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第46回日本磁気共鳴医学会大会が開催

2018-9-19

北陸地方では初めての開催

北陸地方では初めての開催

第46回日本磁気共鳴医学会大会(JSMRM 2018)が2018年9月7日(金)〜9日(日)の3日間,ホテル日航金沢・金沢市アートホール(石川県金沢市)を会場に開催された。46回の歩みの中で,北陸地方での開催は初となる。大会長は宮地利明氏(金沢大学)が務めた。宮地大会長は,「磁気共鳴医学(MRM)の探索」を意味する“MRM Trek”を大会テーマに掲げた。また,サブテーマを“Join Together Toward New Frontiers(新たな学術領域・医療分野を開拓するために集う)”とした。このテーマには,学際研究や異分野融合研究という日本磁気共鳴医学会の原点に立ち返りつつ未来をめざすという,宮地会長の思いが込められている。このテーマに基づいて構成されたプログラムは,ディープラーニングといった人工知能(AI)に関するシンポジウムが設けられるなど,まさに学際研究・異分野融合研究につながる内容となった。

大会長:宮地利明 氏(金沢大学)

大会長:宮地利明 氏
(金沢大学)

   

 

初日7日には,特別講演が2題設けられたほか,シンポジウムが1セッション,ISMRMや韓国KSMRMとのジョイントシンポジウム,Asian Forumなどが行われた。特別講演1では,BOLD法をベースにfMRIを開発した小川誠二氏(東北福祉大学)が招かれ,“Challenges in fMRI”をテーマに講演した。座長は,原田雅史氏(徳島大学)が務めた。特別講演のもう1題は,山田 惠氏(京都府立医科大学)が座長を務め,拡散MRI研究のパイオニアであるDenis Le Bihan氏(NeuroSpinほか)が,“IVIM MRI : What to Expect?”をテーマに講演した。

大会2日目には,シンポジウムが5セッション開かれた。午前中に行われたシンポジウム2“Can 4D-Flow Make a Clinical Breakthrough?”では,竹原康雄氏(名古屋大学)と杉村和朗氏(神戸大学)が座長を務めた。安藤譲二氏(獨協医科大学)が,「内皮細胞の血流応答異常が血管病変を招く」をテーマに,4D-Flowイメージングでの血流解析にかかわるずり応力について解説したほか,礒田治夫氏(名古屋大学)がMRIメーカーの撮像法や,ワークステーションメーカーのアプリケーションを解説した。さらに,頭頸部,胸部,腹部,心臓における4D-Flowの臨床応用の現状などが報告された。

また,別会場で同時刻に始まったバイエル薬品(株)共催のシンポジウム3「Gd-EOB-DTPA導入10周年—その功績と課題」では,松井 修氏(金沢大学)と角谷眞澄氏(丸の内病院)が座長を務めた。この中で,本杉宇太郎氏(山梨大学)は,Gd-EOB-DTPAがほかの造影剤よりも被検者の息止めを維持できなくなる場合があるという課題を示し,その解決法などを説明した。

2日目午後のシンポジウム4では,石藏礼一氏(兵庫医科大学)と宮嵜 治氏(国立成育医療研究センター)が座長を務め,「小児領域のMRIの適応」をテーマに宮嵜氏を含め5名の演者が登壇した。宮嵜氏が小児腫瘍疾患におけるMRIについて解説したほか,ガドリニウム造影剤,胎児,新生児,小児におけるMRIの適応についての発表が行われた。このほか,2日目にはシンポジウム6「MRI検査における体内金属と体表貼付剤の安全管理」も設けられた。土`井 司氏(高井病院)と小畠 隆行氏(量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所)が座長を務めたこのシンポジウムは,会場はもとより会場外のパブリックビューイングにも人があふれ,安全管理に対する関心の高さがうかがえた。

最終日の9日には,シンポジウム7「AI・ディープラーニングの新潮流とMR画像診断領域へのインパクト」が行われた。まず,座長の藤田広志氏(岐阜大学)がイントロダクションとして医療分野のAI開発・臨床応用の現状を紹介し,その後,庄野 逸氏(電気通信大学)がAIの概念や定義などを解説した。また,寺本篤司氏〔藤田保健衛生大学(2018年10月1日から藤田医科大学に名称変更)〕が医工学研究者の立場から開発手法を説明し,さらに八坂耕一郎氏(東京大学医科学研究所附属病院)が臨床応用について報告した。このほか,MRIメーカー5社の担当者が,開発状況に関する報告を行った。

次回,第47回日本磁気共鳴医学会大会は,2019年9月20日(金)〜22日(日)の日程で,ホテル日光熊本・熊本県民交流館パレア(熊本県熊本市)で開催される。テーマは,“Let's shape the future MR imaging!”。大会長は山下康行氏(熊本大学)が務める。

活気を見せるポスター会場

活気を見せるポスター会場

最新技術が紹介された企業展示

最新技術が紹介された企業展示

 

●問い合わせ先
第46回日本磁気共鳴医学会大会
大会事務局
(金沢大学医薬保健研究域保健学系内)
http://www.c-linkage.co.jp/jsmrm46/

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