神戸大学大学院医学研究科内科学講座特命講師の杉本真樹氏を中心としたTeam医療3.0は2010年9月25日(土),アップルストア銀座(東京都中央区)において,「iPhone/iPad in Medicine:医療3.0」を開催した。このセミナーは,診療現場や医学教育など医療分野において,iPhoneやiPadを活用している先進的な事例を紹介することを目的に行われた。4月に行われた第1回目のセミナーが好評だったことを受けて,2回目が開催された。
開会に先立って,医療向けのiPhone・iPadアプリのビデオレター形式でのプレゼンテーションが行われた。まず,(株)ケアネット医療コンテンツ部長の姜L鎬氏が医学スライド共有システム「Resi-Share Pyramid」のiPhone・iPad版である「ケアネットMALS」(http://itunes.apple.com/jp/app/id389516966?mt=8)を紹介した。また,ファルメディコ(株)の薬剤師教育ツールである「基礎から学ぶバイタルサインHD」(http://itunes.apple.com/jp/app/id387831346?mt=8)を代表取締役社長の狭間研至氏がPRした。
続いて,杉本氏が「iPhoneとiPadが変革する診療現場と医薬学教育:『“医領”解放構想:医療3.0』」をテーマに基調講演を行った。杉本氏は,現在の日本は診療科や地域,企業,行政などの枠組みの中で「医領鎖国」になっていると指摘。それが医療崩壊につながっていると述べた。そして,iPhoneやiPadといった携帯情報端末を活用することで,こうした現状から「解放」されると力説した。さらに杉本氏は,医療や福祉分野にかかわる人々の「バリューとプロセス」を明確化し,それを組み直しや補完,強化することで全体最適化につなげて,「再発明」するとiPhoneやiPadの可能性を強調した。
この後,済生会栗橋病院外科医長の網木 学氏が,「外科的手技教育で活用するMacとiPad」と題して,医療法人社団淀さんせん会金井病院理事長の金井伸行氏が,Resi-Share Pyramidを用いた研修医教育の実践について報告した。また,休憩後には,医療法人社団プラタナス桜新町アーバンクリニック院長の遠矢純一郎氏が,iPhoneを活用した地域連携カルテの構築について,習志野台整形外科内科院長の宮川一郎氏が,iPadを用いた問診票の活用事例について報告した。
最後の発表では,東京慈恵会医科大学脳神経外科の高尾洋之氏が,脳卒中の早期診断・治療に役立つ「i-Stroke」の使用経験について紹介した。
*本セミナーの詳細な取材記事は,11月中旬に無料配信するITvision No.22 iPad版に掲載します。 |