午前のRefresher Coursesでは,「マンモグラフィーにおけるコンピュータ支援検出システム」(8:30〜10:00) を拝聴した。このセッションでは,放射線科医ががんを見落とす原因(放射線科医が病変を見落とした,病変を発見したが病変と認識できなかった,…)や,Double readingをすれば検出感度が向上するが,一方で読影者の負担も増加する欠点があるため,double reading を“一人の読影者+CADの検出”で代用できる可能性,さらにFDAによるCADシステムの評価のレビューやROC曲線による評価について,わかりやすい解説を拝聴できた。
次に,Scientific Sessionsの「骨粗鬆症と代謝条件」(10:30〜12:00)に参加した。これは,筆者の研究内容と関連したテーマであり,臨床系の立場で骨粗鬆症の研究に取り組む研究者の発表を直接見られることから,筆者が今回のRSNAで最も期待していたセッションであった。筆者が期待していた椎体の骨密度の解析の研究は発表者が現れず,聞くことができなくて残念であったが,他にも「骨粗鬆症による大腿骨の骨折に関する研究」,「骨密度の低下と冠状動脈における石灰化の増加に相関があることから,骨粗鬆症と冠状動脈のスクリーニングを同時に行う必要性を指摘する研究」,「μCTを用いて骨粗鬆症により骨折した閉経後の女性における腸骨稜の海綿骨の微細構造を評価した研究」,「Dual energy CTによる骨密度の定量化の研究,QCTから全自動で骨密度を計測するアルゴリズムの研究開発で,実験の結果,特定の条件の下では,ファントムが無くてもBMDを評価できる可能性が示唆される」など,多くの研究内容を知ることができ,とても充実した時間を過ごすことができた。
午後からは,肺の結節/がんの検出に関するRefresher Coursesに参加した。このセッションはかなり人気があり,座席はすべて埋まっているだけでなく,立見のスペースもないほどの研究者が参加していた。内容は,主にCT画像や胸部X線写真を対象として,結節やがんの検出,および,それらのボリュームを定量化するCADシステムの研究に関する発表であり,独自のデータベースや公開データベース(LIDC)を用いた評価実験で優れた検出性能を実証していた。
インナビネット記者 林 達郎(岐阜大学)
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