2014-12-2
デジタルPET/CT「Vereos PET/CT」
RSNA 2014[第1日目:11月30日]
昨年のRSNA2013で発表されたフィリップスの新世代デジタルPET/CT「Vereos PET/CT」(日本国内薬事未承認)は,1号機が米国オハイオ大学に導入され,臨床使用が始まっている。RSNA2014では装置とともに,臨床機による症例画像も紹介された。
従来のアナログPET/CTは,患者の閉塞感や圧迫感を軽減するためPETとCTを分離した構成であったが,Vereos PET/CTは,検出器に使用されているフォトマル(光電子倍増管)に代わり半導体を採用することでコンパクト設計が可能となり,PET/CT一体型のデザインへと大きく変更された。アナログPET/CTでは,4mm×4mmのクリスタルに対してフォトマルが約4cm四方と大きさに開きがあり,光子を発しているクリスタルを計算で求め,電気信号として出力していた。フォトマルを半導体に置き換えることでクリスタルと同じサイズの検出器となり,クリスタルの光子を1対1でとらえることができ(1 to 1カップリング),分解能が大きく向上した。また,アナログPET/CTでは光子から変換された電気信号の強さで入射するガンマ線量を計算していたが,ガンマ線量が多いと計測しきれずに感度が低下するという課題があった。そこで,デジタルPET/CTは光子の数を数えるフォトンカウンティング方式へと変更したことで,入射量がデジタルで直接表現され,定量性も大きく向上している。
臨床画像は,アナログPET/CTとデジタルPET/CTの画像を比較して展示。分解能の向上により,灰白質はより明瞭に表現され,バイオプシー実施後の症例では穿刺の跡も確認できるなど,解剖学的情報も高い精度で得ることができる。また,がん検索ではFDG集積の様子がアナログPET/CTよりもクリアに表現される。さらに,薬剤量を半分にした場合のシミュレーション画像も展示され,臨床的に十分な画像の描出が可能であることが示された。ブースでは,デジタルPET/CTが今後のスタンダードになるとして,大々的に紹介していた。