2023-4-13
エレクタ(株)(以下,エレクタ)は,栃木県立がんセンター(栃木県宇都宮市)において,最新高精度放射線治療装置「Elekta Harmony(エレクタハーモニー)」による日本初治療が4月5日に開始されたことを発表した。国内初となるこの日には,70代(男性)の直腸がんに対する治療が行われた。
日本では放射線治療が適用される患者数はこの20年間で増え続けている1。また近年では,生存率だけでなく治療後のQOL(Quality Of Life)が重視されるようになってきたことが大きな要因の一つ。このような現状を踏まえ,ペイシェント・セントリック(患者さん中心の治療)を目指して開発されたElekta Harmonyは,従来の三次元放射線治療技術から,VMATといわれる高精度放射線治療技術に幅広く対応すると同時に,患者の負担を軽減して,治療に集中できるように,様々な最新テクノロジーを導入している。
1 JASTRO全国放射線治療施設の 2019 年定期構造調査報告(第1報)
https://www.jastro.or.jp/medicalpersonnel/data_center/JASTRO_NSS_2019-01.pdf
本機では放射線治療装置として同社初となる顔照合機能を搭載し,患者間違えをシステムによって低減する。患者が治療室へ入る際に顔照合を実施し,正しい情報がElekta Harmonyのガントリ中央にあるHub (ハブ)Information Panelに即座に表示される(下部 図1,2)。
また,リニアック(直線加速器)として初めて治療に必要なアクセサリ類の照合機能を搭載している。治療中に患者の動きを抑制する固定具や治具など,今までデジタル制御が困難であった物品についても照合確認を実施できる。これらのアクセサリ類の確認は,今まで目視や指差しなどで行われてきたが,顔照合機能やアクセサリ照合機能を備えたElekta Harmonyでは,安全かつ効率的に照射準備を実施できる。
さらに,Elekta Harmonyでは,腫瘍位置を確認して位置照合を行うIGRTによって,より正確な治療が実現できる。放射線治療計画装置「Monaco(モナコ)」を組み合わせることで,照射直前の腫瘍位置に合わせて再度治療計画を立案することが可能になる。今までは,高精度放射線治療計画には数日かかったが,Monacoを用いることで,10分程度で再治療計画を立てたり,即時適応放射線治療が行える。
Elekta Harmony日本初治療にあたった,地方独立行政法人 栃木県立がんセンター 放射線治療科 科長 井上 浩一氏は次のように述べている。「放射線治療では,患者認証はもちろんですが,それに加えて治療で使用する多数のアクセサリ類の認証を行っています。これまでも,これからもこの認証を落ち度なく進めていくことには変わりありませんが,Harmonyの照合による支援があることによって,作業に従事するスタッフの心理的負荷が大きく軽減されます。しかも,この機能が治療装置に装備されているため,障壁なく治療システム構築を進めることができるのも,大変有意義だと感じています。」
また,エレクタ(株) 代表取締役社長 木村元彦氏はElekta Harmonyの記念すべき初治療に対して,次のように述べている。「Elekta Harmony は患者ケア向上と効率的な運用に目を向けて設計され,生産性,多様性,精度いずれにおいても,バランスの取れた最新のリニアックです。この度,日本国内第一号機として栃木県立がんセンターに導入されたElekta Harmonyが患者さんの治療に貢献し,県内のがん治療の発展に寄与することを願っています。」
栃木県立がんセンターは291床を有するがん専門病院。年間550症例以上の放射線治療を行い,栃木県において高度ながん医療を提供している。また,厚生労働省から都道府県がん診療連携拠点病院の指定を受け,医療従事者の養成や,地域の医療機関等との連携協力体制の整備,がん患者さんに対する支援等に関して,栃木県内の病院や関係団体と連携し栃木県のがん対策の推進に取り組んでいる。今後Elekta Harmonyの導入により,患者により優しい高精度放射線治療を行っていく。
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E-mail: marketing-japan@elekta.com
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地方独立行政法人栃木県立がんセンター
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