「国際モダンホスピタルショウ2009」では,例年展示ホールでの展示のほか,会議棟では,主催者企画によるホスピタルショウカンファレンスや出展者プレゼンテーションセミナーが行われる。
最終日となる7月17日(金)には,東芝住電医療情報システムズ(株),東芝メディカルシステムズ(株)によるセミナーが行われた。セミナーのテーマは,「ITによる地域医療連携の現状と将来展望」。医療制度改革によって2008年4月から新しい地域医療計画がスタートし,さらに今年度の補正予算で,3100億円が地域医療再生に向けて確保されたことから,ITを活用した地域医療連携は医療関係者はもとより,医療情報システムメーカーも注目しているテーマである。セミナーでは,千葉大学医学部附属病院医療情報部教授の高林克日己氏が講演者を務めた。高林氏は,地域医療連携システムは,単に連絡機能を果たすだけではコスト高になってしまうと述べ,施設間で診療情報を共有できるようにすることが重要だと説明した。その上で,自身が取り組んだ松戸市医師会のEMInet(Electronic Matsudo Medical Information network),長崎県のあじさいネットなど国内で展開されている地域医療連携システムについて解説。海外の動向も含めEHR(electronic health record)とPHR(personal health record)についても説明した。
両社は,初日15日にもPACSをテーマにしたセミナーを設けたが,ブースにおいてもPACSの新機能を紹介していた。これは,PACS「RapideyeCore」に,放射線部門の画像データだけでなく,心電図や内視鏡など他部門システムの画像を連携させ,カレンダー上の画面に検査履歴を表示させ,そこをクリックすると画像を展開できるというもので,My Shelfと呼ばれている。医師にとっては,画面上に一元的に検査情報を管理できるというメリットがある。また,電子画像管理加算によってPACS導入施設が増える中,レポート機能をもとにして,検査依頼書を作成する簡易オーダ機能をPACSに搭載させた。これにより,オーダリングシステム未導入の施設でも先にPACSを導入して,効率的な運用ができるようになるという。
病院向けの医療情報システムは,補正予算や電子画像管理加算などのインセンティブがあることから,地域医療連携システムやPACSが目立っていたが,診療所向けに目を向けると,義務化の期限がせまるレセプトオンライン請求に関連しレセプトコンピュータ(レセコン)にも注目が集まっていた。診療所向け電子カルテシステムの大手である三洋電機(株)は,2007年のホスピタルショウでレセコン一体型電子カルテシステム「Medicom-HR」を発表したが,今回のホスピタルショウでは,電子カルテシステムを後から追加できるレセコン「Medicom-HRi」をPRしていた(詳細はこちら)。オンライン請求に対応した後に,将来的に電子カルテシステムを導入したいという施設に最適だという。同社では,レセコン単体と電子カルテシステム一体型の製品ラインナップであったが,ラインナップを拡充することで,幅広いユーザーのニーズに応えるとしている。
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