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高速・高画質かつオープンデザインを採用した64列MSCT「SCENARIA」

本庄総合病院

岩崎広志 技師
岩崎広志 技師
木村信之 技師
木村信之 技師

心臓CTを視野に入れSCENARIAを導入

本庄総合病院では,以前稼働していた他社製シングル・ヘリカルCTの更新として,当時,国内でリリースされたばかりの日立メディコ社製64列MSCT「SCENARIA」を導入した。シングルから64列への更新は,かなり大きな決断だったように思えるが,森 啓一技師長はその理由について,「これから少なくとも10年は使い続けることや,将来的に心臓CT検査を行うことも視野に入れ,地域中核病院としての役割を果たすために必要と判断しました」と述べている。
一方,64列MSCTから発生する大量のデータを効率良く読影するためには,モニタ診断が必須となる。そこで同院では,SCENARIAと同時に日立メディコ社製のWebベースPACS「We VIEW」を導入し,まずはCTと一般撮影装置のみ,モニタ診断を開始した。

独自のハード・ソフト設計で全身の高速・高画質撮影を実現

64列MSCT「SCENARIA」
64列MSCT「SCENARIA」

SCENARIAは,患者さんへのやさしさとOpen Designをコンセプトに開発された,最新鋭の64列MSCT。高速ビューレートと同社独自のコーンビーム再構成により,心臓のような狭い範囲だけでなく,すべての領域にわたって0.35秒/回転が使用でき,全身撮影においても高速化・高画質化を実現した。また,逐次近次法を応用し,低線量撮影で得られたデータを繰り返し処理することでノイズ低減を図り,結果として被ばく低減を可能にする技術 “Intelli IP" や,広範囲の撮影を行う際に,臓器に応じて自動的に線量を調整する “IntelliEC” , 寝台の横スライド機構と専用のBow-tieフィルタを組み合わせて,心臓CT検査時にX線ビームを心臓周辺のみに絞ることが可能な “IntelliCenter ”(オプション)によって,効果的な被ばく低減が可能となっている。
一方,ガントリは開口径75cm,奥行き88cmという,開放的で患者さんに安心感を与えるデザインとなっているほか,ガントリ正面上部には,検査中にさまざまな用途で使用可能な多目的液晶モニタ「Touch Vision」が搭載された。Touch Visionは,検査内容を説明するガイダンス表示や,息止めメニューが10か国語に対応しているほか,子ども向けにイラスト入りで表示することも可能で,国籍や年齢層を問わず,安心して検査を受けることができる。

検査のあらゆるシーンでSCENARIAが貢献

コンソール
コンソール
WebベースPACS「WeVIEW」 院内全体でフィルムレス運用を実現
WebベースPACS「WeVIEW」
院内全体でフィルムレス運用を実現

SCENARIA導入後の変化について,森技師長は,「SCENARIAを導入した当初は,MRIが0.3TでMRマンモグラフィが撮像できなかったので,乳房CTで高精細な3D画像が作れるようになったことは,臨床的に非常に大きなメリットでした」と述べている。実際に,乳腺外科の医師からも高い評価が得られているという。
また岩崎広志技師は,64列MSCTの有用性について,「シングル・ヘリカルCTと比べると,撮影時間が驚くほど短いことが最大の利点です。救急でもきわめて有用ですし,息止めが短くてすむので患者さんの負担も軽減できます。その結果,最近では胸部から骨盤腔までの広範囲撮影などの要望が増えています」と話す。
木村信之技師も,「以前は1日の検査数が20件に届きませんでしたが,最近では最大30件の検査も可能になっています。にもかかわらず,3D画像は非常に高画質で,特に,以前はきれいに描出できなかった胆嚢の3D画像の画質の良さにはとても驚きました」と述べている。
さらに,ガントリ開口径が大きく,寝台の横スライド機構が搭載されたSCENARIAでは,手関節の撮影の際に,手を身体の横に置いた状態でもFOV中心に近い位置での撮影が可能になった。膝を伸ばせない患者さんが膝を曲げた状態のまま,楽な姿勢で撮影することも可能になるなど患者さんの負担軽減にもつながっているという。また,耳の不自由な患者さんがTouch Visionに表示された文字によって検査内容を理解できたケースもあり,SCENARIAの最新機能は同院の診療に大きく貢献している。

(2011年7月22日取材)

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