2024-5-1
インフィニットテクノロジーブース
1994年に韓国で創業したインフィニットテクノロジーは,韓国や日本のみならずグローバルにソリューションを提供している。ITEM2024では,主力製品である医用画像情報システム「INFINITT PACS 7.0」の中でもAIソフトウエアとの連携プラットフォーム「INFINITT AI Platform」に焦点を当てて展示を行った。また,デザインや仕様などをバージョンアップした放射線情報管理システム「INFINITT RIS」や医用画像外部保存サービス「INFINITT Smart Archive」,検像システム「INFINITT QCX」などのソリューションを導入事例を交えて紹介・展示した。
●INFINITT AI Platformがレポート作成支援ソフトウエアと連携,対応範囲をさらに拡大
INFINITT AI Platformは,AI技術を活用した画像解析支援ソリューションを利用できるINFINITT PACS上のプラットフォームである。ベンダーニュートラルなプラットフォームで,エルピクセルやクレアボ・テクノロジーズなどの国内企業のほか,研究用として海外企業の画像解析支援ソフトウエアとも連携,使用できる。最近では,INFINITTのレポートシステムと新たにレポート作成支援AIソフトウエアとの連携も可能になった。Y’s READING社の「Y’s CHAIN」は,入力した単語からAIによる自然言語解析を基に次に続く例文や定型文を提示する。また,入力を重ねることでデータを蓄積,学習しこれまでに入力した文章や関連性の高い文章を提示するなど,さらに性能が向上する。Y’s CHAINの活用で所見入力時間が約30%短縮するというデータもあり,読影の効率化を促進し,読影医の負担軽減に貢献する可能性がアピールされた。INFINITT PACSビューワでは,胸部X線画像に対する心胸郭比(CTR)の自動計測機能(Auto CTR)や乳房の左右位置の自動認識機能などの診断支援ツールを新たに搭載した。
●放射線情報管理システムINFINITT RISはデザインを一新,視認性が優れたUIを採用
放射線情報管理システムINFINITT RISは,施設全体の放射線業務を全体的にサポートする。インフィニットテクノロジーの全システムとシームレスに連携,Webベースで院内の各端末で利用可能で,前回の撮影範囲などをPACSを開くことなくRISのみで参照できるなど,造影準備などの時間を活用できる。今回,RIS機能を大幅にバージョンアップし,操作性やカスタマイズ性が向上したほか,デザインもPACSと統一して視認性が優れたUIに一新,完全に新しいアップグレード版として提供を開始する。ワイドモニタやタッチパネルなどの各種モニタに対応し,特にワイドモニタの普及に着目して一画面で多くの情報を参照可能にした。また,情報の増加に伴う見落としが生じることがないよう,表示エリアの分割や色分け,わかりやすいアイコン表示などで重要な情報を明確に可視化し,より使いやすい仕様とした。
●タブレット端末でも参照可能なINFINITT RT PACS
放射線治療画像管理システムINFINITT RT PACSは,治療計画装置と連携して治療計画データの統合管理などを行う。異なるメーカーの治療計画装置によるデータを一元管理でき,CT画像再構成による線量分布の冠状断・矢状断の表示やDVH計算結果の表示に加え,ビーム情報やコリメータ情報,線質評価などが参照可能である。治療計画データを取得した時点で連続断面キャプチャ(バッチキャプチャ)を自動生成し,画像管理システムに転送する機能などを搭載している。国内の主要な治療計画装置とほぼ連携しており,異なる治療計画装置で作成された計画を単一画面内で統合表示する。また,治療計画装置の更新にあたり,過去データをフォルダごとまとめて自動移行するマイグレーションツールを搭載,海外ではすでに使用実績がある。
さらに,参照用ビューワ「INFINITT RT Viewer」に加え,通常のタブレット端末で参照可能なWebビューワ(RT Web)も追加された。追加インストールなどが不要で,保存されている治療計画をWeb配信し,患者説明やカンファレンス,院外配信などでの参照が可能である。タブレット端末で参照しやすいようUIを開発,画像の拡大・縮小,細部の具体的な線量なども確認でき,ソウル大学などで導入されている。
●現場ニーズに応え,監査対応を効率化した被ばく線量管理システム「INFINITT DoseM」
被ばく線量管理システムINFINITT DoseMは,すべての放射線機器を一括管理して院内の線量分布を可視化する。ガイドラインに準じた線量管理が可能で,DRLから外れた個別検査のアラート表示,撮影条件の変更によるCT検査線量の増減のシミュレーションなどが行え,線量管理を効率化や被ばく線量の最適化を支援する。
内部監査を含む監査対応の効率化を求める現場の声に応え,患者別・検査別の線量レポートの自動作成や自施設のフォーマットに合わせたレポート作成機能などを搭載,作業負担を軽減する仕様になっている。また,INFINITT RISと同様に,ワイドモニタの普及に対応し表示内容を調整した。
●画像データ保存サービスINFINITT Smart Archiveの導入事例を紹介
近年,重要性が高まっているセキュリティ対策として,医用画像外部保存サービスINFINITT Smart Archiveの導入事例を紹介した。2023年4月に提供を開始したINFINITT Smart Archiveは,「Microsoft Azure」や「wasabi」などの堅牢なデータセンターを利用したセキュアなクラウド環境にバックアップデータを保存・管理する。ランサムウエア対策を施したバックアップ機能を提供,すべての画像や通信プロトコルを暗号化してバックアップを保存,3省2ガドラインに準拠したセキュリティ対策で災害やランサムウエアなどによるデータ損失リスクを回避する。さらに,オンプレミスとクラウドを組み合わせたハイブリッド・ストレージ運用が可能で,メインストレージの容量を抑え,バックアップストレージを拡大するなど,利便性と安全性,コストのバランスを考慮し,施設の負担を軽減する。施設のニーズに応じた運用が可能で,立川相互病院でのハイブリッド運用や東京都教職員互助会三楽病院でのランサムウエア対策を含めたBCP対策などの事例を紹介した。なお,三楽病院では電子カルテデータのバックアップも検討している。
●検像システム「INFINITT QCX」は高精細モニタを含む2面構成が可能に
マルチモダリティ対応の検像システムINFINITT QCXは,同社の従来の検像システムからデザインなどを含めて一新した。オーダー情報と検査情報を照合し,自動マッチングが可能で,自動転送機能も搭載する。また,装置からのデータ受信後の経過時間や操作ステータスを表示し,検像漏れや送信漏れを防ぐ。新バージョンでは,現場のニーズに対応した機能を多く追加し,中でも複数モニタ構成に対する要望が多いことを受け,高精細モニタを含む2面までの構成を可能としたほか,ログ機能を搭載しセキュリティを強化した。
●お問い合わせ先
社名:株式会社インフィニットテクノロジー
住所:東京都台東区上野2-14-27 上野の森ファーストビル6階
TEL:03-6806-0281
URL:www.infinitt.co.jp