2012-4-23
富士フイルムメディカルブース
富士フイルムメディカルは,テーマを「先進の画像技術で,あらゆる診療シーンに付加価値を。」として,ブース内をX線撮影装置を中心とするモダリティソリューションと,PACSを中心とするITソリューションの2つのエリアに分けて展示を構成した。モダリティゾーンでは,「Gentle Touch.Brilliant Image.」をキャッチフレーズに,X線一般撮影システムのフラッグシップである「BENEO/BENEO-eX」をはじめ,新製品として「リアル3Dマンモグラフィ」,FPDモバイルシステム「CALNEO flex」などを展示した。一方のITソリューションでは,キャッチフレーズを「Open Integration.Good Solution.」として,SYNAPSEの最新バージョン,ITEM直前に発表された「類似症例検索システム」,3D画像解析システムボリュームアナライザー「SYNAPSE VINCENT Ver.3.0」などを紹介した。 富士フイルムグループでは,米国の超音波診断装置メーカーSonositeの買収(TOB)や,買収したシステム計画研究所の生体情報システム事業を統合した富士フイルムメディカルITソリューションズの発足(ヤギーから社名変更)など,医療・ライフサイエンス領域の事業拡大を進めているが,ブースでは新たに加わったシステムや製品の展示を含めて,多くの製品ラインナップが出展され,同社の事業の広がりを感じさせた。(4月14日取材)
●低線量撮影を可能にしたSQタイプなど「CALNEO C」を中心とした一般撮影装置の豊富なラインナップを紹介
富士フイルムでは,近年,撮影系のDR(FPD)化を強力に進めてきたが,2年ぶりのITEMの展示となったことで,その流れが一層明確となった。モダリティゾーンの中心には,カセッテタイプのFPDである「FUJIFILM DR CALNEO C 1417 Wireless(以下,CALNEO C)」(2011年4月発売),「CALNEO C 1417 Wireless SQ」(2011年9月発売),「CALNEO C 1717 Wireless」(2011年9月発売)が展示された。CALNEO Cシリーズは,独自開発のISS(Irradiation Side Sampling)方式を採用した間接変換方式のFPDで,性能安定性に優れたGoS(ガドリニウムオキサイドサルファ)を採用するタイプと,CsI(ヨウ化セシウム)シンチレータを採用し,低線量で高画質を実現した“SQ”をラインナップする。SQでは,従来の半分の線量で同等の画質を得ることができる。展示では,GoSとCsIのパネルで撮影した画像の比較なども行い,線量低減への貢献をアピールしたほか,参考出品として一般撮影だけでなく,CT撮影なども含めた患者個人のトータル被ばく線量管理が行える「線量管理ソリューション」を紹介した。
一般撮影装置では,X線管球,天井走行機構,FPDをトータルで提供することで,高画質と高い操作性を提供するフラッグシップモデルであるX線一般撮影システム「BENEO/BENEO-eX」を展示した。BENEOは,富士フイルムの画像処理技術と島津製作所製のX線装置,直接変換方式FPDによる高画質の提供が特長だが,新たに間接変換方式のCALNEO Cとの組み合わせも可能になり,施設の規模や使用目的,ワークフローに応じて柔軟に対応する。BENEOでは,管球とディテクタの高精度な連携によって,全脊椎,全下肢の撮影ができるほか,今回新たに,異なるエネルギーで撮影した2枚の画像をサブトラクションして特定組織を描出するエネルギーサブトラクションを搭載した。
また,自動X線検出機能“スマートスイッチ”を搭載し,ケーブルレス,バッテリー駆動で持ち運び自由のDR方式カセッテ型デジタルX線画像診断装置「FUJIFILM DR CALNEO flex」(2011年11月発売)を出展した。ブースでは,回診車へのセッティングを想定したスタイルでデモを行ったが,救急や検診車への搭載などさまざまな用途が考えられ,iPadなどの携帯型端末での画像表示なども紹介した。
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●高精細画像の立体視によって診断をサポートする「リアル3Dマンモグラフィ」
