2017-11-28
RSNA 2017 US
Hitachi Healthcare(日立製作所)のUSエリアでは,放射線科向けと循環器科向けのハイエンド装置を大きくアピールした。
放射線科向けの「ARIETTA 850」は,画質を追究した“Pure Image”,操作者への負担が少ない快適なワークフロー“Seamless Workflow”,日立独自の高機能アプリケーション“Your Application”の3つのコンセプトのもとに開発されたプレミアムモデル。高いコントラスト分解能や有機ELパネルの搭載により,より診断に有用な画質を提供する。また,操作者の負担を軽減するため,操作卓手前の中央辺りに手を置いたまま一通りの操作が可能で,ワンボタンで自動計測もできるなど,エルゴノミクスに配慮したパネルデザインも特長だ。搭載された“Real-time Tissue Elastography(RTE)”や“Real-time Virtual Sonography(RVS)”,“ Shear Wave Measurement(SWM)”などを利用する場合にも,ボタン一つでアプリケーションが起動する。
循環器領域向けのハイエンド装置「LISENDO 880」も,心臓検査に求められる高画質が追究され,血液の逆流も明瞭に観察できる。循環器領域で一般的になってきた3D経食道心エコープローブ「MXS2ESLLプローブ」とともに展示し,臨床画像もあわせて展示された。
また,両システムに対応するプローブとして,独自技術により実用化された「CMUTリニア SML44 プローブ」(4G CMUT)もアピールした。CMUT技術は,2007年にブレスト専用プローブ「Mappie」として製品化しているが,カラーフローに加え,世界で初めてTHIを実用化したことで,4G CMUTとして製品化を実現した。4G CMUTは2〜22MHzの広帯域に対応し,1本のプローブで表在領域から腹部や下肢血管など,全身の検査が可能である。また,振動膜(CMUTセル)には人体に近い素材を採用することで,従来プローブのように音響レンズの下に整合層を設ける必要がなくなったため,ノイズが低減され,分解能が高く,広帯域化が実現された。さらに,CMUTセルをマトリックスに配列することで短軸方向にもビームを絞ることができ,浅部から深部までクリアな画像を取得することができる。
なお,ARIETTA 850ではRVSの新機能も追加された。穿刺をサポートする“Needle Tracking”では,穿刺時にデータ補正により針先位置を予測することができる。また,“Body Motion Tracking”はCT/MR撮像時に装着するomniTRAXブラケット(Civco社製)に対応し,RVS時の位置合わせを簡便にするほか,RVS時に単独で使用すれば検査中に位置ズレがあっても同期を維持することができる。従来のナビゲーション機能に,これら2つの機能を追加するとともに,シミュレーション機能として“3D Sim-Navigator”と“E-field Simulator”を搭載したことで,ナビゲーションとシミュレーションの融合を実現し,より安全で正確な治療をサポートする。