神経メラニンは、黒質緻密部のドパミン作動性神経細胞や青斑核のノルアドレナリン作動性神経細胞の細胞体の中に存在する。この2つの神経核はパーキンソン病の主病変であるほか、アルツハイマー病では青斑核の神経細胞の変性が強く、うつ病におけるモノアミンの機能低下や統合失調症における中脳辺縁系のドパミンの過剰状態などにも深くかかわっている。
神経メラニンは金属と結合すると常磁性体となり、主にT1短縮効果を持つ。1.5TMRIでは描出は困難であるが、3T
MRIでは脳組織のT1緩和時間が延長するため信号が自然に低下し、条件を最適化したT1強調系の高解像画像を用いることで、コントラストをとらえることが可能となった。
図3では、上段の神経メラニンMRI画像は下段の肉眼標本と一致して、白い点状の
信号として青斑核が同定できる。また、黒質緻密部のドパミン作動性神経細胞も、肉眼標本と一致して、高信号域として認められる。
神経メラニンイメージングは実質上、3T MRI で初めて可能になったイメージング手法であり、神経変性疾患の病変の可視化はもちろんのこと、精神疾患におけるカテコールアミン系の機能障害を間接的に計測することも可能であると考えている。
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