マンモグラフィコーナーでは, 2012年3月に発売された,高精細のマンモグラフィ画像を立体視して診断を行う「リアル3Dマンモグラフィ」が大きく展示された。「リアル3Dマンモグラフィ」は,角度差をつけて撮影した2枚の画像をハーフミラー越しに表示し,偏光グラスをかけて見ることで三次元的な観察が可能になる。13日に行われたJRCランチョンセミナー21「デジタルマンモグラフィ2012最新情報」では,200インチのスクリーンに「リアル3Dマンモグラフィ」のフルデータを3D投影し,聴講者が実際の画像を共有できるようにして注目を集めた。リアル3Dマンモグラフィでは,2回の撮影を行うがトータルの線量は通常の1.3倍程度で,富士フイルムではスクリーニングでの利用を想定している。
また,このリアル3Dマンモグラフィが行える乳房用デジタルX線撮影装置として,2011年秋に発売された画素サイズ50µmの直接変換型FPDを搭載した「AMULET f」もITEMでは初展示となった。AMULET fは,検診での撮影のほか,バイオプシー検査などの精密検査にも対応する。
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●高い画像処理技術を生かした「類似症例検索システム」,3DWSの「SYNAPSE VINCENT」などを展示
ITソリューションゾーンでは,中核となるPACSのSYNAPSEからクラウドサービスまで,さまざまなソリューションが展示された。SYNAPSEでは,患者ごとの検査の履歴を時系列にマトリックス表示するSYNAPSE SCOPEや,Expert Viewerの最新バージョンなどが紹介された。Expert Viewerでは読影業務の効率化を図るため,メニューのカスタマイズ機能を強化した。ショートカットキーの設定やマウスのボタンとホイールへの機能の割り付けなどを細かく設定できるほか,比較読影のレイアウトなどもユーザーが自由に設定できるようにした。
ITEMの直前に発表されたばかりの「類似症例検索システム」は,豊富な症例データベースから富士フイルムの画像認識技術を利用して類似した画像を検索し,類似度の高い順番に画像とレポートを表示する。13日には,JRSランチョンセミナー10「類似画像検索機能を搭載したシステムがもたらす新しい読影支援」を行い,画像診断をサポートし確信度を上げるシステムとして高評価を得たという。発売は2012年秋を予定しているが,今後,現在の孤立性の肺がんから,非がん,びまん性病変などへも対象を広げて開発を行っていくとのことだ。
3D画像解析ワークステーションである「SYNAPSE VINCENT」は,最新のVer.3.0の機能を中心に紹介した。Ver.3.0では,特に富士フイルムが持つ画像認識エンジンを応用した形状認識機能が強化されており,脳神経領域では,これまでマニュアルによる選択が必要で作成に時間がかかっていた動静脈分離が,短時間で自動的に抽出可能になった。外科系の肝臓の術前シミュレーションの機能もバージョンアップし,脈管系の抽出が末梢まで自動で短時間で行えるようにした。さらに,SPECTの機能情報をボリュームデータとしてフュージョンでき,肝機能を確認しながら切除範囲の決定ができる。呼吸器領域では,肺の機能解析については以前のバージョンから可能だったが,新たに自動認識エンジンによって肺葉の分離を可能にした。また,気管支解析では形状認識によって末梢までの自動認識の精度が向上している。そのほか,呼吸器外科系の支援として,胸腔鏡による肺切除の術前シミュレーションなどを紹介した。
SYNAPSEでは,さらに,新たに追加される富士フイルムメディカルITソリューションズの総合生理検査システム「Prescient PHYS」や,内視鏡情報管理システム「NEXUS」の新バージョン,救急医療サポートシステム「i-Stroke」の新バージョンなどを展示した。
また,クラウドとしては「ASSISTA Portal(アシスタポータル)」として,地域医療連携サービス“C@RNAConect”,診療支援サービス“ASSISTA Contents”,リモート保守サービス“Active Line”を紹介した。
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