2014-12-2
レトロスペクティブにSpectral解析を
行えるIQon Spectral CT
RSNA 2014[第1日目:11月30日]
Philips Healthcare(フィリップス)のCTコーナーでは,RSNA2013で発表された2層検出器を搭載したスペクトラルCT装置「IQon(アイコン) Spectral CT」が,2014年11月25日にFDAを取得したことを受け,スペックや画像も含めて大々的に紹介された(日本国内薬事未承認)。検出器幅40mm,64列で,焦点を電磁偏向することで128スライスを得る。回転速度は,従来のiCTシリーズと同じ最速0.27秒。
IQon Spectral CTは,管球側のX線エネルギー切り替えによるDual Energy撮影とは異なり,120kVの通常のプロトコールで撮影し,検出器側で低エネルギーと高エネルギーに分けてデータを取得することで,レトロスペクティブにSpectral解析を行うことができる。検出器は,材質にYttriumを用いた低エネルギーのデータを取得する層と,GOSを用いた高エネルギーのデータを取得する層の2層構造となっており,それぞれのデータがrawデータとして保存される。通常画像は,低・高エネルギーを合わせたデータを用いて再構成され,必要に応じてスペクトラルデータセットを作成することができる。2種のデータは,時間的,空間的にもズレがなく,従来と同じ被ばく線量で,完全に同期した精度の高いデータを得られる点も大きな特長である。
Spectral解析は,フィリップスの他の解析ソフトウエアと同じワークフローで使用できる“Spectral diagnostic suites”で行う。会場にはコンソールが用意され,来場者は実際に操作性を確かめていた。
肺の換気機能を評価する画像や,造影剤の濃染程度を示すカラーマップなど,さまざまなSpectral解析を行った臨床画像も紹介され,CT値だけでなく,他臓器からのアーチファクトによるCT値シフトや造影剤の染まり具合いに影響されない新しい情報を提供することができ,医師の診断をサポートする。また,スペクトラルデータセットではエネルギー帯を変えた仮想単色X線画像も作成することができ,例えば造影検査後に染まりが不良であることがわかった場合も,低エネルギー画像を作成することで仮想的にCT値を上げた画像を得ることができる。
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