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大学病院経営の新しい方向性を示す
東京大学医学部附属病院
「22世紀医療センタープロジェクト」
 東京大学医学部附属病院は、2008年に創立150周年を迎える。常にわが国の医学界の先頭に立ち、時代が求める最良の病院のあり方を追究し続けており、内科部門(12診療科)、外科部門(13診療科)、感覚・運動機能科部門(7診療科)、小児・周産・女性科部門、精神神経部門、放射線部門の6部門と、これらが横断的に取り組む救急部、検診部、手術部、病理部、薬剤部など24の中央部門/センターによって、最先端の高度医療が実践されている。2006年には中央診療棟が新設され、現在は1210床(うち精神病床60床)を有し、1日に3000人以上の外来患者が受診する。
 一方、日本の医療費は少子高齢化に伴い増加の一途をたどっており、それに対応するべく政府主導の大規模な医療の構造改革が進められている。国立大学が独立行政法人化されたほか、診療報酬が大幅に引き下げられるなど、大学病院も病院経営のあり方が厳しく問われる時代となった。こうした状況のなか、同院では2004年、産学協同による「22世紀医療センタープロジェクト」がスタートした。これは、同プロジェクトに賛同する企業が同院内に寄付講座を設け、同院をフィールドとして新たな臨床医療や医療関連サービスの共同研究と開発を行うものであり、わが国の医学界・産業界の発展への貢献やより良い医療の提供、人材育成などが期待されている。2006年には新中央診療棟内に「22世紀医療センター」のフロアが設置され、研究活動の新たな拠点となった。現在の寄付講座数は22講座となり、臨床医学の持続的発展と医療関連産業の着実な発展を目指した共同研究が続けられている。
 寄付口座の1つである「コンピュータ画像診断学/予防医学」は、(株)ハイメディックとGE横河メディカルシステム(株)が共同で開設した。寄付金額は2億5000万円(年間5000万円)で、画像医学を中心とした予防医学の質を向上させるための技術の創造を目指している。具体的には、山中湖などで三大生活習慣病の早期発見と予防を主な目的とする会員制メディカルクラブを運営するハイメディックが2006年11月、東大病院内に「ハイメディック・東大病院」を開設し、この検診事業の業務を受託した東大病院が、GE社製のPET-CT、3T MRI、デジタルマンモグラフィなど最先端の医療機器を活用して検診を行っている。「コンピュータ画像診断学/予防医学」では、この検診によって得られる画像データを集約し、データの解析法や予防医学領域への応用の可能性について研究する。大学病院での先進的研究と会員制検診事業とのコラボレーションは、いままでにない試みであり、大学病院の新しいあり方の確立と経済的自立を目指す取り組みとして注目を集めている。


ハイメディック・東大病院(会員制検診センター)

 
待合室   通路


●東京大学医学部附属病院 住所:〒113-8655 東京都文京区本郷7-3-1
TEL:03-3815-5411(代)
URL http://www.h.u-tokyo.ac.jp/
URL http://www.h.u-tokyo.ac.jp/center22/index.html(22世紀医療センター)
URL http://www.himedic.jp/(ハイメディック)


外観

ハイメディック・東大病院の検診内容
項目(所要時間8時間)
インフォームド・コンセント
問診
診察
身体計測
超音波式骨密度測定
記憶検査
血液検査
尿検査
便潜血
喀痰細胞診
乳房撮影(女性)
超音波検査
安静時心電図
PET-CT(頭部〜骨盤部)
3T MRI(頭部〜骨盤部)
医師面談(結果説明)
生活指導

 


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検診によって得られる画像データを集約し、
データの解析法や予防医学領域への応用をめざす
(コンピュータ画像診断学/予防医学検診部門:
ハイメディック東大病院)

●林 直人先生
(22世紀医療センター コンピュータ画像診断学/予防医学講座客員准教授)

