2019-4-22
アドバンスト・メディアブース
音声認識の分野で圧倒的なシェアを誇るアドバンスト・メディアは,「AI音声認識から広がるテクノロジー」をテーマに,医療従事者の働き方改革に貢献する製品をラインアップした。近年,医療従事者の業務負担増などが大きな社会問題となっており,さまざまな分野で業務負担を軽減するための取り組みが模索されている。厚生労働省から今年3月に各都道府県知事宛に通知された「地域における医療提供体制の確保に資する設備の特別償却制度について」(医政発0329第29号)では,医師やその他医療従事者の労働時間短縮に資する高額医療機器の特別償却の対象拡充・見直しが行われ,今回初めて,「書類作成時間の削減のための設備等」として「AIによる音声認識ソフトウエア」が特別償却精度の対象となったことが示された(制度対象の期間は2019年4月1日〜2021年3月31日)。こうした状況の中,同社は以前から医師や医療従事者の業務負担軽減のための製品を多数展開しているが,まさに社会の流れに合致したものであると言える。
今回の展示では,従来の「AmiVoiceシリーズ」に加えて,新製品として,医療向けAI音声認識ワークシェアリングサービス「AmiVoice iNote」と,医療・調剤薬局・介護向け音声入力キーボードアプリケーション“AmiVoice SBx Medical”が紹介され,業務負担軽減につながるさまざまな機能がアピールされた。
●音声認識技術を活用した記録業務の省力化と質の向上をコンセプトに開発された「AmiVoice iNote」
AmiVoice iNoteは,院内において場所や時間を問わずモバイルデバイスからの音声入力が可能なAI音声認識ワークシェアリングサービス。社会医療法人石川記念会HITO病院と共同開発し,2018年10月に販売が開始された。AmiVoice iNoteは,iOS端末からアプリケーション“AmiVoice iNote Client”を起動して発話すると,オンプレミスサーバ経由で音声入力された情報がテキスト化され,時系列で保存されるほか,それを転送することで各診療部署や代行入力者などと簡単にシェアすることができる。モバイルデバイスに記録されたテキストは,画面をスワイプするだけで簡単に転送可能で,撮影した写真も転送できる。また,AmiVoice iNote ClientはSNS機能を有しており,個人メモとSNSでのリアルタイムな情報共有を場面に応じて使い分けられるほか,よく行われる処置などについてはスタンプも多数用意されており,記録業務の省力化をサポートする。
サーバには,テキストデータはもとより音声データや画像データも一緒に保存でき,PC専用のソフトウエアである“AmiVoice iNote Keeper”で確認可能である。発話された時間帯や件数も一覧として可視化されるため,業務改善などのための二次利用も容易となる。
今回の展示では,具体的な機能などに加えて,導入事例として,HITO病院でのAmiVoice iNoteの運用方法や効果などが紹介された。特に同院のリハビリテーション科においては,カルテの入力時間が大幅に削減され,セラピスト1人あたりの1日の患者介入量が,2016年および2017年度は17単位後半(1単位=20分)で推移していたが,2018年6月にAmiVoice iNoteを導入後は,わずか2か月で目標である18単位を達成したことなどがアピールされた。
●iOSアプリケーションへの音声入力を可能にするキーボードアプリケーション“AmiVoice SBx Medical”
AmiVoice SBx Medicalは,iOS端末にインストールするだけで,さまざまなiOSアプリケーションへの音声入力を可能にするキーボードアプリケーションである。常に最新の状態に保たれている同社のクラウドサーバ上の辞書を使用するため,各分野の専門用語や言い回しを高精度に認識することができる。また,iOS端末で使用できる専用キーボードには,医療で頻繁に用いられる単位などがソフトキーに割り当てられているため,キー入力における文字入力の手間が軽減される。AmiVoice SBx Medicalを活用すれば,iOS端末に専門用語を用いたメモを残したり,Web検索を行うことも容易に可能となる。
●無線ウエアラブルマイク「AmiVoice Front WT01」が「AmiVoice Ex7」に対応
同社の主力製品であるAmiVoice Ex7では,新バージョンの7.50において,マスター辞書の更新に加えて,対応マイクに無線ウエアラブルマイクAmiVoice Front WT01が追加されたことがアピールされた。
AmiVoice Ex7は,スタンドアローン版,クライアントサーバ版(ソフトウエアをインストールするクライアント端末数に制限あり),フローティングサーバ版(クライアントサーバタイプで,クライアント端末の同時接続台数に制限あり)の3タイプをそろえている。各診療科に最適化した医療専用の辞書を搭載しており,単語登録やテンプレートの登録なども可能なほか,音声入力マイクは標準マイクに加え,オプションで同社の「AmiVoice Front SP01」や他社製マイク,ヘッドセットタイプ,フットコントローラなどにも対応し,ユーザーの幅広いニーズに応える製品となっている。
新バージョンで使用可能となったAmiVoice Front WT01は,マルチファンクションボタンに録音の開始と停止や転送機能を割り当てることができる。これにより,ハンズフリーでの入力が可能となるため,テンプレートと組み合わせて使用することで,キーボード入力の削減が期待できる。
また,ユーザーから評価の高いテンプレートとして,可変数値を#で表現したものが紹介された。「シャープ回診」「シャープ救急」などのキーワードで,例えば体温,血圧,脈拍などの数値の部分を#にした状態のテンプレートを登録しておくと,テンプレート呼び出し後に数値のみを音声入力することが可能となり,入力業務の負担が軽減される。
●常に最新の辞書で高精度な音声認識が可能なクラウド型音声認識サービス「AmiVoice CLx」と“Pocket AmiVoice”として使用可能な「AmiVoice MLx」
医療・介護向けクラウド型音声認識サービスAmiVoice CLxは,AmiVoice Ex7と同様のテンプレート機能や単語登録機能,学習機能などを有しつつ,遠隔読影や自宅での読影にも対応した製品となっている。読影端末のCPUパワーに依存することなく使用可能で,AmiVoice CLxのソフトウエアとハンドマイクがあれば,インターネットを通じて場所や時間を選ばずに,職場と同じ辞書やテンプレートを使用した音声入力が可能となる。また,同社のクラウドサーバ内の辞書を使用するため,常に最新の辞書を使用できる点も大きなメリットとなっている。料金は従量課金制,もしくは月額固定性の選択が可能で,初期投資を抑えた導入が可能である。
一方,AmiVoice MLxは,AmiVoice CLxと連携することで使用可能なiPhone専用アプリケーション。病棟回診時や往診時,出張先などでも,隙間時間を活用して手軽に音声認識で記録を残せる“Pocket AmiVoice”としての活用が期待されている。iPhoneのマイクで音声入力を行うと,同社の音声認識サーバで認識された結果がテキストとしてリアルタイムに表示される。また,自分のIDでログインできるため辞書やテンプレートはAmiVoice CLxと同等に使用可能(クラウド版のみ)。iPhoneに保存されたテキストデータは院内ネットワークを介することなく,専用のUSB(Bluetooth)ドングル経由でPCに転送してレポートなどに貼り付けることができる。その際,テキストの転送はiPhoneの画面をスワイプするだけと,非常に簡単に行うことができる。
なお,同社のクラウドサーバは各種ガイドラインに準拠しており,安全性がきわめて高いが,病院内にサーバを設置するオンプレミスにも対応している。
●お問い合わせ先
社名:株式会社アドバンスト・メディア
住所:東京都豊島区東池袋3-1-4 サンシャインシティ文化会館6F
TEL:03-5958-1045
URL:http://medical.amivoice.com/