2016-11-30
粒子線治療システムのコーナー
映像やシステムの模型が用意された日立の粒子線治療システムのコーナーでは,国内外の納入・受注状況や,陽子線治療システムの特徴が紹介された。今回,中央には陽子線治療と重粒子線治療のハイブリッドシステムの大型模型が配置された。シンクロトロンを陽子線と重粒子線で共用し,それぞれの治療室に送って照射するというコンセプトモデルで,対象とするがんに適した治療を選択・提供できる粒子線治療施設として提案していく。
陽子線治療については,日立はスポットスキャニング照射技術を有しており,複雑な形状のがんに対しても高い精度で照射できるという大きな特長を持つ。この技術と,北海道大学が開発した動体追跡照射技術を合わせた「陽子線治療システム PROBEAT-RT」も模型が展示された。
2016年の日立陽子線治療システムの動向としては,メイヨー・クリニックでの2台目の稼働,香港養和病院からの受注,シンガポール国立がんセンターから東南アジア初となる受注と世界各地への展開が続いている。
映像では,2015年に稼働を開始したセント・ジュード小児研究病院への導入プロジェクトビデオが流された。同院に納入されたのは190°のハーフローテーティングタイプのシステムで,広いオープンスペースを確保できるため,治療開始まで保護者や医療スタッフが患児に付き添うことができる。また,小児医療施設ということで,装置にイラストをペインティングしたり,寝台に麻酔用のガスラインを装着するといった工夫がなされている。
なお,日本国内の最新動向としては,京都府立医科大学附属病院の放射線治療施設として開設される永守記念最先端がん治療研究センターから,2015年7月に陽子線治療システムを受注している。2016年には,日本,米国,アジアから12施設が参加した粒子線治療の第2回ユーザーミーティングを開催し,グローバルでの情報交換・共有の推進を図っている。