2018-5-23
協定書への署名を行う
小川久雄理事長(右)と堤 浩幸社長
国立循環器病研究センターと(株)フィリップス・ジャパンは,協力して人工知能(AI)開発に取り組む。2018年5月10日(木)には,帝国ホテル(東京都千代田区)において記者発表会を開き,この場において,国立循環器病研究センターの小川久雄理事長とフィリップス・ジャパンの堤 浩幸代表取締役社長が協定書に署名を行い,協定を締結した。
今回の提携では,フィリップス・ジャパンのAI技術である“Adaptive intelligence”を用いて,国立循環器病研究センターにある医用画像などのデータを解析し,健康増進や予防,診断,治療のためのシステム,アプリケーションの開発を行う。また,開発に当たっては,特定のベンダーやデータ形式に依存しない“ベンダーニュートラル”なオープンプラットフォームの構築と,“AI/Analytics”技術の高度化を図るとしている。同センターは2019年7月のJR岸辺駅周辺への新築移転とともにオープンイノベーションセンターを開設するが,その中に「NCVC-Philips AI/Analytics Center」(仮称)を設置し,これらの実現をめざす。
今後両者が具体的に開発を進めるのは,(1)先端的な診断技術・経験を定量化,自動化した診断および治療支援プログラム,(2)MRI,CTなどマルチモダリティ画像の時間を含めた4D化,(3)画像を含む一次予防,病院内から在宅医療までの包括的リスク評価プログラムとしている。これらに基づき初年度からは,(1)急性冠症候群における冠動脈MRIでの不安定プラークの撮像法とAI応用による自動定量化システムの開発,(2)PCIにおけるワイヤナビゲーション補助システムの開発,(3)未破裂動脈瘤における増大・破裂予測モデル確立プロジェクト,(4)心不全における心エコー画像を中心とした長期予後予測などに取り組むとしている。
記者発表会では,小川理事長が,新築移転する新施設などを紹介したほか,副院長の安田 聡氏が今回の提携の目的を説明。さらに,同センター予防医学・疫学情報部長の西村邦宏氏が,具体的な研究内容を解説した。また,堤社長は,ヘルスケア分野のAI開発プラットフォームである「HealthSuite Insight」など,同社の戦略についてプレゼンテーションを行った。
日本では,超高齢社会の中で,循環器領域の疾患が増加しているが,その予防や早期診断・治療が患者のQOL向上だけでなく,医療経済の観点からも求められている。両者によるプロジェクトが,予防や早期診断・治療に貢献するだけでなく,産業としてイノベーションを生み出すことにも,大きな期待が寄せられている。
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●問い合わせ先
株式会社フィリップス・ジャパン
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