2019-3-14
新開発のCADプラットフォームの
デモンストレーション
オリンパス(株)は,内視鏡検査におけるAI診断支援のオープンプラットフォームを開発した。2019年3月13日(水)にステーションコンファレンス東京(東京都千代田区)で行われたICT-AIプラットフォーム技術戦略発表会で,「CADオープンプラットフォーム」として発表した。CADプラットフォームは,同社や協業企業のコンピュータ検出支援(computer aided detection:CADe)・コンピュータ診断支援(computer aided diagnosis:CADx)ソフトウエアを,PCや接続機器を用いずに,消化器内視鏡システム上で用途に応じ切り替えて使用できる。これにより,効率的にCADソフトウエアを用いた診療が可能になる。
医療分野のAI開発が進む中,今後内視鏡検査においても,多くのCADソフトウエアが登場すると予想される。しかし,それらのCADソフトウエアのアルゴリズムを利用するためには,専用の機器が必要になる場合がある。そこで,今回発表されたCADプラットフォームでは,同社のCADソフトウエアと互換性を持つようにアルゴリズムの変換処理を行い,プラットフォーム上で複数のソフトウエアを扱えるようにする。
CADプラットフォームを用いた検査では,内視鏡画像を観察中にリアルタイムでAIによる病変検出・診断支援の結果を画面上に表示する。また,CADプラットフォーム自体は,消化器内視鏡システムトロリーに搭載して使用する。このほか,状況に応じて協業企業が開発したCAD機器を,オリンパスの販売チャネルで提供することも検討していく。なお,CADプラットフォームは薬機法未承認の技術であり,同社では,今後法規制への対応を行い,製品化も進めていく。
ICT-AIプラットフォーム技術戦略発表会では,技術統括役員直轄のグローバル役職「Customer Solutions Development, Global」が,4月1日に新設されることも発表された。新しい役職は,医療・ライフサイエンス・産業分野における業務効率化・負担軽減を図るためのICT-AIプラットフォーム構想の構築を進める。グローバルヘッドには,2017年に買収した米国Image Stream Medical, Inc.(ISM)のCEOであるEddie Mitchell氏,グローバル副ヘッドには,現在オリンパスのソフトウェア・ICT開発本部ICTソリューション開発部副部長を務める相澤光俊氏が就任する予定である。発表会では,技術統括役員兼技術開発部門長の小川治男氏がオリンパスのICT-AI技術を紹介したほか,Eddie氏からのビデオメッセージが上映された。また,相澤氏がICT-AIプラットフォームについて解説した。
ICT-AIプラットフォームは,ISMの遠隔医療支援ソリューション「MedPresence」をベースに,日本マイクロソフト(株)のクラウドプラットフォームである「Microsoft Azure」を使用する。医療機関の検査データなどを高いセキュリティの下でクラウド上に転送,管理し,データ収集やAIサービスを提供する。同プラットフォームを利用することで,医療機関は内視鏡検査におけるICTを活用した業務負担軽減やAIによる診断支援,レポート作成の自動化などが可能になる。オリンパスではこのほか,外科手術や研究においても,業務効率化につながる価値を提供するという。
発表会では,オリンパスの医療マーケティング本部内視鏡イメージングマーケティング部部長の山田貴陽氏がCADプラットフォームの説明を行ったほか,会場後方ではCADプラットフォームのデモンストレーションも設けられた。
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