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RSNA2010

■Siemens
  リアルタイムな3Dエコー画像表示を発表 Vol.2
  【US・X-ray・MI・Customer Development・デジタルマンモグラフィ】

RSNA2010 [第1日目:11月28日(日)]
 
●US―3D専用モニタを利用した胎児の超音波画像表示機能を発表

  超音波コーナーでは,「ACUSON S2000」と超音波自動ブレストボリュームスキャナ「ABVS」(Automated Breast Volume Scanner)を中心に展示が行われた。

  超音波診断装置は,産婦人科領域では,胎児の3D撮像がよく行われるが,今回新たに,ACUSON S2000で撮像した画像を,3D専用モニタとつなぐことでリアルタイムに立体的に表示可能にする新アプリケーション“Live Stereoscopic 3D Imaging”(日本国内薬事未承認)が紹介された。従来よりも,よりリアルに胎児の観察が可能となり,患者サービスに貢献できるほか,ワークステーションを用いずに,リアルタイムに3D画像参照が可能となることから,将来的には手術時の参照画像として使用される可能性もあるという。

  また新たに,異なるモダリティの画像同士を重ね合わせて表示する新機能“Fusion Imaging”(日本国内薬事未承認)が紹介された。従来の装置では,位置合わせのためにセンサーを用意するか,手動でマーカーを設定しなければならないなど,手間がかかっていたが,Fusion Imagingでは,骨や血管,横隔膜などのパターン認識機能によって,位置合わせが自動で行われるようになった。これにより,穿刺やRFAなどの際に,ルーチンで手軽に使用可能になると期待されている。

  ABVSは,シャドウアーチファクトを除去するソフトウエアが搭載された新バージョンが紹介された。ノイズの出やすい乳頭の下などでも,より高画質が得られるようになった。ABVSは現在,全世界では約120台が稼働している。

ACUSON S2000
ACUSON S2000

ABVS
ABVS


●X-ray―CARE + CLEAR キャンペーン

  血管撮影装置のコーナーでは,多軸血管撮影装置「Artis zeego」とLarge Displayが展示された。Artis zeegoについては,RSNA 2009で紹介された,Dyna CTの画像を用いて脳血流を計測するアプリケーションの臨床応用が現在,徐々に進んでおり,今回の展示では臨床データが紹介された。なかでも,Interventional Oncologyにおいては,従来から行われていた肝臓の塞栓術のサポートのほか,子宮筋腫の塞栓術をいかにサポートし,すばやく的確に治療できるかがテーマとなった。また,同社のさまざまな技術を用いて,いかに低線量で検査・治療を行いながら高画質を得るか,ひいては,より安全にインターベンションを行うかということをテーマとした“CARE + CLEARキャンペーン”が展開された。

  一般撮影装置は,RSNA2009に引き続き,臥位のワイヤレスFDと立位のディテクタを組み合わせた1管球2ディテクタシステムの「Ysio」が展示された。リモコン操作により,ボタン1つでポジショニングが行えるほか,同社の多目的X線テレビ「AXIOM Luminos dRF」にワイヤレスFDのコンセプトが追加されたことが紹介された。YsioのワイヤレスFDをX線テレビの立位のスタンドに組み込んで,X線テレビ,管球と組み合わせることで,1つの検査室内で効率的に,一般撮影装置とX線テレビの両方の撮影が可能となる。 また,AXIOM Luminos dRFは,3Dシミュレーターが用意され,モニタを見ながら実際の操作が体感できる展示となっていた。

Artis zeego
Artis zeego

Ysio
Ysio


ワイヤレスFD
ワイヤレスFD
Ysioのリモコン
Ysioのリモコン
AXIOM Luminos dRFのシミュレーター
AXIOM Luminos dRFのシミュレーター

●MI―Mimimum Dose,Maximum Speed

  核医学コーナーでは,“Mimimum Dose,Maximum Speed”をテーマに展示が行われ,短時間での撮影による患者さんの負担軽減と被ばく低減に,さまざまなテクノロジーを投入していことがアピールされた。コーナーの一部には,PET・CTとSPECT・CTのいずれにも,このテーマに基づく技術が搭載されていることを示すパネルを掲示し,コンベンショナルな方法と同社の新技術を結集した方法との違いがイラストでわかりやすく示された。

