富士フイルム(株)は7月7日(月),三次元画像解析システム「ボリュームアナライザー SYNAPSE VINCENT」の発売した。同日には,東京ミッドタウン(東京・港区)の本社において,記者発表会を行った。
このシステムは,デジタルカメラの顔検出や,今年2月に発表されたマンモグラフィCAD「MV-SR657」に用いられてる独自の画像処理技術である「Image Intelligence」を採用し,臓器や血管など高精度かつ短時間での自動抽出を可能としている。また,診断だけでなく,治療計画を検討する上で有用な解析機能を搭載している。基本操作をワンクリックで行え,ユーザー自身で画面設定をカスタマイズできる操作環境を実現している。スタンドアロンで使用するワークステーションタイプと同社のPACSである「SYNAPSE」と組み合わせて使用するサーバタイプがある。サーバタイプでは院内各所で三次元画像が作成できるほか,診療放射線技師が作成した画像を医師が目的に応じて微調整するスナップショット機能を使用できる。アプリケーションソフトウエアは,LiteエディションとStandardエディションの2タイプを基本としている。オプションとして,心臓解析,石灰化解析,生理機能解析,大腸解析,冠動脈解析,歯科解析,肝臓解析,腹部解析,仮想超音波解析,画像構成,画像演算,肺解析などがある。
記者発表では,同社取締役兼富士フイルムメディカル(株)代表取締役社長の加藤久豊氏,同社執行役員メディカルシステム事業部長の鈴木俊昭氏,同社R&D統括本部画像技術センター研究担当部長の志村一男氏が出席。鈴木氏から同社のメディカル事業の戦略について説明があったほか,志村氏が「ボリュームアナライザー SYNAPSE VINCENT」の特長,機能について紹介した。これに引き続き,東京大学医学部放射線科教授の大友 邦氏による講演「3次元画像解析の有用性について」が行われた。大友氏は,脳卒中,急性心筋梗塞,がんの三大疾病について,わが国の現状を述べ,それぞれの疾病に対してCT,MRI,PETの各モダリティの有用性について取り上げた。その上で,三次元画像は,高精度の情報が低侵襲で得られ,治療支援にも結びつくと説明。将来の三次元画像について,新たな情報の視覚化,見落とし防止(検出支援),高精度放射線治療への応用が期待されると述べた。このほか,会場内には,「ボリュームアナライザー SYNAPSE VINCENT」の実機が設置され,記者発表会終了後には,実際にその性能を確かめる機会が設けられた。
同システムの販売は,富士フイルムメディカルが行う。国内700施設の導入実績を持つ「SYNAPSE」との組み合わせた販売などにより,三次元ワークステーション市場でのシェア拡大を図っていく。 |