ホーム AZE 別冊付録 Virtual Human & Analysis No.10RSNA本格出展で勢いを増すネットワーク型ワークステーションAZE VirtualPlace
RSNA 2009 SPECIAL REPORT
RSNA本格出展で勢いを増すネットワーク型ワークステーションAZE VirtualPlace
2008年12月,カリフォルニアにAZE of Americaを設立し,米国への本格進出を果たした(株)AZEは,2009年11月29日(日)〜12月3日(木)の5日間にわたってシカゴで 開催された第95回北米放射線学会(RSNA 2009)のTECHNICAL EXHIBITSに出展した。2008年に続く2回目の出展となった今回は,展示面積を大幅に拡張し,ネットワーク型ワークステーション(以下,WS)「AZE VirtualPlace」の優れた基盤技術や,使いやすさと高画質・高機能を兼ね備えた豊富なアプリケーション,さまざまな新機能を紹介。ブース内は常に世界各地からの来場者であふれ,厳しい経済不況が続く中でも着実にシェアを広げている同社の勢いを感じさせる展示となった。
「武士道」をテーマにした日本風のブースには,中央に鎧兜が展示され世界各地からの来場者の注目を集めた。
今回,本格的な出展を果たしたAZE社ブースでは,ネットワーク型WS「AZE VirtualPlace」(国内では「AZE VirtualPlace 雷神Plus」など)が展示の中心となった。AZE社は,小規模病院向けのスタンドアローン型から大規模病院にも対応するネットワーク型まで幅広くラインナップされている三次元医用画像解析WS“AZE VirtualPlaceシリーズ”で,国内では高いシェアと評価を獲得しており,2009年3月には国内稼働台数が900台を突破したほか,米国でもすでに約100台が稼働している。特に近年,モダリティの進歩に伴う医用画像データ量の急激な増加を受けて,得られたデータを臨床で最大限に生かせるネットワーク型WSの需要は高まるばかりである。その中でもAZE VirtualPlaceが大きな注目を集めている理由は,低コスト,かつ使いやすさと高画質・高機能を両立した点にあると言える。
操作性が大幅に向上した新ビューワ |
AZE社は,Lakeside Center内に日本貿易振興機構(JETRO)が設けたJAPAN Pavilionにも出展した。 |
●便利さと低コストを追究したネットワーク型WS
ネットワーク型WSとは,院内のネットワークに接続された電子カルテ端末やレポート端末などの汎用PCをクライアントにすることで,汎用PCでもWS本体と同様に2D/3D/4Dの画像参照や画像再構成,画像解析などを可能にするシステムである。CTやMRIのボリュームデータを効率的に観察するために,3D画像の重要性は年々増しており,また最近では,放射線科以外の診療科の医師自身が,手術室や診察室などで3D画像を自由に参照したいというニーズが高まってきたことから,現在,急速に普及が進んでいる。
AZE VirtualPlaceでは,画像処理そのものは本体のCPUで高速に行い,その処理結果だけをリアルタイムにクライアント端末に送るため,ネットワークに負荷がかからず,ストレスなく画像処理を行うことができる。クライアントは専用ソフトウェアを汎用PCにインストールすることなく,Web上での設定のみで操作可能で,WindowsはもちろんMacintoshにも対応している。本体のWSを1台導入すればクライアントは何台でも設定できるほか,本体を複数台接続して大規模ネットワークを構築することも可能であるなど拡張性に優れ,また,本体のグレードやシステム構成に応じて,複数台(1台〜無制限)のクライアントを同時に接続させることもできる。そのため,施設の規模や予算に応じて自由に,しかも低コストで院内ネットワークの構築が可能になることも,ネットワーク型WSの需要が伸びている大きな理由のひとつである。
左から,AZE of America Director,Marketingの長谷川峰司氏,AZE of America Sales VOのJohn Sims氏,畦元将吾代表取締役社長 |
畦元将吾代表取締役社長とJohns Hopkins University School of Medicine, Division of Cardiology,Professor of Medicine,Director Cardiovascular Imagingの Joao A. C. Lima氏 |
●機能と操作性が大幅に向上した新ビューワを発表
RSNA 2009では,こうしたネットワーク型WSの基本的な機能や,心臓MRI,心臓CT,肺解析(COPD)などをはじめとするAZE VirtualPlaceの豊富なアプリケーションが紹介されたほか,米国における画像解析のニーズを踏まえ,従来よりも操作性が大幅に改善した新ビューワが展示された。
新ビューワは,モニタ診断を行う際の診断のしやすさを重視して開発されたもので,モニタ上に表示された患者さんの過去画像も含むすべての画像情報を一覧で表示できるようになった。そのため,サーバの患者リストからその都度画像を呼び出す作業を行わなくても,一覧の中から必要なものを選んでクリックするだけで,見たい画像を簡単に表示することができる。モニタの画面を自由に分割して,現在の画像と過去画像との比較や,他のモダリティ同士の比較,動画と静止画の比較などもより簡単に行えるようになり,オート解析機能も精度が向上したため,より使いやすくなったことが,実機を用いて来場者に個別に紹介されていた。
また,新しいアプリケーションとして,冠動脈CTと心筋シンチグラフィといったさまざまな形態画像と機能画像のフュージョンが可能な変形医用画像統合ソフトウェア「Fusion EX」と,脳の神経線維束の走行を視覚化する「DTI解析ソフトウェア」(日本国内薬事申請中)が紹介された。この2つのソフトウェアは,オープンソース医用画像処理ソフトウェア「3D Slicer」の機能とAZE社独自の技術を組み合わせて開発されたもので,開発に当たっては,3D Slicerの開発者であるBrigham and Women's Hospitalの波多伸彦氏が学術的な情報提供を行った。さらに,AZE社は現在,COPDソフトウェアについてもBrigham and Women's Hospitalと2010年1月から5年間の契約で共同研究を開始しており,さらなる機能向上をめざしている。
次ページには,波多氏と,COPDソフトウェアの共同研究を行うグループのメンバーである幡生寛人氏のインタビューも掲載しているので,参照されたい。
(2009年11月29日RSNA会場にて:文責 編集部)