4日の11時から,「リアルタイムイメージングを用いた生体現象の3次元的、4次元的解析─人体の動態から古代生物の探査まで─」と題した特別講演を行った鈴木直樹氏(東京慈恵会医科大学教授/総合医科学研究センター高次元医用画像工学研究所所長)は,2000年に高次元医用画像工学研究所の所長に就任。以来,3次元,4次元イメージングを活用したバーチャルサージェリーやナビゲーションサージェリーシステムなどの研究開発を精力的に推進してきた。現在,同研究所には,Medical Virtual Reality Team, Robotic Surgery Team, High Dimensional Database Team, 4D Imaging Teamの4つのチームがあり,それぞれ最先端の研究を行っている。
今回の講演では,これまでの研究成果を発表することに加え,長谷川大会長の要請により,2005年の愛・地球博に展示された冷凍マンモスの3次元データ解析のエピソードが語られた。鈴木氏は,人間が人間になるまでの長い進化の過程を研究するために,古生物学に画像工学を応用し,3次元画像データで解析することを手掛けている。愛・地球博のマンモス発掘・展示プロジェクトでは,2004年にシベリアのユカギルで現地調査を敢行。鈴木氏自ら極寒のシベリアで命がけの現地調査に加わり,発掘した頭部などを日本に運んで,牛用の大型CTを改良して撮影を行いボリュームデータを取得・解析した(マンモスプロジェクト)。一連の現場写真を提示しながら解説した鈴木氏は,研究者というより探検家といった方がふさわしい,意外な一面を見せてくれた。
鈴木氏は,「医学はもちろん,先端技術を使った“時間の旅”を行っていきたい」という言葉で講演を締めくくった。 |