2015-4-24
ザイオソフトブース。スマイルプロジェクトの
笑顔の写真をディスプレイ
ザイオソフトは,ブースのテーマとして,“Navigable Intelligent Visualization for Diagnosis and Treatment”を掲げ,ザイオソフトの画像処理技術が,単に3D画像の作成だけでなく,診断や治療を高度にナビゲートできる質の高い情報を提供することを製品や技術を通じて紹介した。また,“スマイル!ザイオステーション”プロジェクトとしてユーザーから募集した“笑顔”の写真を,ブースの外側の壁一面に埋め込まれたディスプレイで紹介し,ユーザーとともに進化,発展してきたことを強くアピールした。
展示では,Ziostation2の最新バージョンであるバージョン2.4のアプリケーションや機能を中心に,今後搭載予定の機能をWork in Progress(W.I.P.)として紹介したほか,3Dプリンタやセンサーと連動した3D画像表示など,PhyZiodynamicsなどの画像処理技術を利用して診断や治療をサポートするさまざまな技術や製品を紹介した。(4月17日取材)
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●Ziostation2:最新バージョン2.4に搭載される新しいアプリケーションを中心に紹介
Ziostation2は,2015年2月に最新バージョンである2.4がリリースされた。v2.4では,CT解析オプションの「CT心筋血流解析」,「CT心筋ダイナミック血流解析」,「CT右心機能解析」,「CT冠動脈支配領域解析」,「CT肺切除解析」,「CT結節解析」など,MR解析オプションで「MR心筋T1マッピング」,「Computed DWI」,「ADCヒストグラム解析」などが新たにラインナップに加わった。そのほか,標準機能の「CTサブトラクション」や「TAVR術前プランニング」などでは機能の強化が図られた。
〈CT心筋ダイナミック血流解析〉
CT解析の「CT心筋ダイナミック血流解析」では,ダイナミック撮影された心筋のボリュームデータから,Maximum Slope法による血流量(BF),Area under curve(AUC)から算出した血液量(BV)を計測しマッピング表示することで,心筋のパーフュージョンを解析できる。また,非剛体位置合わせによって,複数位相の位置が自動で調整され読影をサポートする。解析結果を保存することで,Ziostation2の冠動脈冠動脈解析2で作成した冠動脈の情報とフュージョンして虚血領域の責任血管の同定も可能になっている。
〈CT冠動脈支配領域解析〉
「CT冠動脈支配領域解析」は,冠動脈と左室心筋のデータを抽出して,任意の血管の左室心筋の責任領域を分割して表示し,分割された領域ごとの体積(cc)や灌流領域の体積の割合(%)を計測して,灌流心筋量を計測できる。サーフェスレンダリングに対応し,分割された領域はMPR断面などの2D上にもオーバーレイ表示が可能になっている。
〈MR心筋T1マッピング〉
「MR心筋T1マッピング」は,MRIでT1値を経時的に変化させた画像からT1値を算出することで,遅延造影解析(LGE)では検出が困難な,心筋のびまん性線維化を定量的に解析する。個々の血液や造影剤によって異なるT1値を,血液のT1値とヘマトクリット値を利用して補正したECV(細胞外液分画)を算出することで定量化が可能になる。全体,内膜側,外膜側のECVのブルズアイマップ表示や,12セグメント表示にも対応する。
〈Computed DWI〉
異なる2つのb値の拡散強調画像(DWI)から任意のb値を用いたcDWIを作成できる「Computed DWI」。同時にADCマップを計算し,形態画像とDWI,ADCマップをフュージョンして表示することも可能。非剛体位置合わせによって,より正確な位置合わせを行い歪みのないADCマップを作成できる。また,観察に不要な高信号部分やノイズを除去するADC Threshold機能などを搭載する。
〈TAVR術前プランニング〉
日本でも施行数が増えている経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVR/TAVI)の術前プランニングが可能なZiostation2の「TAVR術前プランニング」だが,新バージョンでは弁輪面の自動抽出・計測,サーフェスレンダリング表示対応,SCCTのプロクタリングシステムへの対応などの機能が追加された。自動抽出・計測機能では,Dynamic ROI機能により心拍で変化する弁輪などの動態計測が可能になった。また,サーフェスレンダリング表示では,石灰化の付着位置の確認やPerpendicular Viewの設定をサポートする。レポート機能では,デバイスメーカーのプロクタリングシステムに準じた計測箇所やレポート機能を搭載する。
