東芝メディカルシステムズが「Global Standard CT Symposium 2014」を開催
2014-8-26
メイン会場の様子
東芝メディカルシステムズ(株)は2014年8月23日(土),ANAインターコンチネンタルホテル東京(東京都港区)をメイン会場に,「Global Standard CT Symposium 2014」を開催した。このシンポジウムは,東芝社が誇る320列Area Detector CT「Aquilion ONE」シリーズと低線量撮影技術“AIDR 3D”の最新技術をユーザーが共有する場として2011年から毎年開催されているもので,今回で4回目を迎えた。本シンポジウム初の企画として,全国5か所にサテライト会場を設け,リアルタイムに講演の様子を配信するとともに,各会場からも質問を受け付けた。サテライト会場は,札幌全日空ホテル,ウェスティンホテル仙台,ヒルトン名古屋,ザ・リッツカールトンホテル大阪,ANAクラウンプラザホテル福岡の5会場。
挨拶に立った代表取締役社長の瀧口登志夫氏は,まず,1975年に自社開発CT 1号機を発売して以降,2013年11月でCT出荷累計3万台を達成したことを報告し,ユーザーへの感謝を述べた。そして,シンポジウムのテーマの1つである被ばく低減について触れ,国内2200台以上のCTにインストールが完了したAIDR 3Dの追跡調査の結果から,AIDR 3Dのインストールにより約30%の被ばく線量低減が実現されていると紹介した。また,2014年7月1日に東芝の社内カンパニーであるヘルスケア社が設立され,東芝メディカルシステムズがその中核をなすことから,「Made for Life」の理念のもと,よりいっそう患者さんや医療者のために全力を尽くすとの決意を述べた。
続いて,同社CT事業部CT開発部の田中 敬氏が,「Aquilion ONE/ViSION Editionの開発」をテーマに講演を行った。田中氏は,2007年に開発されたAquilion ONEシリーズの進化を紹介した上で,2014年現在の状況として,最新クリニカルソフトウエア“Functional Suites”(Ver.7)と,Full Iterative Reconstruction(Full IR)の開発について紹介した。Functional Suitesは,「被ばく低減・画質向上」「簡単で効率的な操作」「ADCTならではの臨床価値の開拓」をコンセプトに開発が行われており,田中氏は,さらなる画質向上を図る“AIDR 3D Enhanced”や金属アーチファクトを低減する“SEMAR for Helical Scan”(ともにW.I.P.),各種高機能アプリケーションを説明した。また,Full IRについては,その原理を説明するとともに,超低線量撮影における有用性を紹介した。
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ユーザーによる講演は,2部に分かれて行われた。前半の「Technology of Area Detector CT」では,慶應義塾大学医学部放射線科学教室の陣崎雅弘氏が座長を務め,3題の講演が行われた。
最初に,広島大学医学部放射線診断学研究室の立神史稔氏が「Full Iterative Reconstruction:開発と臨床応用」をテーマに講演した。立神氏は,従来のFBPを併用したIRであるAIDR 3Dの特徴と課題を整理した上で,現在開発中のFull IRの原理を説明。Aquilion ONE/ViSION Editionにて行ったファントムと臨床症例による検討結果を報告し,Full IRにより空間分解能の向上と,AIDR 3Dで課題であった低コントラスト領域における分解能の改善が可能であると述べた。
次に,藤田保健衛生大学医学部放射線医学教室の村山和宏氏が登壇し,「Aquilion ONE頭部アプリケーションの臨床応用」と題して講演。高濃度造影剤を併用し,320列ADCTの特長を生かした頭部領域の臨床応用として,灌流画像やdynamic CTAによる脳血管障害や虚血性脳疾患の診断,SEMARによる動脈瘤治療後のCTA,Dual Energy CTによる出血と造影剤の鑑別について画像を供覧しながら解説し,その有用性を報告した。
3題目に,大原綜合病院大原医療センター放射線科の森谷浩史氏が,「Aquilion ONE胸部アプリケーションの臨床応用:呼吸動態撮影と解析技術」を講演した。技術進歩により呼吸動態撮影の臨床応用が可能になっていると述べた森谷氏は,気管支の内腔計測ツール“4D気管支トラッキング”や単純CTと造影CTによる高精度差分画像“ラングサブトラクション”など,最新の呼吸器領域の動態解析について症例を示して紹介した。
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後半のセッションは,「Clinical Benefit of Area Detector CT」のテーマで4題の講演が行われた。座長は,埼玉医科大学国際医療センター画像診断科の木村文子氏が務めた。
はじめに,神戸大学大学院医学研究科内科系講座放射線医学分野機能・画像診断部門の吉川 武氏が,「腹部領域の臨床応用」と題して,腹部CT perfusionとSEMARについて講演した。それぞれの検討結果を報告した吉川氏は,CT perfusionにより肝腫瘍のより正確な質的診断や肝機能評価が可能になることや,外科クリップや血管塞栓コイルを留置した術後の経過観察におけるSEMARの有用性について説明した。
次に,熊本大学大学院生命科学研究部放射線診断学分野の平井俊範氏が登壇し,「頭部領域の臨床応用」を講演した。320列ADCTでは,dynamic volume scanにより,低被ばくで全脳の形態診断と機能診断が同時に可能であることを強調した平井氏は,脳血管障害と脳腫瘍の多くの症例画像を示しながら有用性を紹介した。
続いて,聖マリアンナ医科大学放射線医学講座の小林泰之氏が,「循環器領域の臨床応用」と題して講演を行った。小林氏はまず,面検出器CTとAIDR 3Dにより動態機能検査の臨床応用が可能になった現状を整理し,循環器領域への応用として,超低被ばく冠動脈CTAや不整脈対応冠動脈CTAなどについて症例を示して解説したほか,開発中の心筋ストレイン解析ソフトウエアを紹介し,面検出器CTの特長を生かした積極的な臨床応用を促した。
最後に,岩手医科大学医学部放射線医学講座の吉岡邦浩氏が,「冠動脈サブトラクションの臨床応用」と題し,320列CTによる冠動脈サブトラクションCTの撮影法,画像処理法,初期使用経験について講演した。320列CTの第2世代となるAquilion ONE/ViSION Editionでは,0.275s/rot,小焦点が実現し,新しい自動位置合わせ法が実装されたことで,低線量でより精度の高い冠動脈サブトラクションが可能になったことを臨床例を示して説明した。
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●問い合わせ先
東芝メディカルシステムズ株式会社
TEL 0287-26-5100
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