パッケージソフトウエアの開発,販売を手がけるシンコム・システムズ・ジャパン(株)は2010年12月7日(火),アップルストア銀座(東京都中央区)において,「Cincom Healthcare Night Vol.2 in Apple Store, Ginza」を開催した。同社は今年7月と9月に,アップルストア銀座において,医療・介護などヘルスケア分野における「iPhone」「iPad」の活用をテーマにしたセミナーを開催している。今回は,「訪問看護ステーションでのiPhone/iPad活用方法のご提案」と題して,訪問看護の現状の課題とその解決に結び付くiPhoneなどの携帯情報端末の活用についての講演とプレゼンテーションが行われた。
冒頭,同社の代表取締役マネージング・ディレクターの石村弘子氏が挨拶に立ち,iPhoneやiPadはヘルスケア分野で注目されており,コスト削減などの効果が期待されているとして,セミナー開催の趣旨を説明した。
この挨拶に続き,高崎健康福祉大学健康福祉学部医療情報学科准教授の木村憲洋氏が基調講演を行った。講演のテーマは,「訪問看護ステーションにおけるiPhone,iPadの活用」。木村氏は,まず医師の指示にもとづいて在宅療養する患者に対して看護サービスを提供する訪問看護ステーションの役割や現状について説明し,医師,看護師,ケアマネージャー間での情報共有が重要である述べた。そして,訪問看護の課題として,訪問の効率化,看護記録の効率化,看護記録の合理化などを挙げた。こうした課題を解決するために,木村氏は,いつでも情報を閲覧でき,携帯性に優れるというiPhoneの特長を生かし,訪問看護の業務改善と情報共有や教育にも活用できることをコンセプトに開発を進めている「訪問看護ステーション支援システム」の紹介を行った。
続いて,木村氏とともにこのシステムを開発している(株)エス・ケイ マーケティング開発部の黒田 篤氏が具体的な画面イメージなどを示しながら,システムの概要を説明した。また,黒田氏は,同様に開発を進める点滴の速度を調整するためのiPhone向けのアプリケーションである「メディカルタイマー」についてもPRを行った。なお,このメディカルタイマーは2011年1月から,iTunes App Storeにて発売される予定である。
さらに,シンコム・システムズ・ジャパン営業部の石井昌英氏が,「米国の事例に学ぶ訪問看護システムのポイント」と題し,プレゼンテーションを行った。石井氏は,同社の米国本社が取り組んだ米国Amedisys社のコールセンター「ENCORE」について紹介した。このENCOREは退院患者の継続的なケアを行うためのコールセンターであり,このシステムの活用により再入院患者を減少させるなどの効果を上げている。石井氏は,導入が成功した理由について,クラウドサービスによる短期間でのサービス開始,仕様変更への柔軟な対応,小規模でのスタートを挙げた。
訪問看護の現場は多忙であり,今後在宅医療が進んでいく中で,業務の効率化が求められている。今回紹介されたようなシステムは,業務改善だけでなく,在宅医療,看護の質を上げていくことにもつながると考えられるだけに,普及が期待される。 |