコン,DICOM画像ファイリング機能までを標準装備した電子カルテを組み合わせることで,画像機器メーカーならではの使い勝手の良さをリーズナブルな価格で提供できるという。また,現場の医師からの要望の多い電子カルテをiPadで閲覧できるシステムも紹介し,訪問診療などで院外からの電子カルテ参照にも近々対応する予定だ。
そのほかSafire Galleryとして,整形外科などで臨床応用が広がりつつあるトモシンセシスの症例画像や,X線血管撮影装置「BRANSIST safire」の新アプリケーションとして拍動で動くステントをリアルタイムに固定表示する「DynamicStentView」などのアプリケーションが紹介されていた。
医用機器事業部マーケティング部長の青山功基氏は,今後のマーケティング方針を次のように話す。「今後,DRがより広がっていくことが予想され,中小の病院,民間病院,診療所向けに,特にモバイルやFPD搭載装置の幅広いラインナップをそろえて,国内のデジタル化を推進していきたいと考えています。また,海外においては,新興国でまとまった台数を,デジタルで購入するケースもあり,そういった市場に展開していきたいと考えています」 |