2012-4-19
日立メディコ/日立アロカメディカルブース
日立メディコ/日立アロカメディカルは,2011年のRSNAに引き続き,「embracing life through innovation」をテーマにブースを展開した。日立グループ全体としてのヘルスケアへの取り組みを来場者にアピールすべく,正面中央に設けたステージでは,さまざまな製品やサービスのプレゼンテーションが行われた。シームレスにつながるトータルソリューションをイメージしたブースは,中央にメディカルITソリューションエリアを設け,各種モダリティの診断ソリューションエリア,陽子線治療まで含めた治療ソリューションエリアをその周囲に配置。事前のブリーフィングで代表執行役執行役社長の北野昌宏氏が述べた,「今後,医療においてますます重要となる情報通信面を強化して,全体的な開発・販売の強化に取り組み,日立グループ全体として医療・ヘルスケア分野でさらに発展していく」との言葉を具現化するように,グループ全体の技術力と,それを集約した製品群をアピールした。(4月13日取材)
●MRI:快適性と高画質を両立した世界戦略製品1.5T MRI 「ECHELON OVAL」が登場
RSNA2011(第97回北米放射線学会)で発表された「ECHELON OVAL」が日本国内で正式リリースとなった。ECHELON OVALは,北米で主流となっているワイドボア市場に投入する世界戦略製品と位置づけられたハイエンドシステムで,日立グループの技術を結集して実現した横74cmの楕円ワイドボアが特徴。これまで,MRIの選定においては,“快適性”か“高画質”かの選択をしなければならなかったが,ECHELON OVALの登場により,快適性・高画質を両立した装置の導入が可能になる。ワイドボアや幅63cmのワイドテーブルは,空間を広くして被検者の快適性を向上させるだけではなく,オフセンタースキャンを容易にし,高画質な画像の取得を可能にする。3T装置では一般的な2ch独立制御RF照射システムを採用し,RF均一度の向上が図られており,特に乳房撮影などにおいて有用性を発揮する。
また,トータルワークフローの最適化をめざし開発された“Workflow Integrated Technology(WIT)”も特徴の1つ。これまで,MRI撮像はさまざまな工夫により検査時間の短縮が図られ続けてきたが,コイルの載せ替えに非常に時間を要していた。それを改善するのが,WIT RF Coil systemである。頭部撮像ではアタッチメントの載せ替えだけで頭部,頭頸部,頸部の撮像が可能で,体幹部撮像においても,着脱可能なWIT Spine coilを移動することでFeet First撮像に容易に対応する。また,Spine coilとTorso coilを組み合わせることでコイルを体幹に巻き付けて撮像することができ,高感度な撮像が可能となる。着脱可能なWIT Mobile Tableは,斜め方向(60°まで)からガントリ部に接続可能で,狭い検査室でも使いやすい。テーブル左右にはアームボードを搭載し,広いワークスペースを確保するとともに,垂直に立てることができるため,被検者のサポートやガードになる。ほかにも,ガントリの前面に設置されたWIT Monitorでは,患者情報の確認や編集,心電同期信号やコイルの接続状況を確認できるなど,検査全体を通してのスループットの向上が図られている。
MRI装置では,国内市場向けの超電導1.5T MRI 「ECHELON RX」も展示された。ECHELON RXは,高精度診断画像とシンプルな操作性の両立をめざして開発された装置。ITEM2011が開催中止となったため,ITEMにおいては初披露となった。
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●超音波診断装置:使いやすさ,コンパクトさを追究した「F37」を発表
新製品「F37」のコンセプトは,“コンパクト” “使いやすい” “画質性能”。スペースの限られた中小病院や診療所,ベッドサイドでの使用を想定し,簡便な操作性とコンパクトさを追究した装置となっている。エルゴノミクスを考慮したパネルの上下動作や回転はもちろん,パネルのボタンの数を大幅に削減したデザインも特徴で,必要な操作別に明確にパネル領域を分けている。また,多彩な画像調整機能を搭載し,eFlow(血流表示)にも対応するなど画質性能にもこだわり,高いコストパフォーマンスを実現した。アロカが日立メディコグループとなってから初となる製品で,製品名に従来のブランド名「prosound」は入れず,両社の技術力を結実させた装置として広く展開していく。
