2021-4-12
コニカミノルタ(株)と社会福祉法人 聖隷福祉事業団は,遺伝子検査による日本初の未病検診プラットフォーム「CARE*プログラム」を2021年4月より協働で開始したことを発表した。
*CARE; Comprehensive Assessment, Risk and Education (遺伝学的保因リスクに関する知識と包括評価)
コニカミノルタは,サイエンスに基づいた未病対策の推進を通じ,疾病リスクの早期発見と,診断,予防・早期治療の機会提供拡大を推進している。がんの原因である遺伝子変異を解明することで個人にあったがんリスクを理解し,適切な予防・治療方針を決定することができる。その結果,がんなどの疾病と共生しながら働き続きける生きがい支援として重要な役割を果たす。疾病の進行後に発見,診断,治療する場合に比較し,未病対策には医療費抑制への寄与も期待されている。
聖隷福祉事業団は,長年に亘り地域に密着した先進的な医療・検診の提供に取り組み,未病への関与やゲノムなどの最先端の課題に挑戦している。コニカミノルタと聖隷福祉事業団の連携による「CAREプログラム」開始を契機として,健康で高い生活の質の実現に向けた取り組みを強化していく。
日本版CAREプログラムが提供する価値
◆疾病未発症者に,遺伝学的解析により個人に合ったがんリスク理解を促進し,適切な早期・予防的治療を推進
◆米国で実績を積んだ科学的根拠に基づいたデジタル問診を活用し,検査結果の解釈を含めた精度の高い遺伝子検査を提供
◆高品質な遺伝カウンセリング,医療提供
●背景
コニカミノルタグループの遺伝子診断事業会社である米国Ambry Genetics(アンブリー・ジェネティクス)社は,乳がん検診などの受診者向けに遺伝子診断サービス「CARE Program」を2020年から本格展開している。乳がんは遺伝学的リスクが高いため,定期検診時に遺伝子検査を同時に行うことで,早期発見に大きく貢献できる。
欧米では,乳がんや子宮頸がん検診の受診率が70.80%と進んでおり,早期発見や予防の推進によってがんと共生,がんを克服できる環境が育ちつつある。一方,日本では乳がん・子宮頸がんの受診率が40~50%に留まり,また,日本女性の乳がん罹患患者は諸外国に比べて年齢が若く,40歳台の患者数がピークとなることが社会の課題となっている。
Ambry Genetics社が米国で長年実績を積んだ遺伝学的検査の知見を活かした「CARE Program」を日本版として開発し,国内の未病対策推進に向けて一歩を踏み出した。
●日本版CAREプログラムの概要
CAREプログラムは,個々の遺伝的保因リスクを検査し,全米を代表とするがんセンターで結成されたNCCN(National Comprehensive Cancer Network) が策定した,遺伝性/家族性のがんに関する診療ガイドラインに基づいた,日本初の未病プラットフォーム。
CAREプログラムでは,未病の検診受診者に対してチャットボット**問診を実施し,遺伝性のがんリスクが高い受診者に対して遺伝カウンセリング,遺伝学的検査を提供する。結果を基に,リスクの度合いに応じた,より緊密な経過観察や予防的措置,家族歴に基づく予防方針が提案できるようになる。遺伝性腫瘍の高リスク者を効率的に判別することで,一人ひとりに合ったがん検診プランを実現する。これらの評価プロセスは,豊富な症例データを基に,精度が高く科学的根拠に基づいたツールを活用する。
聖隷福祉事業団では,遺伝学的検査で重要な役割を果たす経験豊かな臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーによる遺伝カウンセリングの機会を含め,受診者にきめ細かな説明・支援を提供する。CAREプログラム実施により,早期発見と予防的治療で患者のQOL(生活の質)向上を支援していく。
CAREプログラムは,多岐の疾病領域にわたり罹患リスクを判断する総合的な未病検診プラットフォーム。米国で実績を積んだ婦人科検診受診者への提供を,順次日本全国で展開する予定。さらに,予防的手段を取ることによりQOLの向上や医療費の低減に貢献する分野を,同プラットフォームを通じて提供していく予定。
**チャットボット:人と対話しているような応答をロボットが自動で行うコミュニケーション。チャット(対話)とボット(ロボット)を組み合わせた用語。