〈CTサブトラクション〉
標準搭載機能の「CTサブトラクション」では,非剛体位置合わせ機能を実装したことでサブトラクションの精度が向上し,頭部領域では頭蓋底の骨の正確な除去が可能になり,眼動脈など微細血管の情を描出することができる。
●“MRA自動抽出”,“Virtual Stent”などZiostation2の新機能をプレビュー
ブースでは,今後,Ziostation2に搭載予定の多くの機能の中から,注目の機能やアプリケーションをディスプレイを使って紹介した(すべてW.I.P.)。
頭部MRAデータからMIP画像に必要なマスクだけを自動で抽出する“MRA自動抽出”は,形態情報を認識し腫瘍血管のMIP画像の観察に適したマスクを自動作成する。MRIの中でも検査数の多い頭部MRAで,これまで手作業で行われてきたプロセスを自動化して,日常の画像作成時間を短縮する。
ステント留置をシミュレーションする“Virtual Stent”は,VR画像に仮想ステントを留置して三次元的な位置や血管壁との関係を観察できる。仮想ステントは,リアルタイムにサイズ変更が可能で,複数デバイスのオーバーラップにも対応し,手技前のシミュレーションをサポートする。
“CT冠動脈石灰化サブトラクション”は,非剛体位置合わせで単純フェーズと造影フェーズをレジストレーションし,冠動脈の石灰化領域をサブトラクションする機能。フルオートだけでなく,データの一部領域を指定した局所非剛体位置合わせも実現する。サブトラクション後のデータを用いた冠動脈解析が可能になる。
●ザイオソフトの先進の画像解析技術を利用したさまざまな可能性を紹介
医療現場での3Dプリンタの活用事例が急速に広がりつつあるが,ザイオソフトではZiostation2で生成された3D画像を3Dプリンタで出力するための“3D臓器造型システムインターフェイス”を紹介した。活用事例としては,術前シミュレーション,教育的な活用や患者へのインフォームドコンセントなどで,展示では,実際に宮城県の仙台厚生病院などでZiostation2の3Dデータから臓器モデルなどの作成を行っているアルテック社が出展し,3Dプリンタで作成した臓器モデルを展示した。
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また,技術参考展示として,実空間のセンサー情報と3D画像を連動させ手技の支援を行う“Real Navigator”をコンセプトモデルとして出展した。展示では,3Dプリンタで作成された心臓のモデルの中にセンサーを埋め込み,この心臓モデルを回転させると連動してモニタ内の3D画像が動く様子をデモンストレーションした。ユースケースとしては,手術の際に患者の生体と術前の検査画像を連動させたり,術中のカテーテルなど各種デバイスの位置情報をリアルタイムにフュージョンして医師の手技を支援することが想定される。また,3D画像の表示には,裸眼での3D視を可能にするFAシステムエンジニアリング社の“FASE 3D”が使われており,Ziostation2の画像処理技術と組み合わせた今後の可能性について提案を行う展示となっていた。
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●PhyZiodynamicsによる嚥下の機能評価や心臓領域の機能解析を講演
JRC最終日の4月19日(日)には,学会共催ランチョンセミナー26として,「New Horizon of 4D Imaging 〜超四次元画像PhyZiodynamics テクノロジーによる定量解析の可能性」をテーマに,佐久間肇氏(三重大学大学院医学系研究科放射線医学教室教授)を座長として,藤田保健衛生大学医療科学部リハビリテーション学科の稲本陽子氏,愛媛大学大学院医学系研究科放射線医学講座の城戸輝仁氏が講演した。稲本氏は,「嚥下CTにおけるPhyZiodynamicsが切り拓く機能評価〜補完による動態評価,局所トラッキングによる筋長計測」と題して,PhyZiodynamicsによるスムーズな動態画像によって診断や治療方針に新たな知見が得られたことを紹介した。また,城戸氏は,「心臓CTにおけるPhyZiodynamicsの有用性〜被曝低減、ノイズ除去、血流解析、ストレイン解析」について,心臓CT解析の最新の情報を提供した。(講演詳細は,インナービジョン誌7月号目次裏企画『Front Vision』およびインナビネットのザイオソフトスペシャルに掲載の予定)。
●お問い合わせ先
ザイオソフト株式会社/アミン株式会社
TEL:03-5427-1921
URL:http://www.zio.co.jp/