日本オラクル(株)は,高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)が進めるEHR(Electronic Health Record)などの医療情報連携基盤ソリューションへの取り組みを2011年度から積極的に展開する。10月26日(火)に,本社で記者会見し米国オラクルのニール・デ・クレセンゾ氏(ヘルス・サイエンス・グローバル・ビジネス・ユニット シニア・バイスプレジデント)と日本オラクルの白石昌樹氏(執行役員エンタープライズ営業統括本部 公共システム事業本部長)が今後の事業方針を説明した。
日本オラクルは,「Oracle Database 11g」をはじめとするデータベース製品群,患者や臨床データの管理を行う「Oracle Healthcare Transaction Base」,ID管理の「Oracle Identity Management」やService Oriented Architecture(SOA)のソリューションである「Oracle SOA Suite」などのミドルウエア製品を中核のソリューションとして,医療情報連携基盤の構築を支援する。同社では,シンガポールでアクセンチュアと共同で広域の電子カルテシステムを構築するなど,北米,欧州,アジア地域での政府や自治体,医療機関などが進める医療分野のIT化の実績を背景として,これから拡大が予想される日本での医療情報連携基盤市場への取り組みを強化する。
白石氏は,日本オラクルは,従来から国内の医療分野では病院向けソリューション(電子カルテやオーダリングシステムのDB提供など)や診療情報管理・活用ソリューション(SOAによる診療科別の原価計算など)などの事業を展開してきたが,新たに医療情報連携基盤市場へ参入し「オラクルが海外で培ってきた技術と実績を提供し,日本の医療環境にあわせてパートナー企業や学会とも連携して,これからの連携基盤構築の推進を支援する。そのために社内の技術部門の強化,海外チームとの連携,ソリューションの日本対応などを進めている。さらに基盤構築後のビジネスもにらみ,医療向けビジネス・インテリジェンス(BI)や糖尿病などの“慢性疾患管理ソリューション”の提供も段階的に進めていきたい」と今後の方針を語った。
クレセンゾ氏は,同社がこれまで製薬や研究開発などのライフサイエンスや医療分野で取り組んできた実績を紹介し「ITイノベーションは2つの領域が“パーソナル医療”というかたちで融合するパラダイムシフトを促進した。オラクルの豊富なノウハウ,標準化されたオープンな環境は医療情報連携基盤の構築に貢献できる」と述べた。 |