2016-12-1
サーバサイドレンダリングによるWebベースでの
開発が進められているVue PACS
Carestream Health(ケアストリームヘルス)は,日本においては2016年春から市場において高い競争力を持つPACSやRIS,そしてワールドワイドでも高いシェアと技術力を持つクラウドやVNAなど,ヘルスケアIT領域に特化した展開を行っている。RSNAでは,当然ながら米国をはじめとするワールドワイドで展開しているモダリティなど多種多様な製品が展示されているが,今回はヘルスケアITに限って紹介する。
ヘルスケアITソリューションでは,PACSやクラウド,VNAなどを統合して,より広い領域で画像をはじめとする医療情報の連携・共有を進めるためのコンセプトとして「Clinical Collaboration Platform(CCP)」を打ち出している。同社のPACSビューワである「Vue PACS」や,Webベースの画像参照システム「Vue Motion」,VNA環境でのさまざまなデータの参照や登録を行えるWebベースのユニバーサルビューワ「Vue Explorer」など,部門や施設を超えたオープンな情報共有と管理を可能にする環境構築をめざすプラットフォームである。ブースでは,現行の製品やソリューションも展示されていたが,これから2018年にかけて投入予定のソリューション(W.I.P.)がアピールされた。
同社では,CCPの環境を生かしながら,病院の運営や経営に貢献する視点からのアプローチも行っている。その一つが施設内や施設を超え同じグループ病院間での画像検査の進捗をトータルで管理する「Worklist Orchestrator(W.I.P.)」である。Worklist Orchestratorでは,施設やグループ内で行うべき検査について,すべてを一覧で表示し,診療科目やサブスペシャリティごとに表示を変更できる。さらに,施設が設定したSLA(Service Level Agreement)に基づき読影終了までの残り時間を表示することで,患者の待ち時間や診察終了までの時間を保証するように読影を促す機能を提供する。
このワークリストから患者を選択すると,PACSビューワが起動すると同時に患者の診療情報(依頼内容や検査データ)も表示される。さらに,チャット機能が搭載されており,オンライン中の医師との会話はもちろん,画面を共有してカーソルやアノテーションを動かしたり書き加えたりといったカンファレンス機能も搭載される。このチャットと遠隔の画面共有機能は,ゼロフットプリントのVue Motionでも利用でき,診療科や一般開業医との共有も意識した設計になっているのが特長だ。
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新しいレポーティングシステム(W.I.P.)では,レポート内の病名などの単語を選択することで,過去のレポートデータから所見のある症例だけをピックアップして,性別や年齢などを統計処理しグラフ表示する,セマンティック検索によるダッシュボード機能が搭載される。さらに,機械学習やディープラーニングを利用した画像解析を提供する企業と提携し,検査画像データを解析し特定の疾病を自動検出する“イメージアナリティクス(W.I.P.)”も提供の予定だ。現時点でアルゴリズムによって検出されるのは,脂肪肝,骨粗鬆症,冠動脈石灰化スコア,肺気腫の4つ。自動検出することで放射線科医に疾患の可能性を示し,病気の見落としを防止することがねらいだ。
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そして,2018年以降の予定として,現在リッチクライアントであるVue PACSを,Webベースのサーバサイドレンダリングで,ゼロフットプリントの診断用ワークステーションとしての開発を進めていることをアナウンスした。現在のリッチクライアントで使用可能な機能はすべて搭載し,表示や処理のスピードも変わらないレベルで提供するとのことだ。