2017-11-30
RSNA 2017 MRI
Toshiba Medical, A Canon Group(東芝メディカルシステムズ)は,RSNA 2017のMRIコーナーで,3T MRIの新製品「Saturn X Gradient」を搭載したVantage Galan 3T(日本国内薬機法未承認,FDA申請中)を発表した。MRIでは,昨年のRSNA 2016でVantage Galan 3Tを新製品として紹介したが,今年はさらに新たな傾斜磁場システム“Saturn X Gradient”を搭載することで,画質と撮像の安定性を向上させた新製品としてお披露目された。
Vantage Galan 3Tでは,Saturn X Gradientによって傾斜磁場の最大強度が従来のG-max30から45にアップした。Saturn Gradientに加えて,新たにPUREGradientを搭載し少ない電力で効率的にハイパワーを引き出すことが可能になった。これによってディフュージョン画像の分解能が向上し,Multi-Band SPEEDERによる全脳のテンソル撮像なども5分程度で可能になる。さらに,3D体動補正イメージング“Stack of stars”や,金属アーチファクトを抑制し静音化したMRA撮像によって血行動態の描出が可能な“mUTE 4D-MRA”といったソフトウエアについても,より確実で安定した画質で検査が可能になったことを紹介した。
もう一つの特長が,同社のワークステーションであるVitreaに搭載された“Olea Nova+”によるsynthetic MRIである。Olea Nova+では,MP2RAGEのT1系画像とT2のマルチエコーの2種類のスキャンデータ(撮像時間約5分)から,Vitrea上でT1map,T2mapを作成,パラメータを任意に設定してTR,TE,TI,PSIR,DIRの画像を得ることができる。通常のT2画像で病変がわかりづらい場合でもOlea Nova+でTEを変更した画像を作成し直すことで病変部を明瞭に描出することができる。Olea Nova+では,撮像部位に依存しない解析が可能で,頭部以外でも例えば膝関節のT2mappingの作成など臨床での応用が期待される。
また,RSNA開始直前にリリースされたフランスのボルドー大学との共同研究 についても紹介された。新たに開発中の超高分解能技術を搭載した3T MRIによって7T MRIに匹敵する画質を3Tのシステムで実現する技術で,ブースではT2WI Fatsatで1024×1024マトリックス,0.2×0.2×3mmレゾリューションの頭部画像をW.I.P.として紹介した。今後,国内でも共同研究を進めていく予定だ。