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別冊付録

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汎用冷凍手術ユニットを用いた小径腎がん治療が7月1日に保険収載

2010年1月に凍結治療器「CryoHit」(Galil Medical社製/ 日立メディコ社販売)が小径腎がんの経皮的治療および腹腔鏡下手術に使用可能な装置として薬事承認され,続いて2011年7月1日付けで保険収載された。これにより,日本における凍結治療の臨床応用が大きく加速すると期待されている。

凍結治療は,腫瘍を凍結させることで,正常細胞を温存しつつ腫瘍細胞を壊死される治療法であり,凍結治療器を用いてMRI,CT,超音波などの画像ガイド下に施行される。組織を−20℃以下に凍結させると細胞が破壊され組織障害が起こるが,急速な凍結とゆるやかな融解を複数回繰り返すことで,より確実な組織障害が得られるとされている。

現在,国内で唯一薬事承認されているCryoHitは,経皮的もしくは腹腔鏡下にニードルを腫瘍に穿刺し,高圧ガス(アルゴンガス)をニードルに供給することでジュール・トムソン効果による低温を発生させ,ニードル周囲の組織を凍結させる。ニードルの種類や本数,配置によって,腫瘍サイズや形状に応じた凍結領域の形成が可能で,国内では現在,4cm以下の小径腎がんの治療が認められている。

凍結治療は,欧米においてはすでに10年以上の臨床実績があり,今回日本で薬事承認ならびに保険収載された腎がんはもとより,肝がん,乳がん,肺がん,子宮筋腫,骨腫瘍などでも臨床応用が進んでいる。一方,わが国においては2001年3月〜2002年10月にかけて,北海道大学医学部附属病院と東京慈恵会医科大学柏病院において「MRIガイド下経皮的組織内凍結治療」の臨床試験が,肝がん,腎がん,子宮筋腫の計60例に対して行われ,早期の臨床応用が期待されていたが,約10年を経てようやく小径腎がんのみへの適応が可能となった。治療適応のさらなる拡大が望まれる中,今後の展開が注目される。

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