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エレクタ,帝京大学医学部附属病院で高精度放射線治療装置「Elekta Harmony」のプレスセミナーと内覧会を開催日本初導入のモニタリングアプリ「Kaiku」と併せて患者中心のがん治療をめざす

2023-5-15

帝京大学医学部附属病院に導入されたElekta Harmony

帝京大学医学部附属病院に
導入されたElekta Harmony

エレクタ(株)は,2023年5月10日(水)に帝京大学医学部附属病院(東京都板橋区)で同社の高精度放射線治療装置「Elekta Harmony」に関するプレスセミナーを開催した。2023年5月8日(月)に,同院で大学病院としては初となるElekta Harmonyを用いた治療を開始したのを記念して行われたもの。また,同院が2023年中に日本初の導入を予定しているエレクタ社製モニタリングアプリ「Kaiku」も紹介され,プレスセミナー後には内覧会が行われた。

Elekta Harmonyは,「ペイシェント・セントリック(患者さん中心)」をコンセプトに掲げた,まったく新しい放射線治療装置。放射線治療装置として同社初となる顔照合機能を搭載し,患者の取り違いをシステムによって低減するほか,固定具や治具などのアクセサリ類の照合機能も搭載,安全かつ効率的に照射準備を行える。さらに,放射線治療計画装置「Monaco」と組み合わせることで,照射直前の腫瘍位置に合わせて治療計画を再度立案することが可能となり,より正確な治療が行える。2023年4月5日に,栃木県立がんセンター(栃木県宇都宮市)において日本初となる治療が開始されたが,大学病院での導入・治療は帝京大学医学部附属病院が初となる。

プレスセミナーでは,帝京大学医学部附属病院がんセンター長の関 順彦氏が「地域がん診療連携拠点病院としての帝京がんセンターの役割」と題して講演した後,エレクタ社アジアパシフィック・ジャパン Senior Vice PresidentのMarco Lee氏が,「Our Journey together in Japan Cancer Care(共に歩むがん治療)」と題して,同社のがん治療に対するビジョンなどについて紹介した。Lee氏は,「誰もが最善のがん治療を受けられる世界」という同社が掲げるビジョンを紹介。イノベーションの加速やパートナー企業との協力などの4つの戦略的支柱により,サステナブルな方法でビジョンを実現したいと述べた。

次に,帝京大学医学部附属病院放射線科病院教授の白石憲史郎氏が,「Elekta Harmonyで切り拓く近未来の放射線治療」と題して講演した。同院では,2018年にエレクタ社の「Elekta Versa HD」を導入し,強度変調放射線治療(VMAT)や定位照射などの高精度治療を行ってきた。今回,エレクタ社製「Elekta Synergy」をElekta Harmonyに更新したことで,症状の緩和へのより迅速な対応や,すべての治療の高精度化が可能になる。白石氏は,同院では今後,Elekta Harmonyで高精度,高スループットの治療を行い,Elekta Versa HDは究極のピンポイント治療に特化することで,より多くの患者に高精度な治療を行っていくとした。また,Elekta Harmonyについて,顔照合やアクセサリー照合機能などでヒューマンエラーをなくし,加えて開放的な装置デザインで患者の不安を解消することで,より安心・安全な治療が行えると期待を示した。さらに,Versa導入時に設置した体表面光学式トラッキングシステム「Catalyst HD」をElekta Harmonyでも使用し,皮膚マーキング不要で正確な位置合わせが行え,治療中の高精度なモニタリングが可能になるほか,呼吸波形リアルタイム監視技術を用いた深吸気息止め照射(DISH)により高精度な乳がん治療が行えると述べた。

関 順彦 氏(同院がんセンター長)

関 順彦 氏(同院がんセンター長)

 

Marco Lee 氏(同社アジアパシフィック・ジャパン Senior Vice President)

Marco Lee 氏(同社アジアパシフィック・ジャパン Senior Vice President)

 

白石憲史郎 氏(同院放射線科病院教授)

白石憲史郎 氏(同院放射線科病院教授)

 

治療室への入室時に患者の顔照合を行うと,必要な情報が表示される

治療室への入室時に患者の顔照合を行うと,必要な情報が表示される

 

体表面光学式トラッキングシステム「Catalyst HD」。天井に設置したプロジェクタとカメラにより,患者の体表面画像を取得する

体表面光学式トラッキングシステム「Catalyst HD」。天井に設置したプロジェクタとカメラにより,患者の体表面画像を取得する

 

カメラの向こう側のセンサーでアクセサリー類の照合を行う

カメラの向こう側のセンサーでアクセサリー類の照合を行う

 

続いて,モニタリングアプリKaikuについて,エレクタ社アジアパシフィック・ジャパン マーケティング統括本部長の渡辺洋平氏と帝京大学医学部附属病院中央放射線部放射線治療品質管理室医学物理士の熊谷 仁氏が紹介した。Kaikuはフィンランド語で「やまびこ」を意味し,放射線治療時の患者の体調変化をモニタリングするアプリケーションである。タブレット端末やスマートフォンなどを通じて,治療部位ごとの副作用に特化したアンケート項目に患者が回答することで,患者の体調変化をリアルタイムに把握することが可能になる。海外で行われたランダム化比較試験では,Kaiku活用により生存率やQOLの改善,入院率の低下などが示されており,日本では同院が初めての導入となる。熊谷氏は,放射線治療においては治療の進行に伴う腫瘍の変形や縮小,患者の体型変化などによる治療位置のズレが治療の成否を分けることから,適切な患者ケアが重要であるとした。一方,現状の患者ケアは,来院時に医師や看護師が問診やアンケートを行うことが一般的だが,医療従事者のマンパワー不足や計測結果が離散的でリアルタイム性に欠けるという課題があると指摘。それに対し,Kaikuは患者の身体状況をリアルタイムに確認できる上,QOLを定量的に可視化することが可能であり,放射線治療の新たなPatient-Specific QA(PSQA)になるのではないかと述べた。なお,Kaikuはスタンドアローンなアプリケーションで,いずれのメーカーの放射線治療装置を用いた場合でも使用可能だが,情報統合などの面でエレクタ社製装置との親和性がある。
セミナー後に行われた内覧会では,Elekta Harmonyの顔照合機能やアクセサリ類の照合機能のデモンストレーションが行われた。

渡辺洋平 氏(同社アジアパシフィック・ジャパン マーケティング統括本部長)

渡辺洋平 氏(同社アジアパシフィック・ジャパン マーケティング統括本部長)

 

熊谷 仁 氏(同院中央放射線部放射線治療品質管理室医学物理士)

熊谷 仁 氏(同院中央放射線部放射線治療品質管理室医学物理士)

 

Kaikuのアンケート回答画面

Kaikuのアンケート回答画面

 

患者のQOLが項目ごとに数字と色で可視化される

患者のQOLが項目ごとに数字と色で可視化される

 

●問い合わせ先
エレクタ(株)
https://www.elekta.co.jp/

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