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RSNA2009

■Philips Healthcare(フィリップスエレクトロニクスジャパン)
CTで高画質なまま80%の被ばく低減を実現するアプリケーション「iDose」が登場

RSNA2009 [第2日目:11月30日(月)]

フィリップスは,“Innovation”,“High with Low”,“Workflow”,“Diagnosis to Therapy”の4つをキーワードに展示を行った。Innovationには,新しいイノベーションでマーケットを引っ張っていくというメッセージを,High with Lowには,高画質な画像を維持しながら,新しい技術で低被ばくに挑戦すること,Workflowは,ワークフローの改善によるコストダウンを図ること,Diagnosis to Therapyは,診断から治療における技術の進化,という意味が込められている。

Philips Healthcareブース
Philips Healthcareブース

CTでは,256スライスの「Brilliance iCT」の新たなアプリケーションとして,High with Lowを実現する「iDose」を目玉として来場者にアピールした。Brilliance iCTは,業界最速の0.27秒でのスキャンが可能な装置。その新たなアプリケーションである「iDose」は,現在の被ばくレベルから80%低減をめざし,線量を低くした状態のノイズを除去するために,画像の再構成方法を工夫し,これまでの再構成法の他に,統計学的ノイズモデルと解剖学的モデルにできるだけ近づけるような画像再構成法を行っているという。さらに,再構成エンジンも変更したことで,秒間10枚以上と通常の画像と遜色のないスピードでの画像再構成が可能である。会場では,元画像と80%の被ばく低減で撮影した画像を提示し,画質に遜色がないことをアピールし,来場者の注目を集めていた。肺の検査では,1mSvを下回る被ばく線量での撮影も可能だという。iDoseについては,米国および日本で来年からの販売を予定している。また,低被ばくを実現する技術について,iCTシリーズ専用に開発された最新技術の中から,NanoPanel3DとEclipse Collimatorを紹介。NanoPanel3Dは,焦点集束型の球面検出器技術に合わせて2Dの散乱線除去フィルターを搭載し,散乱線の影響を抑えた画質を提供する技術で,これにより,X線を余すことなく受けることができる。Eclipse Collimatorは,ワイドカバレッジディテクタによるヘリカルスキャンの問題点であった,画像に寄与しない部分へのムダ被ばくの問題を根本的に解決する技術で,最大50%の被ばく低減が可能。このほか,大量に発生するCTデータをスピーディに処理するため,心臓や大腸のアプリケーションを搭載したワークステーション(ver.4.5)を展示。シンクライアントの端末は,無制限で増設が可能で,検査後のワークフローの改善を支援する。

「iDose」が実現する低被ばくを視覚的に訴えるため,Brilliance iCTのガントリを半分にカットして展示していた。
「iDose」が実現する低被ばくを視覚的に訴えるため,
Brilliance iCTのガントリを半分にカットして展示していた。

Brilliance iCTのワークステーション(ver.4.5)
Brilliance iCTのワークステーション(ver.4.5)

MRIは,2008年のRSNAで発表された「Achieva 3.0T TX」を展示した。同装置には,患者ごとにRF送信を最適化する技術“MultiTransmit”が搭載されており,これにより,3T装置で問題となる信号ムラやコントラストを改善し,SARの上昇も抑える。ワークフローについては,マンモグラフィ用の寝台「Mammo Trak」と機能が新しくなったワークステーションを紹介。Mammo Trakは,寝台にコイルを内蔵することで,MRI室に入る前に患者さんをセッティングすることが可能。また,スキャン前に装置が患者さんごとの乳房の形を認識し,左右の乳房の静磁場とRFの補正を自動的に行う“SmartBreast”機能も搭載している。また,最近になり,生検にも対応できるタイプとなり(日本薬事未承認),生検と撮像を繰り返し行うことも容易にできるようになったという。ワークステーションについては,心臓解析の機能が新しくなり,「次にトレースをしてください」など,心臓解析の順序を画面に表示してガイドする“cardiac explorer”機能が搭載された。

