2015-1-1
図1 充電時の配線(FPDも含む)
はじめに
当院は,2014年8月1日に新病院が開院し,それに合わせてコニカミノルタ社製のFPDを導入した。半切サイズには,新製品である「AeroDR PREMIUM」を導入し,ワイヤレスFPDとしてポータブルX線撮影に使用している1),2)。当院の医療情報システムは,電子カルテ端末にRIS,PACSが相乗りするものであり,今回のAeroDR PREMIUMにおいても電子カルテ端末の院内無線LANに相乗りすることで,ワークリストの取得や画像配信が可能となっている。
AeroDR PREMIUMの特徴
1.重 量
FPD筐体に継ぎ目のないカーボン構造でより強度を増し,2.6kgに軽量化されている。しかし,ポータブルX線撮影時に患者の身体を浮かせカセッテを挿入するというそれぞれ片手での作業では,CRカセッテよりも重く感じられ,われわれ診療放射線技師にとっては負担であるため,さらなる重量軽減を期待したい。
2.耐衝撃性の向上
メーカー荷重試験において,従来品に比べ約2倍の強度であり,さらに落下テストも行い衝撃による故障のリスク低減を考えた設計がされている。当院でもすでにFPDの落下の報告が数件あるが,今のところ故障には至っていないため,耐久性は十分評価できる。
3.防 水
バッテリー内蔵の一体型であり,JIS規格を取得して防水性能が向上している。当院は救急病院のため,重傷患者や水難事故,野外雨天現場からも患者が搬送されるが,その血液や体液,尿,衣服の浸水などの厳しい状況においても問題なく使用可能である。
4.撮影準備時間
無線使用でのポータブルX線撮影で,初回起動時や連続して撮影する場合のインターバルは10秒程度である。実際のポータブルX線撮影で,同一患者の胸腹部撮影を行う場合でも,胸部撮影後からの腹部撮影を行うまでの時間より格段に短く,ストレスをまったく感じない。
5.バッテリー
もともとバッテリー使用可能時間は長かったが,さらに性能が向上し,撮影可能枚数は従来比1.5倍となっている3)。当院での使用経験では,午前中フルに撮影してもバッテリーがなくなったことはない。満充電の状態で,午前中約2時間で40回曝謝しても,50%程度の残量がある。また,充電時間は30分と短く,昼休み時間に充電すれば,午後は勤務終了まで充電なしで使用可能である。万が一バッテリーが減少した場合には,撮影の合間の移動時にも充電が可能であり,継ぎ足し充電によるバッテリー劣化がないという利点がある。ただし,バッテリー残量がゼロになった場合,FPDは30分で充電完了するが,コンソールPCの充電には数時間がかかる。現行製品はコンソールが一般的なPCであり,バッテリーの対策は特にないのが課題である。
そのほかの問題点
1.無線接続
始業時に,まれに無線環境で使用している院内LANとコンソールやFPDパネルの無線接続が切れることがある。夜勤帯に使用してから長時間使用せずにいた場合に起こることがある。この場合はコンソールを再起動する必要がある。
2.パネル充電忘れと配線の問題
ポータブル撮影装置の充電は,撮影装置本体,コンソールPC,ユニット,FPDと配線が多い。そのため,いずれかのコンセントの挿し忘れがたびたび発生し,使用できなくなることがある(図1 a)。そこで,電源タップでコンソールPC,ユニットをまとめて1本とし,撮影装置本体との2本とした(図1 b)。FPDについてはクレードルを使用して充電している。
おわりに
ポータブルX線撮影に,AeroDR PREMIUMを使用することにより,CR撮影後の読み取り作業や二重曝射による再撮影がなくなった。また,その場で画像の確認が可能であり,これらの点は非常に有用である。われわれ診療放射線技師が要望する点はまだあるが,ポータブルX線撮影において飛躍的に撮影効率が上がったと言える。
松本 剛(日本医科大学付属病院放射線科)
●参考文献
1)福井 浩 : 回診撮影システム「AeroDR」の運用. INNERVISION, 27・10, 72〜74, 2012.
2)米山 努 : 「AeroDRポータブルソリューション」の紹介. INNERVISION, 27・10, 75, 2012.
3)東出 了 : 一般撮影部門における「AeroDR」の使用経験. INNERVISION, 27・10, 42〜44, 2012.
〒113-8603 東京都文京区千駄木1-1-5
TEL 03-3822-2131
http://www.hosp.nms.ac.jp
病床数:1002床 診療科目:40科