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ITEM2013 日本電気硝子 ブースレポート主力製品の「LXプレミアム」を中心に,ガラスの反射を抑える「高性能反射防止膜付き」タイプも参考展示

2013-4-24

日本電気硝子ブース

日本電気硝子ブース

幅広いジャンルの特殊ガラス製品を扱う日本電気硝子は,医療向け放射線遮蔽用ガラスを中心に展示を行った。主力製品である放射線遮蔽用ガラス「LXプレミアム」に加え,今回,ガラスへの映りこみ(反射)を抑える「高性能反射防止膜付きLXプレミアム」を開発品として紹介。また,LXプレミアムを用いた移動式防護衝立「LX防護衝立」や,優れた超薄板ガラス製造技術を生かしたX線フラットパネルディテクタ用ガラス「OA-10G」などを展示した。(4月13日取材)

 

 

 

●ヤケ(くもり)が発生せずクリアな視界を保つ「LXプレミアム」
ーー開発品として「高性能反射防止膜付き」タイプを展示

一般X線やCT,アンギオの検査を行う放射線検査室と操作室を仕切る窓(操作窓)には,放射線遮蔽のために鉛を含有した鉛ガラスや含鉛アクリルが使用される。操作窓は,医療従事者を不要な被ばくから守り,検査中の被検者の様子を視認して安全を確保するという重要な役割を担うが,液体の付着や日常のメンテナンスにより,経年的に白くヤケ(くもり)が発生してしまうことが,検査者の悩みの種となっていた。ヤケが発生して透明度が下がることで,患者の様子を観察しにくくなり,検査者に疲れやストレスが溜まってしまうことは,検査精度や安全性を確保するためにも好ましいことではない。
そこで,幅広くガラスやガラス製品を扱う日本電気硝子が開発したのが,“くもらない・白くならない”放射線遮蔽用ガラス「LXプレミアム」である。LXプレミアムは,放射線遮蔽用鉛ガラス「LX-57B」を安全ガラスフィルムと特殊なカバーガラスで両面から挟み込み,鉛ガラスに液体が直接付着することを防ぐことで,ヤケ(くもり)を発生させずに,クリアな状態を保つことができる。アンギオ室など薬品や血液が付着しやすい検査室でも,操作窓のヤケを心配する必要がなく,日常のメンテナンスでも水拭きやガラスクリーナーなどで気軽にクリーニングできる。
また,多層構造となることで衝撃安全性に優れ,万が一割れてもガラスの破片が飛散しにくい。操作窓だけでなく,検査室へのドアののぞき窓に使用することで,ドアの開閉時に人や障害物の有無を確認でき,安全性を確保できる。
さらに今回,開発品として「高性能反射防止膜付きLXプレミアム」がITEMで初めて展示された。その名称の通り,ガラスへの反射を軽減するもので,特に検査室を暗くした場合に,操作窓に明るい検査室が映り込み,検査室内の様子が見えにくくなることへの対策を望む医療現場の声を受けて開発された。高性能反射防止膜付きLXプレミアムを操作窓に用いることで,被検者のポジショニングの確認や,被検者への微調整の指示などをしやすくなる。
この開発には,日本電気硝子が開発した「見えないガラス」の技術をLXプレミアムに応用した。「見えないガラス」とは,ヒトの目が感じる波長の光を選択的に反射しないように設計された反射防止膜で超薄板ガラスをコーティングした特殊ガラスで,視感反射率を一般的なガラスの約4%に対し,0.08%まで抑えることに成功した。美術館の展示カバーガラスやショーケースへの応用が期待され,マスコミにも取り上げられるなど,近年注目されている。
高性能反射防止膜付きLXプレミアムは,試験的な導入が始まっており,千葉大学医学部附属病院など導入先で好評を得ているという。
ブースでは,実際に病院で8〜9年ほど使用されていた鉛ガラスと並べてLXプレミアムが展示され,長年使用しても高い透明度を保てることをアピールした。また,LXプレミアムを使用した移動式防護衝立「LX防護衝立」もあわせて展示された。

実際に病院で使用されていた鉛ガラスと並べて展示されたLX-57B

実際に病院で使用されていた鉛ガラスと並べて展示されたLX-57B

 

「高性能反射防止膜付きLXプレミアム」(右)はガラスへの反射が少ない。

「高性能反射防止膜付きLXプレミアム」
(右)はガラスへの反射が少ない。

移動式防護衝立「LX防護衝立」

移動式防護衝立「LX防護衝立」

 

●高いガラス製造技術を生かしたフラットパネルディテクタ用ガラスを紹介

ブースの一角では,表面が非常に平滑で,高精細化に適した薄板ガラス「X線フラットパネルディテクタ用ガラスOA-10G」が,ITEMで初めて紹介された。超薄板ガラスは,日本電気硝子が得意とする分野で,液晶ディスプレイやタッチパネル,太陽電池用基盤への使用も検討されているが,医療分野でのガラス活用の提案のひとつとして展示を行った。
OA-10Gは,平滑性,耐薬品性,耐熱性に優れた薄板ガラスで,アルカリ酸化物の含有量が0.1%以下のためTFT(薄膜トランジスタ)の特性を損なわないという特長を持つ。FPDのセンサー用ガラス基盤には,一般的に厚さ1.1〜1.7mmのガラスが用いられるが,同社の高い薄板ガラス製造技術により,薄さわずか50μmのガラスも製作可能で,FPDのポータブル・ワイヤレス化が進むなか,「より薄く,より軽く」というメーカーの要望に応えることができる。
また現在,自在に曲げられるガラスなども開発中であり,“耐久性・耐熱性に優れたフィルム”のようなガラスが実用化できれば,次世代の医療機器開発に生かされることが期待される。

「OA-10G」の薄さのバリエーションを紹介

「OA-10G」の薄さのバリエーションを紹介

0.2mm以下のガラスは,ロールで巻いて提供することも可能

0.2mm以下のガラスは,
ロールで巻いて提供することも可能

 

問い合わせ先
日本電気硝子株式会社
〒532-0003 大阪市淀川区宮原2-11-1
TEL 06-6399-2728
http://www.negb.co.jp/product/05/01.html
(販売代理店:電気硝子建材のサイトにリンクしています)

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