2016-12-1
天吊りタイプの「CT motion」
Ulrich Medicalでは,ドイツのulrich GmbH & Co. KGが開発する自動造影剤注入装置を展示した。RSNA 2016で展示されたのは,2011年に発売され,全世界で700台以上が販売されているCT用自動造影剤注入装置「CT motion」の天吊りタイプと,2016年11月に発表したMRI用の「Max 3」「Max 2」(共に日本国内薬機法未承認)である。いずれも造影剤の分注が可能で,従来検査ごとに使用し,余った分を廃棄してきた造影剤を無駄なく使用できるのが最大の特長である。これらの製品は日本では,医療機器の輸入販売商社である(株)インテグラルが取り扱う。
「CT motion」は,50〜500mLの造影剤ボトルを2本セットして使用する(プレフィルドシリンジは非対応)。1本目の造影剤を使い切ると,自動的に2本目のボトルに切り替えて注入を行う。一般的な装置の場合,1回の検査ごとに造影剤を廃棄しなければならず,多量の廃棄造影剤が発生していた。インテグラルが国立がん研究センターの協力を得て行った検証では,1日35件程度の造影検査で,従来装置では検査数と同数の造影剤が必要であったが,CT motionを使用することにより,30本程度ですんだという。このように廃棄造影剤という無駄をなくせることで,コストダウンを図れるほか,交換作業にかかる手間も軽減され,ワークフローの向上というメリットもある。安全性も高く,注入装置内のポンプチューブは,閉鎖的衛生システムにより開封後24時間使用可能で,通気装置内のフィルタはHEPAフィルタのH14クラスを使用しており,環境空気に触れることがないため,安心して使用できる。
装置本体は12時間稼働するバッテリを搭載しており,ケーブルレスでの運用が可能。検査室内に煩わしいケーブルを配することがない。また,コンソールと本体間もBluetooth通信を行うので,ケーブルが不要となっている。なお,装置のメンテナンスは,インテグラルと提携しているメディカルエキスパート(株)が行う。
今後,日本市場での販売をめざすMRI用のMax 3は,造影剤,生理食塩水をセットするために3ヘッドを有している。セッティングは取り外し可能なカセッテに装着するだけなので,ポンプチューブに取り付けずに簡単に行える。
また,本体は18時間稼働できるバッテリを搭載。コンソールもプレッシャーカーブの視認性を高めるなどレイアウト変更を行った。インテグラルでは,日本では2017年秋の日本磁気共鳴医学会大会までの上市をめざすという。
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