 ハイメディック・東大病院では、6名の医師とコ・メディカルを合わせて25名ほどで検診業務を行っています。現在、1日の受診者数は6名を限度として受け入れており、2011年までには最大14名の受け入れが行えるよう、体制を整えていきます。検診は、インフォームド・コンセントから検査、結果説明、生活指導まで、1人あたり約8時間を要します。検査が終了したものから順次、解析・読影を行い、内科医は放射科医の読影レポートを十分に時間をかけて分析してから、患者に説明します。異常が認められた場合は、東大病院をはじめとする病院への紹介も行います。一般的な検診では、少ない人数でより多くの検診を行うことになりますが、ここではできるだけ多い人数でより質の高い検診を行うことを心がけています。
 読影は、GE社の「Centricity PACS」でモニタ診断を行っています。端末は2セット用意されており、2名の読影医が同じ画像を同時にダブルリーディングしていきます。1人が1日に読影する画像枚数は、全モダリティを合わせて6000〜7000枚になりますが、Centricityは画像処理スピードが非常に速いため、ストレスなく読影することができます。また、レポーティングシステムには、専用に開発したダブルリーディング対応のソフトを組み込んでいますので、2名の医師が同じ画像を参照しながら同時にレポートに所見を書き込めるようになっています。そして、読影後は2つの結果のすり合わせを行い、読影結果を一致させていきます。
 現在は、大量の画像データを処理するためのシステムが十分に開発されていませんので、基本的には従来どおりの方法で医師が1症例ずつ読影しています。ただこの場合、得られた画像を医師がすべて読影するのは困難ですし、画像から得られるすべての情報を余すところなく有効に活用できているかというと、実際にはできていないのが現状です。また、人間が大量の画像を読影することになると、どうしてもヒューマンエラーは避けられませんので、こうした問題を解決するためにコンピュータ支援診断(CAD)が必要になります。ただし、MDCTやMRIのボリュームデータによって具体的にどのような所見が得られるかということは、まだはっきりわかっていません。例えば、MDCTで1mmスライス厚で撮像した場合に、どのような所見が意味のある所見であるかを評価する臨床試験は、これまで行われていないからです。そこで、ハイメディックとGEによって開設された寄附口座「コンピュータ画像診断学/予防医学」では、検診によって得られる画像データを集約し、データの解析法や予防医学領域への応用の可能性についての研究が進められています。3T MRIとPET-CT、超音波装置で得られた正常人の全身のデータを集約し、データベースを作成してCADや画像処理技術の開発を行い、今後の画像診断に役立てていくのが目標です。そして、最終的には画像に関する疫学的な研究へとつながっていくものと考えています。

  
3T MRI「Signa EXCITE HD3.0T」
3T MRIは2台設置されている。S/Nの高さを生かし、頭部から骨盤部までの全身を約50分で撮像する。

  
PET-CT「Discovery ST Elite」
16列MDCTを搭載したPET/CTが2台設置されている。CTではPET撮影のためのトランスミッション画像を得る目的だけでなく、CTとしての撮像も行っている。PETでは、初めの30分で早期相の撮像を行った後、2時間の休憩を挟んで15分で遅延相の撮像を行う。

 
デジタルマンモグラフィ
「Senographe DS」
  骨密度測定装置
「A-1000 EXPRESS」


世界で唯一のTwin Gradientを搭載した「SIGNA EXCITE 3.0T」
2005年に日本で初めて薬事承認された3.0T MR「SIGNA EXCITE 3.0T」。世界で唯一の2組(Twin)の傾斜磁場システムを搭載することで、高傾斜磁場強度・高S/Nで、局所精査だけでなく、全身広範囲撮影が可能となった。3.0T装置でありながら、最新型1.5T装置とほぼ同サイズを実現している。

「SIGNA EXCITE 3.0T」
Signaシリーズの最上位機種「Signa HDx3.0T/1.5T」
SIGNA EXCITE HDシリーズの性能をさらに強化・拡張した、Signaシリーズの最上位機種。簡単な操作で高画質を実現し、3D撮像で使用される新たなパラレルイメージング法であるGEM(Generalized Encoding Mtrix)によって、撮像時間を延長することなくS/Nを向上させる。
「SIGNA EXCITE HD 1.5T」
「Discovery ST Elite」、「Discovery ST」、「Discovery LS」
FDGによるPET-CT検査は、CTによる吸収補正を行うことで高画質のPETイメージを得ることができ、PET装置により得られる機能画像とCT装置により得られる形態画像をフュージョンすることで、より正確に病巣の位置を確定することができる。GE社のPET-CTは、BGOクリスタルを搭載した超高感度検出器により、FDGが低投与量でも高画質を得ることが可能。
「Discovery ST Elite」、「Discovery ST」、「Discovery LS」
乳がん検診と生検の二役を可能にする「Senographe DS」
「Senographe DS」は、FPDを用いたデジタルバイオプシーを搭載可能なデジタルマンモグラフィ。乳房撮影だけでなく、生検中の撮影にも対応する。2000D同様、デンスブレストに対する低被ばく・高コントラストの検査を可能にする。

患者さんの負担を大幅に軽減する「Senographe DS用デジタルバイオプシー」(オプション)
FPDを用いたデジタルバイオプシーは、ステレオ装置の脱着が容易に行える。生検中に「Senographe DS」で撮影しリアルタイムに画像が確認できるほか、刺針も縦・横方向からのアプローチが可能で、患者さんにとってもっとも有効なアプローチ方向を選択することができる。通常の生検では40分程度かかっていた検査時間も約半分に短縮でき、患者さんの負担を大幅に軽減することができる。
「Senographe DS」
短時間で正確にかかとの骨密度が測定できる骨密度測定装置「A-1000 EXPRESS」
「A-1000 EXPRESS」は、超音波でかかとの骨の骨量を調べることが可能な可搬型の骨密度測定装置。世界的に公認されている超音波骨密度指数「スティフネス値」による測定を行う。X線を使用していないため、短時間で正確かつ非侵襲的に測定することができるほか、コンパクトで軽量なため可搬性にも優れている。


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●お問い合わせ先
GE横河メディカルシステム
カスタマー・コールセンター 0120-202-021
http://www.gehealthcare.co.jp/