超音波診断装置はほかにも,心臓や血管系の性能を追究したプレミアム装置「F75」や,大型タッチパネル搭載により,多様なメニューを使用する産科や循環器科に好評を得ている「α7」,最上位機種「Ascendus」などが展示された。
また,“Real-time Virtual Sonography(RVS)”や“Real-time Tissue Elastography”が,ファントムを使ってデモンストレーションされた。RVSは,超音波画像と同じ断面のCTやMRIのMPR像をリアルタイムに表示する機能で,診断情報が増えることや,肝がんに対するRFA治療などにおいては,術前計画から術中のガイド,治療評価において有用であるとして,臨床で評価されている。硬さの情報を映像化するReal-time Tissue Elastographyは,繊維化の進行度を色で示すことができる。そのまだら度をヒストグラムで定量的な数値を表示でき,肝炎のステージングを非侵襲的に推定できる可能性があり,現在,多施設研究が進められている。また,「Ascendus」には,リアルタイムの3Dエラストを表示する4Dエラスト機能を搭載。任意断面から観察可能で,手術野と同じように観察でき,広がり診断ができることで,特に乳腺領域において注目を集めている。
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●CT:新しい心臓撮影技術と被ばく低減技術をアピール
CT装置は,0.35s/rotの高速回転と全身撮影が可能な64列マルチスライスCT「SCENARIA」が展示された。被ばく低減,高画質にこだわって開発された同装置だが,今回,新しい心臓撮影技術と被ばく低減技術を搭載し,さらなる進化を遂げている。
従来より搭載されていた,ノイズ低減,被ばく低減を可能にする逐次近似法を応用した“Intelli IP”が,統計学的処理の精度を向上させ,“Intelli IP(Advanced)”として搭載された。ノイズ低減レベルを7段階に変更可能で,約40~50%のノイズ低減効果を実現し,より低線量での撮影が期待できる。なお,真の逐次近似再構成を現在開発中で,実用化に向けソフトウエアとハードウエアの両面から演算時間の短縮に取り組んでいるという。
心臓撮影技術として,「SCENARIA」には従来から“IntelliCenter”を実装している。左右に各8cmスライドする寝台と専用のBow-tieフィルタを組み合わせることで,撮影対象である心臓をFOVの中心にセットし,心臓以外の周辺部への被ばくを最小限に抑える。そして今回,最新技術として“CardioConductor”と“CardioHarmony”が搭載された。CardioConductorは,息止め練習時の被検者の心拍変動から,心臓撮影時の再構成タイプやピッチなどを自動設定し,撮影時の作業効率を向上させる。また,CardioHarmonyは,心臓撮影後に,動きが最も少なく,診断や解析に適している心位相を自動で探索した上で再構成するため,作業時間を短縮することができる。
さらにCTエリアでは,異なる角度のCT画像を高速に切り替えて表示し,専用3D眼鏡を用いてステレオ視する画像表示機能「eXtation,3D Realizer」も実機展示された。三次元画像がより奥行き感のある画像となり,血管や腫瘍の前後の位置関係が把握しやすい。診断だけでなく,手術計画などにも活用できるように改良していくとのこと。
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●X線撮影装置:多目的透視撮影装置に有効視野42cm×42cmの新型FPDを搭載
従来,40cm×30cmと30cm×30cmのFPDを搭載していた多目的透視撮影システムに,新たに17インチ角,有効視野42cm×42cmの新型FPDを搭載した「EXAVISTA17」が登場した。画素サイズ139μmで17インチ角の大視野を実現し,さらに画像処理の高性能化により高精細な透視・撮影画像を得ることができるのが大きな特徴である。3種類のFPDサイズがそろうことで,泌尿器や胸部などの広い視野の検査から,内視鏡IVRなどの細かい手技までをカバーすることができ,顧客に対しては予算や使用目的に応じた提案が可能となる。
