CTでは,320列のAquilion ONE,160列のAquilion Premium,64列128スライスのAquilion CXの3台の実機を展示した。展示テーマの“Episode of Care”に関連して,Aquilion ONEの導入による臨床的,経済的な効果を中心にアピールしたほか,これからの新しいCT技術として,被ばく低減技術AIDR(Adaptive Iterative Dose Reduction)とデュアルエナジーを紹介した。
逐次近似再構成法の原理を応用したAIDRは,昨年のRSNA2009でも原理を紹介したが,アメリカでは今回が本格的なリリースとなる。AIDRは,低線量で撮影した画像の解像度を損なうことなくノイズ成分だけを除去することで被ばく線量を最大75%低減する技術だが,今回は次世代の被ばく低減技術として,さらに最大90%の削減をターゲットに開発を進めているnewAIDR(仮称)を発表した。newAIDR(仮)のねらいは,Aquilion ONEで可能となった,ボリュームデータを連続的に収集し,動態情報をとらえるダイナミックスキャンへの適用である。動態の連続撮影に対して,被ばく線量を増やさずに検査が行えるようにするブレイクスルー技術だ。さらに,デュアルエナジーのような技術にも被ばく低減は必要不可欠で,それらをターゲットとした開発を進めているという。newAIDR(仮)では,画像ノイズのみならず,低線量画像で発生するアーチファクトも大幅に低減できる。
東芝のデュアルエナジーは,やはり昨年のRSNA2009で原理は紹介されていたが,2つの異なるエネルギーを高速にスイッチングすることで,同じ部位を2回転で撮影し,1秒以内に16cmのボリュームデータとして収集できることが特長だ。次のステップとしては,軌道同期の技術を適用して,ヘリカルスキャンで撮影する技術のリリースを予定している。解析アルゴリズムとしては,2 material decompositionに加えて,新しいアプリケーションを追加していく予定で,例えば,肺塞栓症でヨード造影剤を指標とした血流評価のアプリケーションなどを開発中とのことだ。また,135kVと80kVの2つの異なるエネルギーで撮影したデータから,ルーチンで撮影する120kVの画像を作成するBlending Image(W.I.P.)なども今後搭載の予定だ。
被ばく低減技術“AIDR”など新技術をアピール |