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RSNA2017 島津製作所 - X-ray 大視野FPDなどを実装した血管撮影システム「Trinias series unity edition」とコンパクト化した第8世代の回診システム「MX8」

2017-11-30

16インチ×12インチの大視野FPDを搭載した「Trinias C16 unity edition」

RSNA 2017 X-ray

Shimadzu Medical Systems(島津製作所)のX線システムは,新製品として,血管撮影システム「Trinias」シリーズの最新システム「unity edition」と,回診用X線撮影装置「MobileDaRt Evolution」の新バージョン「MX8」がRSNA初展示となり大きくPRされた。
2017年10月に発売されたばかりの血管撮影システムTriniasシリーズのunity editionは,来場者を迎えるブースレセプション隣に配置され,注目の的となった。会場では,「Trinias C16 unity edition」の実機を展示。Triniasシリーズはこれまで,8インチ,12インチの角形FPDでラインアップを展開してきたが,unity editionでは初めて16インチ×12インチの大視野FPDが搭載され,頭部,心臓,腹部,下肢など,全身領域での使用が可能になった。unity editionでは,3種のパネルサイズ,シングルプレーン(床置き式/天井走行式)2種のカテーテルテーブルを組み合わせ,10モデルで展開する(なお,大視野FPDは天井走行式での提供、バイプレーンは年内リリース予定)。unity editionは,新たな画像処理技術の追加,タッチパネルコンソールの搭載,チルト機能が実装されたカテーテルテーブルといった特長を有し,さまざまな領域の検査や治療に対応するシステムとなっている。

16インチ×12インチの大視野FPDを搭載した「Trinias C16 unity edition」

16インチ×12インチの大視野FPDを搭載した「Trinias C16 unity edition」

 

新しい画像処理技術としては,撮影画像のDSAにおいて体動によるズレを自動で高精度に補正し,アーチファクトを低減する“Flex-APS”と,主に下肢を対象に,造影画像から自動で長尺画像を作成する“SCORE Chase”が実装された。Flex-APSは,頭部や足部のDSAでわずかな位置ズレが発生した場合に,ピクセルごとのズレをリアルタイムに検出して三次元的に自動補正を行う。従来は,時間をかけて手動で補正していたが,Flex-APSによりその手間が削減される。
また,下肢造影画像の撮影では,造影の様子をリアルタイムに確認しながら手動でテーブルを移動させていくが,血管が中心となるように縦方向だけでなく,横方向にもテーブルを移動させるため,真っ直ぐに撮影された画像を基に長尺画像を作成する従来の処理技術では対応できなかった。SCORE Chaseでは,テーブルでX方向,Y方向の位置検出を行い,この情報と画像をリンクさせて画像処理を行うことで,下肢の長尺画像作成を可能にした。治療では,長尺画像で全体を把握した上で,塞栓箇所にズームして詳細に観察するような画像支援が可能になる。

“Flex-APS”により足部の末梢血管まで明瞭に観察できる。

“Flex-APS”により足部の末梢血管まで明瞭に観察できる。

 

自動で下肢の長尺画像を作成する“SCORE Chase”

自動で下肢の長尺画像を作成する“SCORE Chase”

 

テーブルサイドに搭載されるタッチパネルコンソール「SMART Touch」では,検査室内にいながら撮影モードや,58インチ大型モニタへの画像表示モード,画像処理モードを選択することができる。また,透視や撮影,テーブルの昇降操作を行うフットスイッチは,ワイヤレスにも対応する。
カテーテルテーブルは,チルト機能の搭載によりフレキシブルなポジショニングが可能になる。チルトは,上方17°,下方20°,左右方向に各16°となっている。

チルト機能を搭載したカテーテルテーブル

チルト機能を搭載したカテーテルテーブル

 

全世界で3400台以上の実績を持つ回診用X線撮影装置MobileDaRt の第8世代となるMobileDaRt Evolution MX8 versionは,現行機種「MX7」からデザインを大きく変更した。X線管球の支柱に伸縮機構を設けるとともに,装置本体幅も56センチと狭くすることで,走行時の前方視野や前方下部の確認をしやすくなった。筐体も小型化(重量は約440 kg)を図っている。また,MX7で17インチだったモニタを19インチに拡大して視認性を高めるとともに,フルフラットとすることで清掃しやすく,すっきりとしたデザインに仕上がっている。曝射スイッチは,本体前後に装着された2つに加え,ワイヤレススイッチの提供も可能となっており,操作性を向上させている。

第8世代の回診システム「MobileDaRt Evolution MX8 version」

第8世代の回診システム「MobileDaRt Evolution MX8 version」

 

前方を確認しやすいコンパクトデザイン

前方を確認しやすいコンパクトデザイン

 

19インチに拡大したフルフラットモニタ(写真はキヤノン社製DR)

19インチに拡大したフルフラットモニタ(写真はキヤノン社製DR)

 

ワイヤレスの曝射スイッチ

ワイヤレスの曝射スイッチ

 

このほかにも,FPDを収納するポケットのロック機能や,ICカードによるログインなど,細かな改良が施されている。また,X線管球のハンドルには上部・下部に2つのロックボタンを備え,小柄な操作者でもX線管球を伸ばした状態の操作がしやすい。コリメータ操作ダイヤルをX線管球の正面と裏面につけたことで,操作者がどこに立っていても調整しやすくなっている。
米国では,RSNA 2017直前に発売となった。複数社からDRシステムを選べるDR NEUTRAL対応装置であり,キヤノン社製,富士フイルム社製のDRから提供を始め,今後はコニカミノルタ社製,島津社製のDRにも対応していく予定である。なお,日本国内での発売は2018年初頭を予定している。

FPDポケットのロック機能

FPDポケットのロック機能

 

X線管球のハンドルに2つのロックボタンを備える。

X線管球のハンドルに2つのロックボタンを備える。

 

一般撮影装置は,ハイエンドシステム「RADspeed Pro EDGE package」と,海外市場向けの「RADspeed fit」(FDA未承認)を紹介した。RADspeed Pro EDGE packageは,トモシンセシスをはじめ多彩なアプリケーションを搭載し,カラーデザインに黒を取り入れたパッケージが,日本国内でも2017年7月に販売を開始した。米国でもすでに導入が始まっており,アプリケーションを活用し,さまざまな用途への応用が期待される。
RADspeed fitは,新興国で先行して発売されており,現在,米国のクリニックへの展開をめざし準備を進めている。フローティング天板や大容量ジェネレータ(32kW/56kW)などが特長で,位置決めがしやすく,体格の大きい被検者への対応も可能となっている。また,アームの可動性が高く,テーブル側から180°回転させてストレッチャーで撮影したり,管球を低い位置に下げることで,立位の膝や足部などの撮影にも対応する。米国ユーザーの要望により,立位スタンドにFPDをセットするトレーを回転式にし,取り外すことなく半切パネルの縦横を変更することができる。

ハイエンドシステム「RADspeed Pro EDGE package」

ハイエンドシステム「RADspeed Pro EDGE package」

 

アームの可動性が高い「RADspeed fit」(FDA未承認)

アームの可動性が高い「RADspeed fit」(FDA未承認)

 

立位スタンドの回転式FPDトレー

立位スタンドの回転式FPDトレー

 

X線透視装置としては,FPD搭載で多目的に使用できる「SONIALVISION G4」を展示し,高機能アプリケーションや被ばく低減技術とともにアピールした。

多目的の透視システム「SONIALVISION G4」

多目的の透視システム「SONIALVISION G4」


東芝メディカルシステムズ