このほか,MRIガイド下に超音波を集束させて,腫瘍を焼灼する治療装置「HIFU」を展示(日本薬事未承認)。これは,撮像と並行して,MRIで温度をリアルタイムで確認し,ソフトウェアで温度管理をしながら治療を行うことができる装置で,既存の1.5Tおよび3T装置にもセットできる。骨盤,マンモ,肝臓に応用することが可能であり,3Dの領域をボリュームでスパイラルに焼灼するため,照射する時間も短くすむことが特長であるという。現在,米国と欧州で16サイト稼働している。

Achieva 3.0T TX
Achieva 3.0T TX

Mammo Trak
Mammo Trak

X-rayで展示した血管造影装置「Allura Xper FD20」は,これまでの1000本系マトリクスの画像から,2000本系マトリクスになり,画質が飛躍的に向上した。また,2008年のRSNAでリリースされた56インチのLCDモニタが,2000本系マトリクスの画像をそのまま表示できるようになるなど,さらにパワーアップしたという。操作性については,Allura Xper FD20のテーブルの横に設置された液晶のタッチパネルモニタにより,操作室でできることがすべてベッドサイドで操作可能となり機能が充実。医師が一人でシステムの運用を行うことも可能な設計となっており,大きなワークフローの改善につなかっている。ワークステーションでは,「3D Interventional Tools」により,三次元画像の提供が可能。三次元画像と二次元のリアルタイムの透視画像のマッチングだけでなく,CTやMRIといった違うモダリティの三次元画像をマッチングすることもできるようになり,フルオート,高速,リアルタイムで治療したい部分へのアプローチを確実にガイドする。

また合わせて,放射線の被ばく状況がリアルタイムでわかるバッジを紹介していた。このバッジにより,被ばく状況をリアルタイムでモニタリングし,モニタに表示する。これにより,被ばくを少なくするように自身の行動を管理することができる。

ハイエンドのDR装置では,ワイヤレスのFPDが登場した。被ばく線量もCRと比較して低く抑えることが可能であると,FPDのメリットが強調されていた。

このほか,FPD搭載の移動型装置「Veradius」を展示。主に,整形領域とオペ室での血管造影検査での使用を想定している。来年日本でも発売を予定しており,被ばく低減をコンセプトとしたソリューションとして提供していく。

Allura Xper FD20
Allura Xper FD20

Allura Xper FD20の56インチのLCDモニタ
Allura Xper FD20の56インチのLCDモニタ

核医学では,PET/CT「GEMINITF Generation 3」とSPECT/CT「BrightView XCT」を展示。PET/CT「GEMINITF Generation 3」は,高い時間分解能を実現する同社のTime of Fright(TOF)技術を搭載した装置の第3世代となる。時間分解能は500ピコ秒を切り,495ピコ秒と,約7cmの時間分解能を実現した。TOFの技術により,線量を低減しても,画質が同じレベルである,あるいは同じ線量であれば画質が向上するなど,ニーズによって条件を選択することができる。また,今回展示はしていなかったが,ガントリのボア径が85cmのビッグボアのPET/CT「GEMINI TF BigBore」が,2009年9月から米国と欧州で出荷を開始し,日本では同じく11月に発売を開始した。広いボア径により,頭の固定具などを装着したままガントリに入ることができる。

2009年10月に薬事認可されたSPECT/CT「BrightView XCT」は,CTにコーンビームCTを使用しており,SPECTとまったく同じスペースで,SPECT/CTを設置できるという。

ワークステーションは,CTと核医学で共通化され,操作性が向上した。

PET/CT「GEMINITF Generation 3」
PET/CT「GEMINITF Generation 3」

SPECT/CT「BrightView XCT」
SPECT/CT「BrightView XCT」

モダリティを3Dのバーチャル映像で見られるコーナーを設置していた。テーブルの上に各モダリティのパネルを置くと3Dの映像が現れる。コントローラーで映像を動かしてあらゆる角度から装置を見られるほか,装置の天板のスライドなどもでき,ワークフローなどの擬似的なシミュレーションが可能。来春の日本のITEMでは,すべての装置に対応して展示する予定だという。

製品以外では,ワークフローの改善や病院経営のアドバイス,最先端の技術が病院にどう付加価値を与えるかといったテーマでブース内で講演会を開き,フィリップスがコンサルティングの力も有していることも紹介していた。

モダリティの3D映像表示コーナー
モダリティの3D映像表示コーナー

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