2013-9-6
The 5th Definition Symposium会場
シーメンス・ジャパン(株)は2013年8月31日(土),ガーデンシティ品川(東京都港区)において,「The 5th Definition Symposium」を開催した。回を追うごとに内容の充実化を図るDefinition Symposiumであるが,今回は,初の試みとして,CTのユーザー施設から集められた優れた画像を表彰する「CT Image Contest 2013 Japanese Edition」がセッション1として設けられた。このほか,セッション2「Benefits of Stellar Detector」,セッション3「Advanced Visualization System “syngo. via”」,セッション4「New Horizon in CT Diagnosis」がプログラムされた。
開会にあたり挨拶したモデレータを務める国立循環器病研究センター病院の内藤博昭氏は,Definition Symposiumについて,当初はユーザー意見交換会という意味合いが強かったが,回を重ねるごとに大きな力を持つようになってきたとして,同社の「SOMATOM Definition」シリーズが画像診断にパラダイムシフトをもたらすポテンシャルを持っていると述べた。そして,内藤氏は,CTの技術開発の方向性が従来の時間・空間・コントラストの各分解能を向上することやカバレッジを広げるというものから,より根幹的な技術へと移行してきており,ディテクタや再構成技術が中心になっていると指摘。これは被ばく低減など,社会的要請に応じたものであると説明した。その上で,内藤氏は,これらの技術開発において,同社のCTは常に時代をリードし,さらにDual Energy ImagingによってCTのルネッサンスを起こしたと説明した。
開会の挨拶に続き,CT Image Contest 2013 Japanese Editionの発表が行われた。座長は,東海大学の今井 裕氏。シーメンスのイメージコンテストはRSNAやECRでも行われ,大きな反響を得ている。日本初となる今回は,“CARE Right”というシーメンスの被ばく低減コンセプトに基づいて,“Balance of Image quality and low dose(画質と被ばくのバランス)” “Clinical benefits(臨床的有用性)” “Technical contribution to achieve the above(これらを達成するための技術的貢献)”という3つの審査基準が設けられた。66件の応募があり,“General” “Cardio-Vascular” “Neuro” “Oncology” “Dual Energy” “Technical”の6部門の受賞者と,最優秀賞であるBest Overallに選出された東海大学医学部付属病院診療技術部放射線技術科の吉田亮一氏が発表を行った(表1 )。
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続いて行われたBenefits of Stellar Detectorのセッションでは,東京医科大学の平野雅春氏と金沢大学の市川勝弘氏が座長を務めた。まず,物理特性をテーマに,埼玉県済生会川口総合病院の富田博信氏が登壇。Stellar Detectorの技術的特長を説明した上で,画像SD,NPS,ファントム実験での低コントラスト分解能などについての評価を解説した。2題目の頭部については,愛媛県立中央病院の三木 均氏が講演した。三木氏は,同院における「SOMATOM Definiton AS+/Edge/Flash」の運用について説明したほか,CTパーフュージョン,CTA,単純CTの画像を供覧した。続く,3題目は,腹部・心臓がテーマ。三重大学の北川覚也氏が,同院における心臓CTの検査法を解説したほか,Definiton Flashによる低線量でのCTパーフュージョンについて解説した。
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内藤氏と平野氏が座長を務めたAdvanced Visualization System “syngo. via”では,2題の講演が用意された。先に,神戸大学の髙橋 哲氏が,腹部・Dual Energyにおけるsyngo. viaの使用経験を報告。syngo. viaを用いたワークフロー,MM oncologyやLiver VNCなどのアプリケーションの説明をした。次いで登壇した東京慈恵会医科大学の佐久間 亨氏は,心臓・Oncologyをテーマに,syngo. viaのアプリケーションを用いた診断について解説。syngo. viaは,画像処理や読影など放射線部門の業務において,時間短縮,作業効率の向上のメリットがあると述べた。このセッションの最後に東京慈恵会医科大学の福田国彦氏が,iPadを用いたsyngo. viaのモバイルソリューションのデモを行った。
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最後のセッション4であるNew Horizon in CT Diagnosisでは,領域別に腹部2題,整形2題の講演が行われた。腹部では,まず京都大学の辻 喜久氏が登壇。急性膵炎におけるパーフュージョンとサブトラクション画像の有用性として,“Subtraction Color map”での膵壊死予測などを解説した。また,腹部の2演題目では,金沢大学附属病院の濱口隆史氏が登壇。three-material decomposition法による肝鉄濃度と脂肪測定率の測定について,Dual Energy Imagingでのファントム実験の検討結果を報告した。続いて,整形の1題目として,埼玉県済生会川口総合病院の太田 剛氏が,腱病変におけるDual Energy Imagingの使用経験について講演。腱の走行の把握や断裂部位の診断に有用であると述べた。続く,福田国彦氏は,運動器領域におけるDual Energy Imagingとして,海外での検討結果などを示し,仮想単色X線画像によるメタルアーチファクトの軽減などに期待を示した。
すべての講演後には,会場を移して懇親会が行われた。懇親会では,CT Image Contest 2013 Japanese Editionの授賞式も行われた。
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表1 CT Image Contest 2013 Japanese Editionの受賞者
・Best Overall(最優秀賞)
吉田亮一 氏(東海大学医学部付属病院診療技術部放射線技術科)
・General部門
中森克敏 氏(三重大学医学部附属病院中央放射線部)
・Cardio-Vascular部門
神崎 歩(すず) 氏(国立循環器病研究センター病院放射線部)
・Neuro部門
高田忠徳 氏(金沢大学附属病院放射線部)
・Oncology部門
佐藤公英 氏(総合上飯田第一病院放射線科)
・Dual Energy部門
及川徳章 氏(伊東市民病院医療技術部放射線室)
・Technical部門
高井寿克 氏(東京都保健医療公社大久保病院放射線科)
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