一般撮影システムでは,「RadnextPLUS」と天井走行式X線管支持装置「SX-A300」の組み合わせを展示した。「SX-A300」は,レールや機構部,支柱,操作部などを一新し,軽い操作性を実現している。位置決め時のロック音が静かな静音化機構は,小児や認知症高齢者の検査時に有用性を発揮する。また,ストローク1650mmを確保して床面にかなり近いところまで伸ばすこともでき,多様な検査に対応する。さらに,ワンハンドコントローラー(特許・意匠申請中)により操作性が向上し,空いた片手で被検者をサポートすることで,ペイシェントフレンドリーな検査を行える。「RadnextPLUS」は,X線装置メーカーだからこそ実現できた自社製FPDを組み合わせたシステム。被検者情報確認,X線制御,画像確認のすべてを1台で可能にするオールインワンコンソールが特徴で,省スペースやワークフローの向上に貢献する。
回診車では,FCRを組み込んだデジタル回診車「Sirius Ubiquitas 2」を展示。従来装置より本体幅(58cm)を狭くし,装置前方を確認しやすいデザインや大型のタッチパネルを採用している。また,デジタルマンモグラフィ「Selenia Dimensions」は,通常の2D撮影に加え,±7.5°の範囲を低線量で撮影するトモシンセシス(3D)撮影が可能である。乳管のスピキュラの観察が容易になるなど,より正確な診断を支援する。
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●ヘルスケアIT:「ImageConcier ICW-1000」を中心にシームレスにつながるシステムソリューションを提案
ブース中央に据えられたITソリューションエリアでは,画像診断ワークステーション「ImageConcier ICW-1000」を中心にITソリューションの展示が行われた。「ImageConcier ICW-1000」は,有用な情報をスマートに提供するシステムとして開発され,臨床現場のさまざまなシーンで価値ある機能を提供する。その1つである“診療データコックピット”は,X線,CT,MRI,超音波,内視鏡などの検査画像を患者ごとの時系列で表示し,俯瞰的に検査履歴を把握することができる。自由に時間軸を調整でき,履歴表示のエリアから参照したい画像をドラッグ&ドロップするだけの簡単操作など,直感的に操作できることが特徴。また,読影スタイルに応じて簡単に画面のフォーマットを変えられる“MyStyle”機能や,汎用,健診,超音波,内視鏡,マンモのレポートシステムを搭載しており,日々の診療効率を向上させる。さらに,遠隔画像読影支援サービス(ドクターネット社)との連携,同社の画像診断装置や電子カルテシステムとの連携を密にし,シームレスな統合ソリューションを提案していた。
●治療装置など:がん組織を凍結壊死させる冷凍手術器「CryoHit」を展示
治療ソリューションのコーナーでは,冷凍手術器「CryoHit」を紹介した。2011年7月より小径腎がんに対する凍結治療が保険適用となり,国内の医療機関でも装置の導入が始まっている。凍結治療の最大の特徴は,治療域をMRI等の画像診断装置で確認できることと,治療による痛みが少ないことである。さらに,主要血管等の機能維持や骨の凍結壊死と再生を生かした利用が期待される。先端部が極低温になるニードルをがんに穿刺して凍結する低侵襲治療であるため,患者受容性が高く,繰り返し治療を行える。入院治療も2泊3日程度ですむなど,医療費の削減にも貢献する。骨転移等のがん性疼痛治療,子宮筋腫等の良性腫瘍への利用も期待されている。
また,日立アロカメディカルからは,超音波を使った骨密度測定装置「AOS-100SA」が新製品として展示された。制御部やプリンタを内蔵した一体型が特徴で,ランニングコストが安いなどコストパフォーマンスも高く,クリニックで使いやすい装置としてアピールした。骨密度測定装置の最上位機種「DCS-900EX」は,一般X線撮影装置の天板を共用でき,設置性が高い装置で,X線撮影装置とのセットで導入する施設が多いという。ほかにも,放射線測定装置などを展示し,来場者の関心を集めていた。
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