(株)フィリップスエレクトロニクスジャパンは8月1日(金),ヘリカルCTとしては,世界最高となる256スライスのマルチスライスCT「Brilliance iCT」の販売を開始した。発売当日には,本社にて報道関係者向けの説明会を行った。
Brilliance iCTは,RSNA2007(北米放射線学会)で発表された同社のフラッグシップ機。今春の2008国際医用画像総合展(ITEM in JRC 2008)では,国内薬事未承認ながらモックアップが展示され,7月に薬事承認を受けた。
ハードウエア面では,同社の最新CT技術であるEssence Technologyを採用。球面状のナノ・パネル・ディテクタとアーチファクトを軽減するSmart Focal Spotにより,高画質化を図っている。ディテクタのサイズは0.625mmとなっており,256スライスで80mmの撮影範囲を持つ。また,エアベアリングによるガントリの回転速度の高速化を図ったことで,世界最速となる0.27s/rotでの撮影が可能。高心拍な被検者への検査の適応が広げられるほか,ステントの描出能が向上する。さらにX線管には,最高出力1000mAのiMRCを用いており,体格の大きな被検者の検査にも対応する。
一方で,被ばく対策としては,ヘリカル専用の可変コリメータによる低減を図っているほか,冠動脈CT用のアプリケーションであるStep & Shoot Cardiacにより,従来よりも患者の負担を大幅に減らした検査が可能になっている。
説明会でプレゼンテーションを行った同社ヘルスケア事業部マーケティング本部CT/NM部長の小山克彦氏は,Brilliance iCTが低被ばく,息止め時間短縮,CTAにおける造影剤量の低減といった,被検者に優しい装置であることを強調していた。
Brilliance iCTは,RSNA2007での発表以降,現時点で,オランダのユトレヒト大学など世界全体で10台が稼働している。国内では,10月から出荷を開始。初年度30台の受注を見込んでいる。今春の診療報酬改定で冠動脈CTの加算が新設され,64スライス以上のCTの需要が伸びると予想される。同社のBrilliance iCTが登場したことにより,さらに市場が活発化することが期待される。 |