  PET・CTは,同社最高クラスのPETとCTを搭載した「Biograph mCT」が展示された。従来の約半分の情報量でも従来と同じ画質が得られるよう,TOF(time-of-flight)などの技術を搭載してSNRを向上し,薬剤の投与量をコンベンショナルなシステムの約半分に減らせるようになったほか,PET検出器幅を広げて有効視野を拡大したことで,撮影スピードが約2倍となった。

  SPECT・CTは,診断用の2,6,16スライスCTが搭載可能な「Symbia T」シリーズが展示された。ガンマカメラのコリメーターを多焦点ファンビームコリメータとし,角度をつけて心臓の情報だけを収集するアプリケーション“IQ・SPECT”が搭載されたことで,感度が従来の4倍に向上し,従来は約20分かかっていた心電図同期の心筋シンチグラフィ撮影が約5分で行えるようになった。これにより,薬剤の投与量を半分に低減しても,従来の2倍のスピードでの撮影が可能となる。

展示のテーマをパネルでアピール
展示のテーマをパネルでアピール

Biograph mCT
Biograph mCT

Symbia T
Symbia T


●Customer Development―きめ細かい情報提供とコンサルティング

  Customer Developmentでは,次のリプレイスまでの間に登場したさまざまな最先端装置とのギャップを埋めていくためのサービスとして,「Customer Development Sessions」を紹介した。保守契約では,オプションでハードウエアのアップグレードに対応しているが,Customer Development Sessionsでは,それに加えてソフトウエアの購入やアップグレードの際に,対象ユーザー製品の稼働状況や,現状でのアプリケーションの搭載状況を踏まえた上で,どのようなオプションが購入できるかを,わかりやすくシステム化して情報提供ができるようになった。これにより,複雑な多数のアプリケーションの中から,本当に必要とされる最適な製品を簡単に選択できるようになった。

  また,保守契約のオプションの1つである「Utilization Management」では,装置の稼働状況を視覚化し,さらには今後のトレンドをいち早くつかんで提供していくことで,近い将来に伸びていくと予想される分野のシステム状況を確認し,ディスカッションを重ねながら一歩先のニーズに合わせた提案を行っていくことが可能となった。これにより,投資のねらいがより明確となり,医療経済の面でも貢献できるという。現在,これらに対応している装置はCTとMRIだけだが,今後は他のモダリティにも広げていくことが予定されている。

Customer Development Sessions
Customer Development Sessions

Utilization Management
Utilization Management


●デジタルマンモグラフィ

  2010年11月に米国でFDA認可を受けた「MAMMOMAT Inspiration」が展示された。撮影装置本体とAWS(撮影コントロール用コンピュータ)の2つだけで,従来どおりの乳房撮影,検診,ステレオバイオプシー,トモシンセシスのすべてに対応し,ほかのモニタやコンピュータを追加する必要がないことが特長となっている。AWSのモニタは,1MBと3MBから選ぶことができる。

MAMMOMAT Inspiration
MAMMOMAT Inspiration


●11月29日にはメディア向けセミナーを開催

  29日(月)午前7時30分から,McCormick PlaceのMeeting Room において「The annual Siemens Media Breakfast」が開催され,Siemens Healthcare CEOのHermann Requardt氏らによるオーダーメイド医療に関する講演が行われた。Requardt氏は,未来の医療の方向性は従来の“Reactive Medicine”から“Personalized Medicine”に向かうとし,その例として,7T MRIや核医学による,より詳細なin vivoの評価の可能性について紹介したほか,これからの医用画像管理・運用に貢献するsyngo.viaの有用性などについて述べた。

  また,8時45分からは引き続き,「The panel discussion」が開催された。放射線科医,循環器専門医,物理学者ら4人のパネラーにより,被ばくを取り巻く問題等について活発な議論が行われた。

Hermann Requardt氏
Hermann Requardt氏
パネルディスカッション会場風景
パネルディスカッション会場風景
パネラー
パネラー

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