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新しいがん検診法の開発と、がん要因の究明をめざす
国立がんセンターがん予防・検診研究センター
 1962年に東京・築地に設立された国立がんセンター。戦後の急激ながん死亡率の増加を受け、当時、日本医学会会長であった田宮猛雄氏らが、総合的にがん対策に取り組む「センター」の必要性を国にうったえたことから、わが国のがん対策を担う中核機関として歩み始めた。92年には国立がんセンター東病院が、94年には東病院に隣接して研究所支所が設立され、患者さんへのがん医療の提供、より効果のある予防・診断・治療法の研究、全国のがん医療のレベルを向上し均てん化を図るための専門家の育成、研究成果の国民や医療従事者への情報発信などに取り組んでいる。
 これらの研究の成果と診断技術・治療技術の進歩が相まって、国立がんセンターにおける5年生存率は、調査を開始した64年以降、約40%から60%へと大幅に改善した(図1)。しかし、その後は現在に至るまでほぼ横ばいで推移している。これは、進行したがんの治療には限界があることを示唆しており、5年生存率をさらに改善するためには、がんになることを防ぐ一次予防と、早期発見によって生存率を上げる二次予防がより重要になる。そこで2004年、新しい診断・治療法の開発と、がんを含めた生活習慣病の予防対策の研究を行う「がん予防・検診研究センター」が新たに設立された。
 がん予防・検診研究センターでは、症状のない40歳以上の一般の受診者を対象に、新しい検診法の研究に取り組んでいる。受診者には、1)生活習慣などに関するアンケート調査への回答、2)受診後5年間の郵送による健康状態に関するアンケート調査への回答、3)「異常なし」、「がん以外の良性病変」と判定された場合は5年後に同じ検診コースを再受診、などの協力が求められる。また、検診でがんと診断された場合は書面連絡、または連絡が取れない場合は住民票や戸籍の確認によって本人の死亡が確認されるまで追跡し、寿命が延長するかどうかという観点から検診の有用性を検証している。
 具体的な検診内容は、効果判定によって有用性が立証されている胃のX線検診、子宮頸部の細胞診、乳房の視触診とマンモグラフィ、肺の胸部X線検診と喀痰細胞診、大腸の便潜血検査、肝臓の肝炎ウイルス・キャリア検査のほか、乳房の超音波や胸部CT、内視鏡、PET-CTも含め、さまざまな検査方法が実施されている(図2)。任意型検診であるため受診は有料で、総合検診(2〜3日)のほか、PET-CT検査をプラスした総合検診、単独検診(1日)など、6つのがん検診コースが用意されている(図3)。2004年2月から2005年1月までの1年間には3792名が受診し、そのうち191人に何らかのがんが検出され、5%を超える非常に高い検出率を記録した(図4)。これらの検診成果の研究を通し、検診のエビデンスの確立をめざすとともに、がん検診の専門家の育成、検診受診者のアンケートや検診情報、血液試料などの基礎・疫学・臨床研究による発がん要因の究明が進められている。

  ●国立がんセンターがん予防・検診研究センター
〒104-0045 東京都中央区築地5-1-1
TEL 03-3542-2511(代)
FAX 03-3545-3567
URL http://www.ncc.go.jp/jp/kenshin/index.html


国立がんセンター
がん予防・検診研究センター

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図1 国立がんセンターにおける生存率の改善


図2 がんの検査方法(臓器別検査方法)




図3 検診コース別スケジュール(クリックすると拡大画像が開きます)




図4 がん検出率(04.2.1〜05.1.30)


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