|
"放射線の将来を考える"をテーマに
GEYMS Seminar 2007 in Chicagoを開催 |
11月28日(水)に米国・シカゴのAon Centerで開催された「GEYMS Seminar
2007 in Chicago」では、Harvard大学Brigham & Women's
Hospital(BWH)の幡生寛人氏のコーディネートにより、Ferenc Jolesz氏、波多伸彦氏、幡生氏の3名が「Future
of Radiology」をテーマに講演を行った。BWHでは現在、NIHから年間約15億円の助成金を受けたNational
Center for Image Guided Therapy(NCIGT:データ、ソフトウエアの共有、共同開発を推進するためのナショナルセンター)において、さまざまなモダリティから得られた情報をより効果的に治療に役立てるための研究が行われている。Leadershipを務めるJolesz氏らの下、35名の専任教員と250名の研究員によって、画像誘導手術に関する複数のプロジェクトが進められており、はじめにJolesz氏がそのうちの1つであるAMIGO
Projectについて紹介した。
AMIGOとは、Advanced Multimodality Image Guided ORの略で、未来の手術室のモデルとも言える。1つの手術室に複数の画像診断機器を設置し、実際の運用体制に近い状態で、どのモダリティの組み合わせと手術および治療が最適かを調べるプロジェクトである。3T
MRI、PET-CT、一般撮影装置、超音波装置、光イメージング装置などが設置されており、これらを活用したイメージガイド下のインターベンション・手術・経皮的治療、MRガイド下FUSなどが行われているほか、手術プランニング実験室の役割も果たしている。Jolesz氏は、核医学イメージガイド下手術、画像と内視鏡像との統合、マルチモダリティガイド下のラジオ波やレーザー、クライオによる治療、MRガイド下の乳がんや肝臓がん、脳に対するFUSなどについて、実際の症例画像を示しながら説明し、AMIGO
Projectの意義などについて述べた。
波多氏は、「ブリガムアンドウィメンズ病院における医工連携研究体制」と題して、画像誘導手術ロボットや、オープンソース医用画像処理ソフトウエア、ナショナルセンターと医工連携研究体制について講演を行った。BWHでは現在、クローズド・ボアMRI対応の画像誘導手術ロボットの開発を行っている。波多氏は現在開発中の前立腺用手術ロボットについて紹介し、将来的には手術の正確性を高めるだけでなく、手術そのものを行うことができるロボットの開発を目指していると述べた。また、こうした研究開発を効率的に進めるためのベースとなる技術が詰め込まれた、医用画像処理ソフトウエア「3D
Slicer」を開発してソースコードも完全公開しているが(http://www.slicer.org)、これは、情報共有することによって予算の無駄遣いを避けるというNIHの基本指針であり、技術者にとってもメリットが大きいと述べた。
最後に幡生氏は、「Future of Radiology From Perspective of
BWH」と題して講演を行った。現在研究が進められている"Center for Pulmonary
Functional"について紹介したほか、放射線医療が今後進むべき方向性などについて示唆した(詳細はこちら)。
|
会場風景
座長:慶應義塾大学医学部放射線診断科教授
栗林幸夫 氏
Director, Division of MRI
& Image Guided Therapy, Brigham and Women's Hospital.
Professor of Radiology, Harvard Medical School
Ferenc Jolesz 氏
Technical Director, Image
Guided Therapy Program, Brigham and Women's Hospital.
Director, Surgical Navigation and Robotics Laboratory.
Assistant Professor of Radiology, Harvard Medical
School
波多伸彦 氏
|